受験のため仮引退中でしたが、合格したので復帰しました。小説をはじめとしメイプル記事も更新されます。


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4章 脱出

 いよいよ仲間が登場です。ではスタート



 階段の裏の床には、持つための取っ手がついていた。それを両手で持って、グラッグは上へ引っ張った。キィッと音がし、鉄の扉が開いた。中のオレンジ色の光を頼りに、地下へと通じる階段に足を着け、ゆっくりと中へ入った。

 中は、思ったより暗かった。床はどうやら土のようで、地下の天井にはオレンジ色の光を灯す、紐に吊られた電球が揺れていた。

「・・・なんか怖いな・・・」

グラッグはそう呟いて、やや湿り気のある土を進んでいった。しばらく進むと、カタンと、何かが動く音がした。思わずグラッグはびくりと震え、アクシオンを抜いて前へとゆっくり進んだ。少し進むと、彼の足元から、パキンと音がした。その瞬間、

「きゃあっ!」

前から高い声が聞こえ、湿った地面に落ちる音が聞こえた。グラッグはそのまま進んだ。5歩ほど進むと、オレンジ色の光に照らされた、こちらに背を向けてぶるぶると震える人影があった。

「・・・もしもし?」

アクシオンをしまってグラッグが聞くと、顔だけを彼の方へその人影は向けた。その瞬間すぐに立ち上がって、怒ったような顔で彼を睨んだ。そして、

「びっくりさせないでよ!」

やや高めの声で怒鳴った。グラッグはむっとしつつも、前にいる、自分と同じぐらいの背の少女を見た。鮮やかな水色の瞳には、涙が光っていた。顔もそこはかとなく赤かった。

「ご・・・ごめんごめん。じつは、この工場のおじいさんに頼まれて来たんだ。」

とりあえず謝って、グラッグは言った。すると少女は吊り上がっていた眉を下げて、怒りがおさまった様子で聞いた。

「ジムさんに頼まれたって・・・何を?」

「じつは、君と一緒にここから逃げるように言われてるんだ」

グラッグは言伝をそのまま言ったつもりなのだが、少女はまったく信じてなかった。

「逃げるってどういうことよ!」

少女は強い口調で言った。グラッグはとりあえず一歩下がって、

「この工場が化け物に襲われたんだ!だから君を連れて逃げてって言われたんだよ!」

大きな声で言い返したが、少女はまったく信じていなかった。

「・・・くだらないわ。さっさと帰ってちょうだい!」

少女はそう言って、倉庫の奥の箱を開け始めた。グラッグもここまで言われると勝手にしろという気持ちになったので、湿った土を、入ってきた入り口へと歩いた。ぶつぶつと色々呟きながら歩いていると、何かにぶつかった。

「ったく・・・何だよ・・・」

と言いながら上を見上げると、口から蠢く触手の出た、目だけが白く光って見える男が立っていた。

「うわぁっ!」

グラッグが叫んで後ろへ飛ぼうとした時、大きな腕が彼の頭をつかんだ。耳の横で、男の指の先から出た触手が動く音が聞こえた。目だけが白く光る男の顔の前まで吊り上げられた。口から出た触手が、新たな獲物へと、つまりグラッグの方へと伸びてきた。

「だ・・・誰か・・・助けて・・・」

グラッグが震える声で言ったが、倉庫の奥にいる少女には聞こえなかった。頬に赤く脈打つ触手がついた。触手が獲物の位置を認識し、突きで仕留めようと縮むのが見えた。その時、彼が閃いた。触手が伸びる直前、右の壁を蹴り、その勢いで左の壁を蹴った。体が大きく右へ振られ、伸びた触手は彼の左を通った。グラッグは拘束されていない手で、その触手を引っ張った。男の顔が目の前へ来ると、眉間を勢いよく蹴った。すると触手が根元部分から切れ、グラッグは湿った土を転がった。男の口からは、緑色の血が滝のように出ていた。

 勢いのおさまらないまま、グラッグは倉庫の奥の棚にぶつかった。ガツンと音がし、視界に火花のような物がちった。触手を倉庫の隅に放り投げ、頭を抑えていると、少女の顔が見えた。

「私の邪魔をしないでよ!」

少女が怒鳴ったが、グラッグは反論できなかった。少女がむすっとした顔で彼が転がってきた道を見ると、

「きゃあっ!」

悲鳴を上げ、棚に背をつけた。グラッグはなんとか立ち上がると、人間の盾を捨てた、口から緑の血を流す異形の虫が通路にいた。その虫は4本の後ろ足で地面を蹴り、少女の方へ跳んだ。

「危ない!」

グラッグは思わず少女の前へ飛び出し、向かってくる異形の虫の頭に蹴りを食らわせた。虫は吹き飛び、彼の顔や髪に緑の血がついた。

「くたばれ!」

グラッグはそう叫んで、アクシオンをホルスターから抜いて虫の顔に撃ちこんだ。足を細かく痙攣させ、緑の血を噴水のように噴出しながら絶命した。

「ふう・・・階段以外に、どこか逃げ道はない?」

一息ついてグラッグが少女へ言うと、少女は棚の横にあった、非常口を開けた。その瞬間、通路の闇の中から、さっき向かってきた物とは別の異形の虫が飛びかかってきた。グラッグはそれを非常口の方に転がってかわした。

「逃げるよ!」

グラッグはそう言って、非常口へ入った。すると少女はグラッグの右手をきつく握って、必死に走った。

 工場の外へついて、乱れた息を整えると、グラッグが自分の手を少女が握っていることに気づいた。少女もすぐに気づいて、手を乱暴に離して、怒った顔で、

「べ・・・別に怖かったわけじゃないからね!」

顔を真赤にして言った。グラッグは一歩後ろに下がりながら、

「わ・・・わかったよ。とにかく、危なかったね。」

そう言った。すると少女は、

「・・・ありがとう。」

うつむきながら小さな声で言った。

「え?」

グラッグはよく聞こえなかったのでそう言うと、少女は顔を上げて、

「助けてくれてありがとうって言ってんの!」

顔を真赤にしながら言った。グラッグはまたも一歩下がって、

「あ・・・ああ、どういたしまして。そういえば、まだ自己紹介してなかったね。俺はグラッグ・ノートダム。15歳だ。君は?」

簡潔に自己紹介すると、少女は平常心をゆっくり取り戻しながら、

「私は、ミスト・ドラゴニア。年はあなたと同じよ。」

同じく簡潔に少女ミストは自己紹介した。グラッグは頷いた後アクシオンを抜いて、壊れてないか確かめてまたしまって、座ってから近くにある岩によりかかった。

「じゃあ、これからどうするの?」

ミストが聞いても、返事は返ってこなかった。ミストがグラッグの顔をのぞくと、目をつぶって寝息をたてていた。空を見ると、星が輝いていた。

「やれやれ・・・」

ミストはそう言いながら、グラッグの横に座って、目をつぶった。やがて、規則正しい寝息を彼女はたてはじめた。500mほど先のメディスストリートでは、爆発音や悲鳴が響いていた。



 4章終了です。ミストの名前をなぜ使ったのかは、後々説明します。次の章の最初には、用語解説をつけます。
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by jwpwm424 | 2007-03-28 19:02 | オリジナル1『呪われた都市』

3章 工場

 本格的に戦いが始まる3章です。ではスタート



 グラッグが目を開けると、天井にいくつものワイヤーなどがはっていた。

「ここはどこだ・・・?」

少し手を動かすと、粗い布が体にかかっていることに気づいたので、それをゆっくりとどかして体を上半身だけ動かした。すると前には脚の長い木のテーブルと、木で作った椅子が2つあった。壁はすべて鉄だった。

「目が覚めたのかね」

彼の後ろから声がしたので振り向くと、銀の机の横の、事務室などによく置かれる椅子に、60代ほどに見える白髪の老人が座っていた。服は工場の作業員などが着る、オイルなどで汚れた服を着ていた。

「君が私の工場の入り口で寝てるもんだから、ここへ運んだのだが、なぜあんな所で寝てたのかね?」

老人が椅子にすわったまま、穏やかな顔で聞いた。

「実は・・・巨大ドリルからずっと走ってきたんです」

グラッグが言った。

「ほう・・・それは遠いところから・・・ところで、君のそのバッチは、新世界発掘隊のメンバーだと思うのだが、仕事はどうしたのかね?」

老人が聞くと、グラッグはあの悪夢を思い出した。怪しく蠢く虫の足、口から血を流す、絶命しても安らかに眠れず、化け物と化した人を。

「それが・・・巨大ドリルの近くで、突然エアビーグルが暴走して、大きな怪物も出てきて・・・」

口では説明しにくいので、できるだけ見たことを説明したつもりだった。しかし老人は微笑んで、

「まあ落ち着きなさい。ともかく、君は新世界発掘隊の仕事中に何かあって、逃げてきたというわけだね?」

グラッグに言った。彼が頷くと、老人は立ち上がって、

「君には、武器はあるのかね?」

あの時のレオンと同じことを言ったので、ホルスターからアクシオンを抜いて渡した。老人はそれを眺めながら

「この護身用銃をここまで改造するとは・・・君はなかなか才能があるね。しかしこれでは、もしエアビーグルなどが暴走して向かってきても、太刀打ちできないじゃろう。私の持っている銃を、君にあげよう。」

弾倉などを見ながら老人はそう言って、部屋の隅にある引き出しをあけ、アクシオンよりやや長い銃を取り出し、グラッグの前に置いた。

「それは、新世界発掘隊でよく使われる銃でな、硬い岩などを掘るのに使うのじゃ。」

グラッグはわけがわからなかった。

「どういうことですか?」

そう彼が聞くと、老人はゆっくりとした口調で、

「その銃の弾は、中に爆発力の高い火薬がつまっていて、岩に銃弾が当たってめりこんだとき、弾頭がめくれて中の火薬に着火するようになっているのじゃ。そうすれば、硬い岩を内部から粉々にできる。というわけじゃ。わかったかの?」

そう説明した。グラッグはなんとなく理解し、色んな方向からその銃を見た。通常の銃なら親指を置いて狙いを安定させるための所に、小さな四角い穴があった。

「この穴は?」

グラッグが聞くと老人は、おおそうだ忘れていたと言い、銀の机の引き出しから、15センチほどの細長い四角柱の形をした物体をいくつか取り出した。

「その銃は弾の構造から火に弱くてな。暴発を防ぐためにこの特殊オイルを使うのじゃ。」

老人は言いながら彼の前に椅子を移動させ、そこに座ってそのオイル入れを見せた。上部が開くようになっており、中にはどろどろとした緑色の液体があった。

「このオイルを中へ流し込んで、引き金をひくと小さな熱を受けたオイルが銃弾の後ろで凝縮され推進力が生まれる。これが他のオイルと違うところじゃ。」

つまり、このオイル入れの中に入ったオイルは、熱に反応して自動的に凝縮、前へと強い力を発生させる働きがあるということだったのだが、グラッグにはよくわからなかった。ひとまずグラッグはそれを受け取り、穴にオイルいれを指した。少しだけ入れ物の中のオイルが減り、穴の蓋が自動的に閉じた。引火を防ぐためであろう。

「この銃は連射には向いてないから、確実に相手を狙いなさい。」

老人が真剣な顔で言った。グラッグは老人をしっかりみて、

「わかりました。」

そう言った。すると老人は微笑んで、アクシオンを彼に返した。

「それと、これもやろう。君のベルトにあえばいいのじゃが。」

銀の机の上に置いてあった、アクシオンの物よりやや大きめのホルスターを彼に手渡した。グラッグはゆっくりと立ち上がって、いくつも巻いたベルトの中の、最も太いベルトの左腰あたりにとりつけた。続いてオイルいれを外した、さっきもらった銃をホルスターにいれ、何度か抜いたり入れたりした。老人はうんうんと満足そうに頷いて、

「君を見ていると、昔の私を思い出すな・・・」

突然、語り始めた。

「20年前の、防衛戦争の時、私は今の統合政府の近くに住んでいてな・・・家の中からまったく乱れない動きでやってくる、バズトラス達の兵士を見て震えていたことを、今でもはっきり覚えているよ。その次の日すぐに、プロミネンスが開発されて、私はそれを抱えて、門の前から炎を、バズトラスの兵士へ放った。そして気がついたら、奴らは全滅してたんだ。・・・あそこでもし、プロミネンスがなかったら逆に私達が全滅してただろう。」

ふっとため息をはいて、老人は話し終えた。

「おじいさんは、なぜここに?」

グラッグが聞いた。

「私はあの後、復興したこの街で銃器の製作場を始めたくなってな。今でも時々来る、ブリスターどもを倒すために、君のアクシオンや、巡洋艦の砲塔などを作ったわけじゃよ。」

老人は遠くにかすかに見える、海を眺めながら言った。と、その時、遠くから何かがぶつかる音がした。

「何じゃ・・・?」

老人は立ち上がって、部屋を出た。グラッグも、それに続いた。

 その音は、老人の工場の入り口にエアビーグルが衝突した音だった。赤い炎が、工場の入り口に踊っていた。

「なぜ巨大ドリルの近くにあるはずのエアビーグルがこんな所に・・・」

グラッグが後ろから言うと、老人は振り向いた。

「もしかしたら、あれが君の言っていた、暴走したエアビーグルなのかもしれん・・・」

鉄の階段をゆっくりと降り、工場1階の広場に二人が下りると、燃え盛る炎の近くから、何かが出てきた。

 それは、人間であった物だった。

 白目をむき、ふらふらとしながらもバランスを取って歩く人間が、近寄ってきていた。口からは、赤く脈打つ虫の足が、何本も獲物を探すように蠢いていた。

「こいつらは・・・あの怪物だ!」

グラッグが叫んだ。すると老人は工場の壁にかけより、機関銃を取った。

「今度こそやられてたまるか!」

グラッグが叫んで、アクシオンを歩いてくる人間の一人の頭に撃った。銃弾は頭を貫通し、工場の壁に当たった。しかしそれでも、まったく怯むことなく、歩いてきた。

「なんで・・・」

グラッグには前で起きていることが信じられなかった。彼の狙った場所は眉間なので、貫通すれば間違いなく絶命するはずである。ところがまえから歩いてくる人間は、その傷口から脳の一部や血をだらだらと流しながら、平然と歩いてきている。

「こいつら・・・不死身なのか!?」

グラッグがそう叫ぶと、老人が彼の前に座った。そして、機関銃を構えた。何も言わずに、向かってくる人間へ放った。

 切れ目のない発砲音が聞こえ、何百という弾が向かってくる人間にうちこまれた。人間は手をふきとばされ、頭が銃弾で粉々になっても、平然と歩いてきた。

「くそっ!」

老人が舌打ちし、胸を狙った。おそらくは肋骨と思われる物や、肉の塊が吹き飛び、人間の原型がなくなったころ、それは姿を現した。

 人間を盾にし、中に身を潜めていたのは、体長1メートルほどの、4本の足と、2本の爪のついた前足を持った虫だった。体つきでいえば蜘蛛のようにも見えたが、背中の部分に3つから4つの、膨らんだ泡に見える物がついていた。すべて、不気味に鼓動していた。顔は正面から見ると2つ、上から見るとさらに2つの白い目がついていた。口からは、盾にされていた人間と同じ触手が、粘性の高い唾液をたらしながら動いていた。

「これが怪物の正体か。」

グラッグが悪夢の中でも出会いそうにない、異形の虫を見て言った。異形の虫は後ろの4本の足で地面を蹴り、老人に飛びかかった。老人に虫の前足がつくまえに、4つの目の真ん中に、グラッグがアクシオンの弾丸を撃ち込んでいた。緑色の血をまきちらして、虫は仰向けに倒れた。足が小刻みに痙攣していた。やっと片付けたと思いグラッグがアクシオンをホルスターにしまうと、

「まだいるみたいじゃぞ。」

老人が機関銃の前に座って構えたまま言った。工場の入り口から、作業服を着た、ふらふらと歩く人々がざっとみて20人前後入ってきた。老人は何か言う暇なく機関銃を放った。盾である人間を砕かれた異形の虫は、機関銃の弾を受けばらばらになって散る。しかし他の虫達はそれを気に留めることなく、自分の盾を操り、老人へと近づく。10人ほどが肉片と赤い血の水溜りになると、工場の入り口からさらにふらふらと歩く人々が出てきた。

「このままでは工場の中に入られる。君は、階段の下から倉庫へ行きなさい。その倉庫にいる少女と一緒に、逃げ延びてくれ。」

機関銃を撃ちながら、老人が大声で言った。

「おじいさんは?」

グラッグが聞くと、老人は彼に顔だけを向けて、口元だけ笑った。

「大丈夫。またすぐに会える。」

そうはっきりと言って、亡霊のように向かってくる、彼のすぐまえまで近づいた体格のいい男に銃弾の雨を浴びせる。男は五体ばらばらになって散り、中にいた異形の虫も道連れとなった。グラッグは階段の下へ、倉庫へと走った。



 3章終了です。次はいよいよ仲間が出てきます。
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by jwpwm424 | 2007-03-27 11:16 | オリジナル1『呪われた都市』

2章 悪魔の侵略

今回はかなり短い気がする2章です。ではスタート



 生物的に動く虫の足のようなものを見て、レオンは息をのんだ。そして、操縦席から立ち上がった。

「グラッグくん、緊急事態だ。早く外へ出るんだ。」

レオンがそう言ったので、ぶるぶると震えていたグラッグも、操縦席から立ち上がってエアビーグルの外へと出た。彼らが荒れた大地に飛び降りた瞬間、フロントガラスから飛び出ていた足が、獲物を捕まえるように伸び、彼らのエアビーグルのフロントガラスを突き破って操縦席の中に突っ込んだ。

「なんだこいつは・・・」

レオンが頬に流れる冷や汗を片手で拭きながら言った。赤く脈打つ虫の足のようなものが侵略するように、エアビーグルの操縦席に広がっていく様は、まるで大型の虫が小型の虫を捕食するように見えた。

「グラッグくん、銃はあるかい?」

レオンの問いにグラッグは頷いて、ホルスターからアクシオンを抜いた。と、その時、穴の中から別のエアビーグルが飛び出して、彼らに向かってきた。レオンとグラッグが地面を転がって避けると、そのエアビーグルは彼らのエアビーグルに突っ込み、大爆発した。虫の足のような物は、先から赤い血を撒き散らしながら暴れ、動かなくなった。

「レオンさん、これは一体・・・」

グラッグが震える声で聞くと、レオンが燃え盛る車両へ近づいた。グラッグも行こうとすると、彼の横の穴のふちを、人間の手が掴んでいた。グラッグが近づいた瞬間、その手が有り得ない力で、全身を穴の外へ出した。

 それは、人ではなかった。

 下半身は、ボロボロの作業服を着た脚部が2つ、つまり足が4本あり、バランスをとっていた。そして上半身は、人で言うと左手の部分が、白目をむいて、頭から巨大な手のように、5本の赤く脈打つ虫の足を出した男がそのかわりになっていた。その男の下半身は、人間で言う胸部に、何本もの虫の足で乱暴に止められていた。その胸部には、背骨が折れていると思われる、海老のように体を丸めた男で作られていた。男のあちこちからは怪しく蠢く虫の足が出ていた。そして、頭は、右上の頭蓋骨が割れ、その中から大量の、赤く脈打つ虫の足が出ていた。口はだらんと開いたままで、涎のように血が胸部のかわりになっている男の衣服に落ちていた。目は白目を向いていた。

「ひっ・・・」

グラッグが思わず悲鳴を上げた。レオンが振り向いた時には、その4人と思われる人間で出来た化け物が、グラッグに向けて左手(のかわりをされている男)を振り上げている時だった。

 レオンは何も考える暇なく、右腰のホルスターから銀に光る自動装填可能な銃、『シルバーホーク』を抜いて、化け物の左手の付け根あたりに撃った。銃口から銀で出来た弾が撃ち出され、左手として使われている男の、右腿あたりに当たった。赤い肉片がはじけ飛び、降ろしかけていた左手が再び上がった。その男の頭から出ていた5本の虫の足が、痛みに苦しむように暴れた。傷口から、大量の赤い血が地面に流れ落ちた。

「早く逃げるんだ!」

レオンがグラッグへ叫んだ。手には煙立つシルバーホークを握って、痛みに苦しむ化け物を狙っていた。

「で、でもっ!」

グラッグが何かいいかけると、

「いいから早く行け!ここにいたら殺されるぞ!」

強い口調でレオンが言ったので、グラッグは立ち上がって、街の方へと必死に走った。何度か、発砲音が後ろから聞こえた。それでも、走り続けた。

 かなり走って、後ろを振り返らずにがくりとひざをつき、続けて両手を地面につけた。気がつくと夕方になっていた。地面が冷たいので目を開けると、きれいに舗装された道路があった。そこは、メディスストリートの入り口だった。

 「どこかで・・・休まないと・・・」

グラッグがうつろな目で、夕日に照らされたオレンジ色の街の中に、扉の開いている建物が見えた。ふらふらと、その中へ入った。

 中は、ひんやりとして涼しかった。建物の中の様子を確認する暇もなく、そのまま地面に倒れて、規則正しい寝息を立て始めた。



 かなり短いですが2章終わりです。途中某ゲームに似た内容がありましたが、つっこみはなしでお願いします。
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by jwpwm424 | 2007-03-24 19:04 | オリジナル1『呪われた都市』

1章 地底から来た悪魔

いよいよ始まった新小説です。そのまえに注意を。
・オリジナルなので、いくつかゲームや本などのパクリ的内容が存在します。もし元ネタがわかっても、指摘せずに暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。
・題材となった物が明確に存在していないので、ややストーリーがわかりにくいかもしれません
なお、小説・続編と見分けをつけるため、今回から『第1章』などの『第』を省略します。
では、いよいよスタートです。



 生命の豊かな星の、南半球にある世界三大大陸国家のひとつ、アルセリオ。その隣にある、世界三台大陸国家のひとつ、メリクリウス。そして、北半球の、北極点周辺にある世界三台大陸国家の中で一番巨大な国家、バズトラス。この星を代表するとも言える3つの国家には、15年前、とある出来事があった。

 アルセリオとメリクリウスは、お互いの国が近いため、太古から交流があったという。そのため両国は仲がよく、ブリスターと呼ばれる、小さな島国に住む侵略者が攻めてきた時は、お互いに協力して追い返したという。服装や建物の構造をはじめとする文化は少し違うものの、言葉はお互いに共通語を決め、通貨も統一していた。なので、旅行者なども多かった。

 そんな平和な日々が、15年前の海王の月のある日に、突如壊された。北半球にある巨大国家、バズトラスの爆撃機が両国の領空に100機以上出現し、バズトラスの言葉で何かを叫んだ後、メリクリウスの港を爆撃したという。

 メリクリウスも、アルセリオもバズトラスの存在を知らなかった。そして、当時の両国には対空兵器も、戦車も、飛行機もなかった。あったのはブリスターを迎撃する小型の巡洋艦と、動物を取るために使っていたハンドガン程度だった。メリクリウスの港がすべて破壊され、巡洋艦も沈められると、今度はアルセリオの港へ攻撃を開始した。国内では黙って港や港町が破壊されるのを指をくわえて見ているという状態が続いていた。

 アルセリオの港もすべて破壊されると、水平線の向こうから何百機という量の飛行機を搭載できる空母、海上から大陸の町を攻撃する戦艦、たくさんの兵士や兵器を乗せた輸送船が迫ってきた。爆撃機がひとまず撤退した時、両国の人々は壊された港周辺に塹壕を掘り、そこにハンドガンや当時は最新鋭の武器だった機関銃を手に、上陸してくるのを待ち伏せしたという。

 輸送船が海岸に乗り上げ、一斉にハッチが開いた。そこからは、両国にはないような材質で作られた服を着た兵士が、何千と出てきた。そして、高熱を一点に発射し、対象を焼き切る銃、レーザーガンを兵士が持った。一斉に、突撃した。

 塹壕からアルセリオ、メリクリウスの兵士は顔を出し、銃弾を撃ちこんだ。しかし兵士達は一瞬立ち止まり、また向かってきた。やがて、当時は少ししかなかった機関銃を、勇敢な兵士が塹壕の外から並んで向かってくる敵兵士に撃ちこんだ。銀色の空薬莢が落ちる音がやみ、土煙がはれると、すべての兵士が平然と立っていた。兵士達はレーザーガンを構え、撃った。何人かは塹壕に伏せた。その伏せた兵士達の横には、首を刃物か何かで綺麗に切られたような死体や、みじん切りにされ、原型をとどめていない死体が転がっていたという。兵士達は恐怖のあまり塹壕から飛び出した。その瞬間、すべての兵士の腰から上が、何千ものレーザーで焼かれてなくなった。

 その後、輸送船から重戦車が出てきて、両国の兵士の死体を踏みつけながら、国の中心へ、ゆっくりと進軍を開始した。襲撃が始まってから3日後の、正午のことだった。

 メリクリウスとアルセリオの政府は、緊急会議を開き、同盟を組んで、謎の敵を倒すことを誓った。お互いの国の技術者を集め、必死に武器を研究した。海に近い町では、町民全員が戦艦からの砲撃で焼け死ぬという事件もおきていた。国民の中でも、罠を仕掛けたり、中には話し合いを試みる者もいたという。しかし、敵の兵士を一人殺すのに、両国の国民3000人が死亡するという状態だった。

 国の首都から5km前の街まで滅ぼされた時、アルセリオの技術者がある物を開発した。

 それは、殺した敵兵士の持っていたレーザーガンを分解、解析し作った、当時アルセリオにあった燃料を圧縮し発射することで炎を発射する、火炎放射器だった。その火炎放射器はアルセリオの人々には『プロミネンス』と呼ばれ、必死に量産した。

 そして、女神の月の最初の日、アルセリオの首都からなんとか量産したプロミネンスを装備した100人の兵士が、並んでやって来る敵兵士の一体へ、炎を浴びせた。すると、奇妙なことが起きた。

 突然、その火炎を浴びた兵士は、隣の兵士の頭へレーザーを放った。さらに隣の兵士にもレーザーを放った。

 アルセリオの人々は何が起こっているのかはわからなかったが、プロミネンスを横へ振りながら、複数の兵士へ炎を浴びせていった。

 そこから先は、面白いように戦いが進んだ。

 炎を浴びた兵士は味方や重戦車へレーザーを狂ったように放ち、やがて倒れて動かなくなる。重戦車は味方のレーザーで破壊され、前進を続ける無事な兵士をまきこんで爆発した。1時間もすると、10万ほどいた兵士は、アルセリオの首都の手前ですべて倒れていた。近づいて見てみると、服が溶けている兵士もいた。アルセリオの兵士は勝利の雄叫びを上げ、政府へ戻って報告した。敵兵は全滅したと。

 すぐに首都を攻められていたメリクリウスにプロミネンスを送り、使い方などを説明した。その時メリクリウスの兵士はその武器を自然界の神、『ガイア』と呼んだという。

 壊滅寸前まで追い詰められたメリクリウスの兵士達は、町の中からガイアで火炎を敵兵へ浴びせた。結果はアルセリオと同じだった。

 その後、アルセリオの人々が海岸に行くと、輸送船と戦艦と空母は、すべて海の彼方へと撤退していったという。メリクリウスも同じだった。

 こうして、2ヶ月続いた謎の敵との戦争は終わった。それからは、両国で国を復興しながら、メリクリウスとアルセリオは統合政府を作り、お互いに協力して国を発展させていくことを改めて誓ったという。

 戦いから1ヶ月ほど経った後、破壊された敵兵器や兵士の着ていた服などを研究し、戦車や強固な巡洋艦を作った。しかし、軍事色に生活が染まってしまうのかと、生き残った人々が反対運動を起こした。

 そこで統合政府は、『機械軍隊設置法』を作り、敵の軍隊から得た機械の技術を使い、人が戦場に出ることのない戦いにすると、国民に発表した。それと同時、両国で様々な機械が作られた。資源は、放棄された敵兵の服を使った。

 まず、動力装置が開発され、四輪駆動の車、狭い場所を通るための二輪駆動のバイクが作られた。そして、最初からあった電気の技術が更に発展し、遠隔操作が出来るロボットも開発された。この時、敵兵はすべて内蔵されたコンピューターで動いていたのだということを、技術者達は知った。これが、両国が一気に発展した、第二次産業革命と呼ばれる時代である。今からちょうど、5年前のことだった。

 しかし、それも終わりが近づいた。今から1年前、何百万とあった敵兵の服(つまり資源)が、残り僅かになってしまったのである。電気を通しやすく、加工も容易なその金属がなくなれば、物は作れない。そんな中、アルセリオ内の、とある科学者が提案をした。資源がなければ、集めればいいと。

 それは誰もがわかっていたが、第一次産業革命で、両国の鉱山には、まったく鉱石は残っていなかった。それをその科学者に言うと、科学者はこう言った。「平面に物事を考えるな。資源があるのは、地表だけではないであろう」と。

 それを聞いた統合政府は、『採掘の競争条約』を作った。この条約は、アルセリオとメリクリウスで、どちらが多くの地下資源を採掘できるかを競うという内容だった。なので、両国に採掘のやる気を出させるのに十分だった。

 それから半年以上かけて、全長3000mを超える巨大ドリルが作られた。そして、鉱山の横にそれを据え付け、掘り始めた。

 2ヶ月前、巨大ドリルは地下1000mまで掘り進み、そこに『新世界発掘隊』の通称で呼ばれる人々が飛行機械で壁面に足場を作り、そこから横へ掘って地下資源を取り出すという作業が始まった。地下からは、バズトラスの兵士の服と同じ材質の金属が大量に取れた。計画は大成功だった。

 それから、新世界発掘隊は政府公認の組織となり、毎月隊員を募集した。国に最も貢献している人々なのだから、自然と新世界発掘隊はエリートとなり、国民の憧れの的となった。

 そんな中、アルセリオの東に位置する巨大ドリルの近くの都市、メディスストリートのとある家の中で、喜んでいる少年がいた。

「やった!ついに合格したぞ!」

少年は自室でそう言いながらはしゃいでいた。手には一枚の紙が握られていた。その紙こそ、新世界発掘隊の採用試験に合格したことを証明する、資格認定書だった。

 次の日の朝。新しく新世界発掘隊の隊員となった者たちにとって初仕事となる、『第二号採掘地区への物資運搬』という任務名が書かれたシンプルなデザインの小冊子が、彼の家に届いた。少年は任務内容などを読み、資格認定書と一緒に送られてきた赤い星を模ったマークのバッチを胸ポケットにつけ、幼い時、護身用として親に買ってもらった小口径の銃、『アクシオン』を左腰のホルスターにいれ、家を飛び出した。

 巨大ドリルから1000m手前の、『新世界発掘隊作戦会議所』とよばれる2階建ての建物の入り口に、赤い星のバッチをつけた、自分と同年代ぐらいの若者達が立っていた。少年は建物の近くに座って、アクシオンの整備をした。

 アクシオンは主に硬質プラスチックを弾として、暴漢などから逃げ切るための銃である。そのため威力は人に軽傷を負わせる程度しかない。また整備も、銃を銃口部、弾倉を含めた機関部に分けることが可能なため容易だった。

 その容易さは、少年の心を刺激した。

 少年は、まず弾倉を改造し、細長い金属製の弾が入るようにした。そして、家の近くのスクラップ工場から鉄屑を集めてきて、溶かして先が細く長い、小さな弾丸を作った。それを弾倉に入れ、威力が大幅に高まったアクシオンを作った。さらに裁縫で皮のポーチを作り、その中に100個ほどの金属弾を入れ、ベルトにつけた。

 「よし、これで終わりっと!」

少年は分解し、再び組み立てたアクシオンを膝の上に置いてそう言った。すると、建物のドアがゆっくりと開き、深緑色の制服を着た中年の男が出てきた。胸には、赤い星のバッチをしていた。

「えー、諸君。まずは合格おめでとう。私は新世界発掘隊の総指令隊長、マックスだ。郵送した小冊子にも書かれていたように、君達には第二号採掘地区に、物資を運搬してもらう。今回に限り、上級隊員が君達一人に対して一人づつ付く。わからなかったら、彼らに聞くように。では、車両庫へ行ってくれ。」

マックスが言い終わると、全員が巨大ドリルの近くにある倉庫に走っていったので、少年もそれに続いた。

 車両庫には、浮遊車両、通称『エアビーグル』が置いていた。その車両の近くに、一人づつ20代ほどの青年が立っていた。

「では、各自、エアビーグルに向かってくれ。」

マックスがそう言うと、他の新人達が威勢よく返事をし、エアビーグルにむかっていった。少年は、一番奥のエアビーグルの下へ向かった。するとそこには、青色の目をし、水色の制服を着た青年が立っていた。

「君が、新しくこの隊に入った人だね?」

青年は好意的な感じで話しかけてきた。

「はい、そうです。」

少年はしっかりと答えた。すると青年は微笑んで、

「僕は、新人研修や第3号採掘地区の監督を担当する、レオン・サージェストだ。君は?」

その好青年、レオンはそう自己紹介した。

「僕はメディスストリートから来た、グラッグ・ノートダムって言います。今日一日、よろしくおねがいします!」

グラッグははっきりと、自己紹介した。レオンは微笑んで、

「こちらこそ、よろしく。」

そう言って握手した。そして、エアビーグルに乗った。

 エアビーグルの中は、光る操作盤や積荷の状況を見るモニターなどがついていた。グラッグがきょろきょろとしていると、レオンがハンドルやレバーなどのある左側の席に座った。

「僕らの出る順番は最後みたいだから、色々と説明するよ。あ、それと、君は右の席に座ってね。」

レオンの言葉にグラッグは頷いて、右側の席に座った。前には積荷の状態を映し出すモニターがあった。

「エアビーグルは、僕の座っている席が運転、君の座っている席が積荷の状況を見たりする役になってるんだ。まず、重要な運転から説明しよう。」

レオンがそう言うと、グラッグは彼の方を向いて、真剣に聞いた。

「エアビーグルはほとんどがコンピューター制御だから、今日みたいに事前にルートが入力されてる時は何もしなくていいんだけど、もし、大きな岩が道にあったりした時、このレバーとハンドルを使うんだ。」

レオンが彼の前にあるレバーとハンドルを指差して言った。

「このレバーは下へ倒すとブレーキ、上へ倒すと加速するようになってるんだ。そしてハンドルは、急旋回したい時とかに右や左へ動かすってわけ。簡単だろう?」

レオンの言葉に、グラッグは頷いた。

「で、その他の操作盤とかの操作は・・・今の君は知らなくても大丈夫だろう。」

レオンがそう言っていると、彼らの隣のエアビーグルが、車体の下の、推進機から噴出す炎の音と共に車両庫の外へ走り出した。

「お、そろそろ僕らが出発するみたいだね。」

レオンは前へと向いて、椅子の横にかけていた水色の制帽を被った。

「レオンさん、僕に制帽とかはあるんですか?」

グラッグが聞いた。するとレオンが、

「ああ、君の制帽なら、椅子の横にかけてるはず。それを被れば、勇気が出てくるはずだよ。」

と言って微笑んだ。グラッグは椅子の横を見ると、彼のと同じ、水色の制帽がかけていた。それを被ると、あの憧れの新世界発掘隊に入隊できたことを、改めて感じた。そして、ゆっくりとエアビーグルが動き出した。

 車庫を出ると、荒れた大地の先に、巨大ドリルがあった。そのドリルのあけた穴のまわりに、小さなテントなどがあった。彼らのエアビーグルから見て右側のテント付近の穴から、エアビーグルが飛び出してきて、こちらへ向かってきた。

「ん・・・?」

レオンが突然声を出した。

「どうしたんですか?」

グラッグが聞くとすぐにレオンは前のレバーとハンドルを持って、

「伏せろ!」

大きな声で叫んだ。そして、ハンドルを右へきり、レバーを一気に下まで下げた。ガガガッと車体が土をすべる音がし、エアビーグルはドリルの手前で止まった。グラッグが顔を上げると、目の前に薄汚れたエアビーグルが止まっていた。

「なぜ飛び出してきたんだ・・・?」

レオンがそう言うと、前方にいるエアビーグルがこちらへ向いた。中から割られたフロントガラスからは、規則正しく脈打つ赤い虫の足のようなものが何本も、外へ這い出ようとするように蠢いていた。操縦席の中には、口から血を流し、白目をむいてぴくりとも動かない、グラッグの隣のエアビーグルにいた新人とその指導係が座っていた。



 最初のあらすじがとても長いですが、1章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-03-23 11:50 | オリジナル1『呪われた都市』

小説・続編 あとがき

 小説もあわせて1年以上続いたオリジナルメイプル小説も、ついに幕を閉じました。

 最初の計画とは少し違う終わり方でしたが、僕としては満足した最後が書けたと思います。

 さて、最初から読んでくれた方にはわかると思うのですが、今回はミストのキャラが前作の小説に比べてかなり濃い(?)感じになっております。理由はよくわかりませんが、おそらくリアルでの僕に似ているからではないかと思います。何かをやろうとしても思うだけでできなくて、思いを伝えたい人がいるのになかなか何も言えなかったり、自分のせいで事態が悪い方向に進んだと自分を責めたり、一人で泣いたりするのが僕に似ている所です(強いところは似てませんよ)

 なのでミストには、なんとしてでもハッピーエンドになってほしかったので、18章あたりで急遽展開を変えて、(やや強引でしたが)珠蟲姫を復活させて、さらに彼の思いがとりあえず通じるという感じのラストにしました。

 その代償っぽいですが、心残りなこともいくつかあります。まず、最初の終わり方の予定だった、デニスが復活するラストにできなかったこと。強引にレビやラウルを復活させたので、つっこみどころ満載なところ、誠が最後に脇役しかなかったこと、誠が現実世界に戻ることを一言も口にしなかったことなどです。

 ほんとはこの後の、ミストと珠蟲姫の生活について書きたいのですが、そうすると戦闘シーンが入らなかったり、ますます誠に出番が回ってこないのでやめておきます。

 ということで、番外編を時々書くかもしれませんが、ひとまずこの小説は幕を閉じさせていただきます。レッドボトルさんや瞬殺さん、ランさんの他に、どこかのブログから来て読んでくれた方、メイポ内で「小説読んでます」と声をかけてくれた方、特別に出演してくれたベリブさん、そして、長い間つきあってくれたデニス、ミスト、誠、珠蟲姫、レビに感謝の気持ちを伝えます。

 長い間、ありがとうございました!

次の小説の予告
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by jwpwm424 | 2007-03-19 20:24 | メイプル小説・続編
いよいよ最終章です。書いているうちにかなり長くなってしまいました。ではスタート



 聖域には、乾いた大地の中から緑の葉を茂らす巨大樹が生えていた。ノーブルドラン達は、木から光の指す足場へ飛び移り、手招きした。誠もそこへ乗った。すると、ノーブルドラン達が誠へ小さな卵を差し出した。

「僕が置いた方がいいんだね?」

彼がそう聞くと、ノーブルドランは頷いた。誠は静かに、足場に卵を置いた。すると卵にヒビが入り、中からノーブルドランに似た体の色をした、小さなドラゴンが生まれた。ドラゴンは、小さく咆哮を上げた。その咆哮は、リプレ村の焼き尽くされた家を、ミナルの燃やされた森を、荒らされたノーブルドラン達の住処を、昔の状態へ、ゆっくりだが、戻していった。龍の巣のあちこちから、ノーブルドラン達の喜びの叫びが上がったのを、彼は聞いた。

 その咆哮を聞いて、ミストが顔を上げた。そして、聞いた。

「・・・モイラさん、姫さんは、やっぱり帰ってこないのか?」

モイラは言いよどんだ。しかし、はっきりと、

「残念ながら・・・あの爆発に巻き込まれて生きている希望は少ないです。森が元に戻ったら、彼女のお墓を立ててあげましょう・・・」

そう言った。ミストは、ゆっくりと息をはいた。彼女と、デニスの形見であるニスロックの欠片を掴んで、聖域に指し始めた光をずっと眺めていた。

 しばらくして、洞窟の中から何かが出てきた。それは、あちこちが黒こげになり、鎧も砕かれたケロベンだった。

「ケロベン!」

モイラがすかさず叫び、ミストの前に立った。

「・・・待ってくれ。」

胸を押さえながらケロベンが言った。

「お前・・・ミスト・・・とかいったな。まさかホーンテイル様を倒してしまうとは・・・」

穏やかな顔でケロベンが言った。ミストがゆっくり振り向いた。すると、唯一無事だった槍を、ミスト達の前に投げた。そして、手を下げた。

「俺の負けだ。そして俺は、龍族の騎士らしく、今までの罪を償う。その槍で、俺の胸を突け。そして、俺が殺してしまったノーブルドラン達の元へ連れて行け。」

ミストを見据えて言った。ミストはしばらく迷っていたが、やがてゆっくりと槍を取った。そして、ケロベンへと突撃した。ケロベンは、まったく目をそらさなかった。ケロベンへ槍が当たる直後、ミストは突然狙いを変えた。槍を、洞窟の中へ、裏切ったケロベンを殺そうとしていたリザードマンへ、投げつけた。暗殺者は、声も出さずに倒れた。

「・・・ケロベン、お前は聖域へ行け。そして、ノーブルドラン達に謝れ。」

厳しい口調でミストが言った。ケロベンはゆっくりと頷いた。そして、ベルトの中から、小さな皮の袋を取り出して、ミストへ渡した。

「それは、お前から奪った中で、一つだけ無事だった物だ。・・・奪ったりして、悪かったな。」

そう言うと、聖域へと、歩いていった。ミストが返してもらった自分の道具袋を開けると、ミストが苦労して作った、小さな木箱が焦げ一つなく入っていた。

「・・・戦いが終わったら、これを姫さんに渡すつもりだったんだけどな・・・」

誰に言うわけでもなく呟いて、箱を開いた。そこには、メイプル世界ではとても珍しい、見る方向によって色の変わる幻の宝石、アレキサンドライトがはめこまれた指輪が、静かにおさまっていた。その宝石を見て、再び箱を閉じた。そして、聖域へと、歩いていった。彼には見えなかったが、洞窟の中から、ゴーレムに乗った1匹のノーブルドランが出て来て、モイラに何か話をしていた。

 聖域には、誘惑によって操られていたと思われる100匹前後のノーブルドランが集まっていた。その中には、泣きながら頭を下げるケロベンがいた。生まれたばかりのベビードラゴンと話をする誠もいた。その中から1匹のノーブルドランがミストに近づいてきて、手招きをした。ゆっくりと、ついていった。ベビードラゴンの前まで来ると、ベビードラゴンはミストに息吹を吹きかけた。彼の傷がすべて塞がった。

「・・・ミスト、姫さんは、きっと帰ってくるよ。」

誠が、ミストの肩を軽く叩いて言った。近くにいたケロベンは、ベビードラゴンと、何かを話していた。

 ベビードラゴンとケロベンの話が終わった頃、聖域に、ゴーレムに乗ったノーブルドランと、そのゴーレムから出た蔦に座るモイラが来た。モイラが地面に降りると、ゴーレムは蔦を背中に伸ばし、刀身にヒビの入ったチュロイバーを取り出し、ミストへさしだした。

「洞窟の中で見つかった物です。」

モイラがそう説明した。ミストはチュロイバーを取った。するとベビードラゴンがそのチュロイバーに息吹を吹きかけた。するとチュロイバーにあった邪悪な力が、風に溶けるように消えていった。その間に、モイラがノーブルドランに小さな声で何かを話した。ノーブルドランは頷いて、洞窟の最深部で拾った黒焦げの何かを、モイラへ渡した。

 平和の戻ったミナルの森では、ノーブルドラン以外に、誘惑によって操られていたジャイアントタートルやシングルプテラス達も含めて、宴が開かれていた。森の恵みである果実を食べる者、正気に戻った仲間達と楽しく話す者、森に木の苗を必死に植えるケロベンもいた。誠は、モイラと一緒に果実を料理していた。そんな中、宴が見える高台に、ミストは座っていた。

「みんな楽しそうだな・・・」

彼がゆっくりとそう呟くと、肩に誰かの手が乗った。振り向くと、ベビードラゴンがいた。何も言わずに、ミストの横に座った。

「お前も宴へ行けよ。俺はここで見ておくからさ。」

ミストがベビードラゴンに言うと、ベビードラゴンはゆっくりと、高台を下って行った。しばらくすると、リプレ村の住民達も、宴へ来ていた。心地よい風が、ミストの長い赤色の髪をなでた時だった。

「ミーストさん」

やや高い声が、彼の後ろから聞こえた。彼はゆっくりと振り向いた。そこには、髪に所々煤がついたり、着物がボロボロになったりしている、珠蟲姫が微笑みながら立っていた。

「姫さん!」

ミストは驚きの余り声を上げた。彼女の横には、1匹のノーブルドランがいた。

「驚いた?」

悪戯が成功したかのように、珠蟲姫は笑った。ミストがあたりを見回したが、特に仕掛けらしきものはなかった。

「実はね・・・ホーンテイルが爆発して、その爆風で洞窟の壁へ跳ね飛ばされそうになった時、偶然箱が開いていた、誠さんの星の石の中に自分の体を封印したの。だからあの爆発にも耐えられたんだけど・・・無理に体を封印したせいで、右手が切れたりしたってわけ。」

そう言って彼女は右手を見せた。何本かの触手が、焼き切られていた。

「心配かけてごめんね。もう、大丈夫だから・・・」

宴へ行こうと続けようとした彼女は声を止めた。彼女のボロボロの着物をミストが掴んで、顔を見せないように泣いているのが見えた。

「よかった・・・姫さん・・・ほんとによかった・・・」

何度も何度も、ミストはそう呟いていた。彼が泣き止むまで、珠蟲姫はずっとそこに立っていた。

 一生懸命に料理を作るモイラの元へ、珠蟲姫と一緒にいたノーブルドランが戻ってきた。2人の様子を、簡潔に伝えた。

「それなら、彼らの分も作らないとね。」

モイラがそう言って、隣の誠にメニューを伝えた。

 泣き終えたミストは、夕日が沈むのを、珠蟲姫と一緒に眺めていた。

「・・・なあ、姫さん」

ミストがやや緊張した声で言った。

「何?」

同じくやや緊張しながら珠蟲姫が言った。ミストは道具袋から小箱を取り出し、彼女の方へ向けた。そして、ゆっくりと箱を開けた。赤く見える、アレキサンドライトの指輪が納まっていた。

「綺麗・・・これを私に?」

珠蟲姫の言葉に、ミストは顔を赤らめながら頷いた。珠蟲姫は触手でその指輪を取り、右手の触手にはめた。彼女が少し手を動かすと、色々な色に見えた。

「ありがとう!」

珠蟲姫はそう言って、隣に座るミストにだきついた。ミストはゆっくりと、

「俺の方こそ・・・ありがとう。」

そう言った。夕日が、彼らを静かに照らした。

 日が沈むと、宴の席の周辺では、小さなたいまつが立てられ、宴は続いていた。ミストと珠蟲姫が宴の席へ行くと、2つ、椅子が用意されていた。

「俺達の分も用意してくれたのか・・・」

ミストはそう言い、席についた。珠蟲姫も、その隣の席についた。

「ミスト、待ってたよ。」

木の葉で作ったエプロンを腰に巻いた誠が言った。そして、彼らの前に、果実で作ったケーキを出した。

「さあ、宴はこれからよ!みんな、楽しんでね!」

モイラが元気よく言った。苗を植えるのが終わったケロベンが宴の席に来ると、ノーブルドラン達が料理の乗った皿を彼に渡した。

「お前ら・・・俺を許してくれたのか・・・」

涙を腕でぬぐいながら言った。その宴の少し遠くでは、ベビードラゴンとラウルが、静かに宴を見ていた。

「しかし・・・あの傷で復活できるとは、私も驚いたよ。」

ラウルが呟いた。ベビードラゴンがラウルの方を向いて言った。

「あなたの、リプレの幸せを求める心が、私の癒しの力を強めたおかげですよ」

「・・・そうか。」

ラウルは満足そうに頷き、遠征隊の勲章を懐から取り出した。ワイバーンの爪から彼を守った勲章は、2つにわれていた。

 ミナルの森のはるか遠く、人のいないリプレステーションの船の上から、一人の男が宴を見ていた。

「どうやら・・・これでハッピーエンド・・ってとこだな。」

軽傷を負っただけのベリブは、そう呟いた。そして、船の甲板を見て、言った。

「レビも、そう思うだろ?」

「そう・・・ですね・・・結局、僕のチュロイバーも、鎧も帰ってきませんでしたけど。」

レビアンズが、ベリブへ言った。

「さぁーて・・・これから忙しくなるな。まずは、レビの体を見つけないとな。」

そう言って、甲板においてある、木箱に座った。

「早く見つかればいいですけどね。」

甲板の隅の、木箱の上においてある、小さな指輪の中のレビアンズが言った。

「ふう・・・」

レビアンズが、ため息をついた。

「どした?」

ベリブが聞いた。

「ベリブさんに黙って出てきて、何年も旅をしてきましたが・・・結局、『究極の力』っていうのは見つかりませんでした。」

レビアンズが、今までの旅を振り返りながら言った。

「結局、『究極の力』って何なんですかね?」

レビアンズの問いに、ベリブは答えることが出来なかった。かわりに、

「まあ、闇のクリスタルに利用されて、やられる寸前にチュロイバーの中に意思だけを逃がしたおかげで、俺のフレンドリングに入れたんだからな・・・すごい偶然が重なってるよな。」

そう言って慰めた。

「どこか、体を元に戻してくれそうな場所に心当たりはありませんか?」

フレンドリングの中の、意思だけのレビアンズが聞いた。

「そうだな・・・エルナスにいた、アルケスタの奴なら、なんとかしてくれるかもしれないな。」

ベリブが言った。そして、夜空を見た。キラキラと、星が輝いていた。レビアンズもそれを見ていた。

「綺麗ですね・・・」

レビアンズが言った。

「そうだな・・・」

ベリブも、静かに言った。すると、船がゆっくりと動き出した。

 ミナルの森の宴は、朝まで続いたという。その後、たくさんの人やドラゴンの見送りを受けて、誠、ミスト、珠蟲姫はリプレを去ったという。しかし、メイプル世界のすべてが平和になったわけではない。なので、まだまだ彼らの旅は続くのだが、語るのは、ここまでにしておこう。



 過去最高なほどの長さでしたが、最終章は終わりです。またきまぐれに番外編を書くかもしれません。しばらくしたら後書きを書きます。 
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by jwpwm424 | 2007-03-17 14:03 | メイプル小説・続編

第19章 悪夢の終結

 いよいよ最後の戦いです。この章はとある都合によりとても長いです。ではスタート



 チュロイバーを背負ったミストと、カンディネを握り締めている誠は、かつてリザードマンの男と来た洞窟についた。すると、前にある光の漏れる穴からホーンテイルの首が出てきた。

「やはり来たか。遠征隊のさしむけた愚かな人間よ。」

ホーンテイルはそう言い、誠達を睨んだ。

「姫さんを返せ!そしてこのリプレから出て行け!」

ミストがドラゴンヘッドを向けて叫んだ。

「・・・あの小娘の連れが貴様らか。よかろう。相手になってやる。」

ホーンテイルはゆっくりとそう言い、口から金色のナイフを彼らの近くへ吐き出した。

「それを持って、私の玉座まで来るがいい。名誉ある死を与えてやろう。」

低い声で笑いながら、ホーンテイルは光の漏れる洞窟の中へ首をひっこめた。

「・・・やってやろうじゃねえか・・・おい!誠!いくぞ!」

龍の力がこめられたナイフ、ドラゴンサクスを取った誠は静かに頷いた。そして、2人で光の漏れる洞窟へと飛び込んだ。

 2つの洞窟を抜けると、そこには広い空間があった。その先に、ホーンテイルがいた。

「小娘は返してやろう。」

右、左、真ん中にある3つの頭のうち、左の頭が言った。すると珠蟲姫を掴んだワイバーン達がホーンテイルの後ろから出てきた。ミスト達の前に彼女を乱暴に放り投げた。

「姫さん!」

ミストはすかさずかけより、何度かゆすった。すると珠蟲姫は、ゆっくりと目を開けた。

「ごめんなさい・・・ミストさん、一人で勝手に行っちゃって・・・」

珠蟲姫がそう言うと、ミストは回復魔法、ヒールを唱え、彼女の傷を完全に塞いだ。珠蟲姫がゆっくりと立ち上がった。

「さあ、かかってこい。愚かな者どもよ。」

右の頭が言った。最後の戦いが始まった。

 誠は自分と2人にヘイストをかけ、一気にジャンプした。そして、右の頭を斬りつけた。しかし右の頭は少しも動じず、眉間の近くから後ろ向きへ生えた角が光った。その角に込められた膨大な魔力が、誠の体に入り込んだ。

「ぐっ・・・なんだ・・・」

体がまったく動かず、誠は地面に墜落した。そして、ゆっくりと立ち上がった。ナイフを、ミスト達に向けていた。

「これが・・・邪悪な誘惑か!」

ミストが察した。誠の目はまったく感情がなく、ナイフを持つ手もまったく震えていなかった。

「さあ、私からのプレゼントだ。ゆっくりと楽しむがいい。」

そう言って、ホーンテイルの真ん中の頭が笑った。それと同時、誠がミストと珠蟲姫の元へ猛烈な速さで走り出した。間一髪で2人とも避けたが、ミストの避けた先には誠が立っていた。手が見えないほどの速さで誠はミストを6回斬った。

「目を覚まして!」

珠蟲姫がそう叫びながら、魔力で作った矢を誠へ放った。当たった矢は魔力の鎖になり、誠を岩にしばりつけた。それと同時、誠から誘惑が解けた。

「誠!大丈夫か!」

斬られた痛みに耐えながら、ミストが呼びかけた。鎖が消え、誠はミストにかけよった。伝説の秘薬、パワーエリクサーを飲ませた。

「なら・・・次はお前だ!」

左の頭がそう叫び、角に魔力をこめた。その角に、銀色に光る物体が突き刺さった。魔力が内部で渦巻き、鈍い音がして、左の頭が内部から爆発した。

「何だと!」

ホーンテイルの2つの頭が同時に言った。洞窟の奥から、人影が現れた。鮮やかな紫の髪、チェーンを巻いた黒色の帽子、黒色の服、手にはめた、赤色の特殊な手袋。放浪の盗賊、ベリブさんがいた。

 「あなたは・・・」

誠がゆっくりとつぶやいた。

「久しぶりだな。もう記憶は戻ったんだな?」

ベリブは太陽の形をした手裏剣を手に掴んで言った。

「あんたは誰だ?」

ミストが言った。

「ああ、俺は他の奴からベリブさんって呼ばれてる盗賊さ。ところで、あれからレビを見なかったか?」

そうベリブが聞くと、誠がミストの肩を軽くたたいた。ミストは背中に担いでいたチュロイバーを両手で持って、地面にさした。

「うそだろ・・・。レビの奴、究極の力を探すなんてくだらない事をいつも呟いてて、2年前のあの日、俺が朝起きたらいなくなってたよな・・・」

彼の鮮やかな青色の目から、一滴、涙がこぼれた。そして、手袋を外した。中指に、黄色い星が宝石のかわりについた、小さな指輪がはまっていた。それを、チュロイバーに軽く当てた。

「・・・また一緒に話したかったぜ。」

そう言って、ホーンテイルの方へ向いた。左の首からは、黒い煙が吹き出ていた。

「闇のクリスタルが中にいるってことか。」

ミストがつぶやいた。すると、洞窟の中に、闇のクリスタルの声が響いた。

「そこにいるのは・・・あの竜騎士の連れか。その小さな命、私がつんでやろう。」

その声を聞き、ベリブが気づいた。レビアンズを操っていたのはこのクリスタルだと。

「お前のせいで・・・許さん!」

そう言って勢いよくジャンプ、巨大な手裏剣を作り出してホーンテイルへと投げた。回転しながら巨大手裏剣、アヴェンジャーは飛んでいき、中央の頭の、赤く光る角の一つが爆砕された。そのすぐ後、右の頭から氷の息がはきだされた。ベリブは洞窟の壁面に叩きつけられた。

「ベリブさん!」

誠が叫んだ。助けに行こうとした彼のすぐ前に、ホーンテイルの呼んだワイバーンの大群が現れた。

「お前らもこれで終わりだ!」

真ん中の頭はそう言いながら、巨大な尻尾でミストと珠蟲姫をなぎはらった。2人とも壁に叩きつけられ、誠はワイバーンの大群にねじふせられた。シェイドパンツのベルトから、小さな宝石のはめられた箱が、地面に落ちた。蓋が開いたが、ワイバーンも、誠も気づかなかった。

「所詮ただの人間。私を倒すことなど不可能だ」

ホーンテイルはそう言い、ゆっくりと彼らに近づいた。そして、自分の胸に手を当て、赤い光を放つ物体を取り出した。それは、ホーンテイルの力を生み出す心臓だった。

「ありがたく思うがいい。お前らは殺さずに、私の再生のためのエネルギーにしてやろう。」

赤く光る心臓を倒れた誠たちにむけホーンテイルが言った。何も持っていない左手で、倒れている珠蟲姫を掴んだ。

「姫さん!」

ミストが叫んだが、珠蟲姫はまったく動かなかった。気を失っているようだった。

「まずはこいつからだ。」

右手で持った心臓の前まで珠蟲姫を近づけると、赤く光る心臓の、彼女の方へむいた部分が生物の口のように、4つに分かれて開いた。中には力を生み出し続ける闇のクリスタルと、それを渦巻くように回り続けるホーンテイルの力があった。

「姫さん!起きてくれ!」

ミストが必死に叫んだが、珠蟲姫はまったく動かなかった。

「さらばだ。」

ホーンテイルがそう言った直後、猛烈な速さで珠蟲姫は背中からニスロックを取り出し、自分の背ほどある桃色の矢を作り出した。そして、口を開ける心臓へ、中で黒く輝く闇のクリスタルへと放った。心臓の中で、爆発が起きた。

「グアアッ!」

ホーンテイルが唸り、心臓は闇のクリスタルと一緒に砕けた。珠蟲姫は地面に叩きつけられた。ミストが近寄ろうとすると、

「早く逃げて!」

珠蟲姫が叫んだ。その叫びに、

「姫さん!早くこっちに来て!一緒に逃げるんだ!」

ミストがさらに叫んだ。すると珠蟲姫は急に落ち着いて、

「これでいいのよ。」

と言った。ミストが彼女へ近寄ろうとする足を止めた。

「ありがとう・・・ミストさん。もう仲間のいない私に優しくしてくれて。・・・もっと一緒に、話したかった・・・」

涙を流しながら、珠蟲姫はそう言った。ミストが何か叫ぼうとした時、ホーンテイルの体が彼女を押し潰した。ホーンテイルの体のあちこちから、光が出た。

「早く!」

どこかから、珠蟲姫の声が聞こえた。ミストは、ホーンテイルへ背を向けて走った。その直後、ホーンテイルの体が爆発した。

 気がつくと、2人は生命の洞窟の入り口にいた。体は炎で焼かれたのであちこち焦げていた。

「気がつきましたか?」

ミストの視界の外から、高い声が聞こえた。振り向くと、檻から開放され、鉄球のついた鎖がなくなったモイラが立っていた。

「ホーンテイルを倒してくれてありがとうございました。ナインスピリットの卵は見つかりましたか?」

そのモイラの言葉を無視し、ミストは爆風で焼かれた腕を押さえながら立ち上がった。大きな岩の隙間から小さな赤い光が漏れるのを見つけた。すぐにかけよって、岩をどけた。それは、ホーンテイルの心臓の欠片だった。その心臓の欠片の横に、半分に折られたニスロックがあった。その弦には、途中で引きちぎられた珠蟲姫の赤い触手が何本か絡み付いていた。

「・・・姫さん・・・」

そう呟いた彼の頬を、涙が伝った。しばらくして、洞窟の中から、体のあちこちの焦げたノーブルドランが何匹か出てきた。大事そうに、小さな卵を抱えていた。

「それは・・・ナインスピリットの卵!誠さん、早くノーブルドランと一緒に聖域へ行ってください。」

モイラが驚いて言った。アーマーのおかげで傷の軽い誠はすぐに起き上がり、ノーブルドランと共に聖域へ走った。ミストは、声を出さずに泣いていた。



 とても長いですが、第19章終了です。次はいよいよ、(最初のも含めて)約1年以上続いたメイプル小説の最終章です。
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by jwpwm424 | 2007-03-16 21:28 | メイプル小説・続編

酢!

そろそろ更新しないと苦情がきそうなので、12月後半~2月ぐらいまでのネタ放出。

まず
f0054686_20282843.jpg















メカネコさんからメイプルハンター(+メイプルボウ)のお礼のハスキーをもらいました。メカネコさんありがとうございました。
この記事を書いている頃には人形に戻ってますが

 新年早々、ギルクエもしました。
f0054686_2040854.jpg















残念ながらネクロを倒せませんでした;

 次に
f0054686_203081.jpg















113レベルになりました。
 パッチで、ようやくホーンテイルに行けるようになったので、Reverkさんと協力してドラゴン退治。
f0054686_20314298.jpg









記念写真もとって・・・
f0054686_20311243.jpg















ついにドロップ。その後モイラの前に僕が行くと
f0054686_20321941.jpg
クエ終了と同時に変身するようです・・・皆さんも気をつけて;ちなみに2回目はまた泣き声集めないとダメという仕様になっています。その後何度か黒劉さんと泣き声集めもしました。










 (今は入れませんが)パッチ前なら入れた場所
f0054686_20374567.jpg















とてもきれいな場所でした。ちなみに今は『ナインスピリットの卵』というアイテムがないと入れないようです。

 ちなみにですが、ひなまつりのクエの報酬は攻撃槍書30%でした。今年こそボンボリがほしかったのになぁ・・・;

 ではこのへんでノシ

追記

SSを見てもわかりますが、年末ぐらいに23Mでチュロイバー(STR+8、攻撃力+111)を買いました。これで火力が結構あがり、河童に8kが出るようになりました。

こめんとれす
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by jwpwm424 | 2007-03-06 20:45

てすとふっき

題の通りテストから復帰したポンズです。

早速メイプル

パッチがあるんだよなーと思いつつ起動

『パッチができない古いバージョンです 今すぐダウンロードしますか?』

ポンズ「いやあの、古いって2バージョン違うだけなんですが」

そう思いつつDL

かかる時間:35分

・・・やる気失せました。ってことでハンゲームいってきます ノシ

記事の書き方がいい加減すぎるというコメントはうけつけません

ぽんずについて
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by jwpwm424 | 2007-03-02 13:09