受験のため仮引退中でしたが、合格したので復帰しました。小説をはじめとしメイプル記事も更新されます。


by jwpwm424

<   2007年 02月 ( 5 )   > この月の画像一覧

第18章 竜騎士の最期

いよいよレビと最後の戦いです。ではスタート



 レビアンズは、タバールから持ち替えた銀色に光る鉾、チュロイバーを片手で持ち、両手を上へ上げた。そして、上下の鎧の繋ぎ目を大きく開けた。そこには黒く渦巻く穴があった。

「止まれ!」

ミストがすかさず叫んだが、誠はその穴に引き込まれた。しかし、すぐに同じ穴から外へとはきだされた。リザードマンの変身は解けていた。

「はあっ!」

誠から吸い取った龍の魔力を両手に持ち替えたチュロイバーに込め、スラッシャーを放った。2人は後ろへ飛んでかわし、ミストは自分の体にある龍の魔力を龍の頭を模して作られた金色の杖、ドラゴンヘッドにこめた。変身が解けると同時、シャイニングレイを放った。

「ぐっ・・・まだまだ!」

レビアンズは巨大な聖なる力に負けず、再び立ち上がり、大きくジャンプしてスラッシャーを放った。ミストは洞窟の脇にあった岩のうらへ、誠は前へと走って避けた。そして誠は、地上へ降りたレビアンズをナイフで横向きに切り裂いた。

「ここで、お前の復讐を終わらせてやる!」

血のように黒い煙を噴出す傷口を押さえているレビアンズに、誠はそう叫びながら突っ込んだ。そして、ジャンプしてナイフで上から下へと切り裂いた。レビアンズがゆっくりと倒れた。誠がとどめをさそうとした時、レビアンズの体が宙に浮いた。

「な・・・なんだ・・・?」

ミストが警戒する姿勢をとり、ドラゴンヘッドを強く握った。誠も一歩下がり、カンディネを前へ向ける。

「はああああああああああっ!」

宙に浮いたレビアンズが、叫びながら体の前で手をクロス、その手を一気に横へと広げた。煙を噴き上げる傷口から龍の力が溢れ、バキバキと鎧を中から砕いていく。

 そこにいたのは、幻影に見える、巨大な龍だった。目は白く輝き、胸の中にはチュロイバーがゆっくりと、規則的に回っていた。

「これが・・・奴の持ってた龍の力か・・・」

ミストがそう呟いた。その青白い霧で作られた龍は、腕を大きく振るって、鋭い爪で誠を切り裂いた。

「ぎゃあっ!」

誠が斬られた体のあちこちを抑えながら地面を転げまわった。彼の体には斬られた後はないが、青白い電撃のような物が、体のあちこちを走っていた。ミストは、精神を集中させ、シャイニングレイを胸の中で回るチュロイバーへ放った。チュロイバーの回転が一瞬とまり、龍が後ろへ仰け反った。

「あの鉾がレビアンズなのか・・・?」

ミストはそう言いながら、龍に向かってジャンプした。すぐ下を龍の爪が通過した。ミストはそのまま龍の体の中へと入り、チュロイバーの近くまで来ると、杖に魔力をこめた。

「これで、終わりだ!」

ミストが叫びながら聖なる力をこめた杖でチュロイバーを殴った。すると、チュロイバーの回転が止まり、龍の咆哮が聞こえた。ミストが地面についた時、そのチュロイバーの中から、黒く光る球が飛び出した。

「あれは・・・」

ミストが目を細めてみた。それは黒く、妖しく光る、闇のクリスタルだった。龍は、胸の部分を押さえながら、膝をついた。その黒い球体は、ゆっくりと龍の前に来た。

「私が力を貸しても、この者達を倒せぬとは。」

その球体が、龍へと話しかけた。声は抑揚がなく、感情がまったくこもっていなかった。

「・・・もうお前には飽きた。消えろ!」

球体がそう叫び、闇の力を龍へと撃ちこんだ。龍の姿は、球体の放った力が姿を変えた黒い霧の中へと一瞬で呑まれた。その時、生きていた頃のレビアンズの、断末魔の叫びが洞窟に響いた。黒い霧が晴れたとき、そこには竜騎士の墓標のように、チュロイバーが刺さっていた。

「お前が闇のクリスタルか!」

ミストが球体へと叫んだ。

「私は、この世界を終末へと導く定めの者。貴様ごときに、邪魔をされるわけにはいかぬ。」

落ち着いた様子で闇のクリスタルは言い、闇の力をミストへと放った。間一髪で避け、シャイニングレイを放った。球体がビリビリと音を立て、揺れた。

「私の力を破壊するほどの強さだと・・・」

闇のクリスタルは驚いた様子で言い、洞窟の奥へと飛び去った。誠にヒールをかけて傷を癒し、地面に刺さるチュロイバーを見た。

「こいつも・・・考えてみればかわいそうだよな。復讐の心を奴に利用されて、最後には捨てられたんだからな。」

ミストはゆっくりと言い、チュロイバーを引き抜いた。そして、2人でホーンテイルの元へと歩いていった。



 若干短いですが第18章終了です。
[PR]
by jwpwm424 | 2007-02-25 17:44 | メイプル小説・続編

第17章 龍達の宴

 そろそろ最後です。ではスタート。



 ミストが洞窟の前の高台につくと、檻の前に上着を着ていない誠が檻によりかかって寝ていた。その胸には赤色の穴に見える傷口があった。

「誠さんは私が治療しておきました。着ていたシェイドアーマーは傷口と同じ部分だけが破かれてるので、私が直します。」

モイラが檻の中から言った。ミストは自分の簡単に作った服を見て、いいところばかりとっている誠に対して怒りを覚えた。

「ケロベンがそろそろ戻ってくると思います。なので、私の魔力で、あなた達をしばらくリザードマンに変えます。」

洞窟の入り口を見ながらモイラが言った。すると誠がゆっくりと目を開けた。

「あれ・・・ミスト、なんでそんな服きてんの?」

のんきな口調でそう言った誠の手をミストは乱暴につかみ、勢いよく立たせた。

「俺はお前と違って服作ったのがドラゴンなんだよ。わかるか?」

怒りを抑えながらミストが言った。誠はいまいち意味がわからないと思いながら体を見た。シェイドアーマーがなかった。

「僕のアーマーは?」

誠が聞くと、

「誠さんのアーマーは私が直しましたよ。はいどうぞ。」

笑顔でモイラが誠にシェイドアーマーを手渡した。その横でミストが、

「ふん・・・誠ばっかりいい思いを・・・」

不機嫌極まりない様子で言った。

 「じゃあ、目を閉じて、精神を集中してください。」

檻の前に立っているミストと誠に対してモイラは言った。2人が目をつぶったのを確認すると、

「龍の森でリザードマンを見ましたね?あのリザードマンの姿を思い浮かべてください。」

次の指示を出した。10秒たった後、

「じゃあ、いきますよ!」

大きな声でモイラが言った。それと同時に、2人の足元に魔方陣が出た。その魔方陣から白い光が柱のようにいくつもつきでた。

「うわっ!」

体が変化していく奇妙な感覚で思わず誠が声を出した。そしてその光がすべて消えると、

「もういいです。目を開けてみてください。」

モイラが一息ついて言った。最初にミストが目を開け、自分の手を見た。緑色の腕があった。爪は長くなっていた。

「これが俺かよ・・・」

そう言ってミストはうなだれた。その後誠がゆっくりと目を開けた。まず横を見た。地面に手をついて落ち込む緑色のリザードマンが見えた。次に自分の手を見た。自分の命を奪いかけた、ケロベンの手に似ていた。

「後は怪しいことをしなければ問題ありません。ケロベンが戻ってきたら合図します。」

冷静な口調でモイラが言った。

 しばらくして、

「ケロベンが戻ってきました。ゆっくりと近づいて、洞窟に入ってください。」

小声でモイラが言った。2人は慣れない体を操りながら、洞窟の前へと降りていく。

「どうかご無事で・・・」

小さくモイラが言った。

 洞窟の入り口を見ると、ケロベンが槍を片手で持って、柄の方を地面につけていた。誠が先頭で近づくと、

「おう!よくきたな!他の奴はみんな中へ入ってるぜ。早く入りな。」

前とはまったく違う対応をケロベンはした。誠とミストがさらに近づくと、

「いやあ、しかし今日に限って遅れてくる奴がいるとは。」

ケロベンが独り言を言った。それに対して、

「今日に限って?」

誠が聞いた。するとケロベンは彼の方を向いて、

「なんだ、知らねえのかよ。偉大なるホーンテイル様の傷が完全に治ったから、その宴があるのさ。」

説明した。さらに、

「おまけに今回は、俺が捕まえた人間の女も食事として出されるからな。お前らもほしいなら早く行ったほうがいいぜ。」

そうつけくわえた。誠には、ミストが歯ぎしりをする音が聞こえた。

「ミスト・・・抑えるんだよ。」

小さな声で誠が言った。そしてゆっくりとケロベンの横を通り、洞窟へ入った。

 洞窟の中は、たくさんのリザードマンがいた。なぜかミストと誠には彼らの話していることが理解できた。獣の肉を歩きながら食べる者、森のタートル達に後で少し食料を渡そうと仲間に話す者、ケロベンの捕まえてきた人間を早く食べたいと言う者もいた。

「なんだよこいつら・・・姫さんを食おうなんて・・・」

誠の後ろでミストがぼそりと言った。しばらく歩くと、

「おい、そこの奴、見かけねえ顔だな。」

洞窟の脇に座った、黒色のリザードマンに話しかけられた。誠は慌てながら、

「はい・・・ホーンテイル・・・様の傷が治ったと聞いて、ミナルの森のはずれから来ました。」

適当にデマカセを言った。するとそのリザードマンは立ち上がり、

「ミナルから来たのか。ならこっちにこい。俺がホーンテイル様の元まで案内してやろう。」

前へと歩き出した。誠はほっと一息ついて、後をつけた。ミストはまだぶつぶつと文句を言っていた。

 しばらく歩くと、青白い石の洞窟についた。そして案内をしていたダークリザードマンの男が、

「ホーンテイル様!」

そう叫んだ。すると前にあった光の出る穴から、巨大な龍の頭だけが出てきた。2本の銀色の大きな角が左右にあり、額にトゲがあった。

「何の用だ」

その龍の頭が聞いた。声はやや低く、洞窟全体が少し揺れた気がした。

「はるばるミナルの森から来た2名の者に、豪華な食物を与えて頂きたいのです!」

リザードマンの男が叫ぶと、その龍の頭は穴の中へひっこんだ。しばらくして、ミスト達の乗っている足場の下にある穴から、何人かのリザードマンが食材をもって出てきた。

「ありがとうございます!」

そのリザードマンの男は礼をして、食材を受け取った。そしてミストと誠に渡した。

「あ・・・ありがとうございます。」

誠がすかさず言った。

「いいってことよ!」

ダークリザードマンの男は笑いながらそう言った。そして来た道を戻るため、青白い石の洞窟の出口へと歩いていった。

 ある程度歩いた所で、何もしゃべっていなかったリザードマンの男が突然口を開いた。

「しかしなぁ・・・ノーブルドランの奴らには悪いことをしたな・・・」

その言葉を聞いて、誠達は足を止めた。リザードマンの男も、近くの石に座った。

「俺達がナインスピリットを倒すために、奴らをほとんど殺してしまった。別にノーブルドラン達を殺す必要はなかったのにな・・・同じ龍として、心が痛むぜ・・・」

語るようにその男は言って、うつむいた。

「この宴が終わったら、俺は部隊の指揮官をやめて、ミナルの森へ帰ろうと思うんだ・・・そして、森の中にあるノーブルドラン達の骨を集めて、供養してやろう・・・」

そう言って少しだけ顔を上げ、何匹ものノーブルドランを殺めた、サーベルのような剣を見た。そしてふっと息をはいた。

「お前らは、この宴が終わったら、ミナルの森へ戻るんだろ?だったら、宴が終わったら一緒に森へ戻ろうぜ。」

ホーンテイルの前とはまったく違う、穏やかな表情でリザードマンの男は誠達へ言った。彼らが答える前に、ゆっくりと立ち上がった。そして、彼らの方を向いた。何かを言おうとした時、リザードマンの男は低く唸った。そしてゆっくりと、誠とミストの方へ倒れてきた。バックステップでかわして、出口の方を見た。するとそこには、人のような影と、横向きに振られた後の鉾の影があった。男が地面に倒れると同時、その人のような影から、青白い翼が出た。

「レビアンズ・・・」

誠がゆっくりと言った。深い傷を負ってなお、復讐の心を燃やし続ける竜騎士は、銀の刀身を持つ鉾、チュロイバーを彼らに向けた。

「絶対に・・・許さない!」

誠はそう叫んで、死んだダークリザードマンの屍を飛び越して、竜騎士へと突っ込んだ。



 第17章終了です。後3章ぐらいで終わる予定です。
[PR]
by jwpwm424 | 2007-02-21 17:10 | メイプル小説・続編

第16章 災厄の原因

 今回はやや短いです。ではスタート



 「う・・・ここは・・・?」

ミストはゆっくりと目を開けて言った。すると目の前には桃色と白の体色をした小さなドラゴンがいた。ドラゴンはミストが目を開けたことを確認すると喜び、どこかに手招きをした。

「俺は・・・一体どうなったんだ・・・」

ズキズキと痛む胸を押さえながら上半身だけをおこした。するとミストのまわりには20匹ほどの小さなドラゴンがいた。

「そいつらはノーブルドランだ。君達を助けてくれた。」

視界の外から声が聞こえたのでそちらへふりむくと、銀色の鎧をつけ、銀色の羽飾りのついた兜を被り、巨大な剣を持った男が岩に座っていた。

「紹介が遅れたな。私はラウル。ホーンテイル遠征隊のメンバーだ。」

その騎士、ラウルはそう自己紹介した。

「君達が洞窟で倒れていたのを、そのドラゴン、ノーブルドランが助けたのだ。ノーブルドランはかつてこの龍の巣一帯に住んでいたのだが・・・ホーンテイルがワイバーンをはじめとするドラゴンをひきつれてきてから、この巣の隅で細々とくらすようになってしまった。」

ラウルの説明が終わると、何匹かのノーブルドランが泣き出した。

「その襲撃のことを思い出しているのだろう・・・彼らの仲間の中には、ホーンテイルの邪悪な誘惑に操られ、冒険者を襲う者も出てきた。」

ラウルはさらに説明をした。

「邪悪な誘惑ってなんだ?」

少し痛みのひいたミストが説明の中に出た事について聞いた。

「邪悪な誘惑というのは・・・ホーンテイルの持つ特殊な力だ。その力を受けると、ホーンテイルの思うままに体が動いてしまうという厄介なものだ。私もそれをうけ、さらにホーンテイルの仕向けたワイバーンの攻撃に会って敗北したのだ・・・」

ラウルはそう言って、ヒビの入った巨大な剣、クレイモアを片手で持った。

「なんで森がおかしくなったんだ?」

ミストの問いに、

「森がおかしくなったのは、ミナルの森の龍達の長老ような存在であった龍、ナインスピリットがホーンテイルとの戦いで負けたからだ。そしてナインスピリットの生んだたった一つの卵も、奴に奪われてしまった・・・」

ラウルが目を細めながら答えた。

「私が重傷を負い、モイラが捕まった今、君達だけが頼りだ。ホーンテイルからナインスピリットの卵を取り戻し、この巣の聖域でベビードラゴンを誕生させてくれ。頼む!」

ラウルからの頼みを聞くと、ミストは一度頷いて立ち上がった。そして気づいた。

「あれ・・・俺のバルナはどこにいった!」

彼が着ていたはずの服、バルナがなかった。かわりにミストにはミナルの森の葉で作られた簡単な服が着せられていた。

「君の着ていた服だが・・・ケロベンの槍によって完全に破かれ、使い物にならなくなっていた。だからノーブルドラン達が自分達の巣からその服を作り、君に着せたという訳だ。」

ラウルは冷静にそう言ったのだが、ミストは怒っていた。もし珠蟲姫が近くにいたら、ラウルに殴りかかっていただろう。他に失ったものはないか、ミストは頭を触った。帽子がなかった。その後腰の部分をさわったが、道具袋がなかった。

「ケロベンは君の衣服だけでなく、持ち物まで全部破壊してしまったようだ。残念ながらマギコダールもだ。」

ラウルが言った。

「じゃあどうやって戦えっていうんだよ!」

すかさずミストが反論した。するとラウルの後ろから、太い切り株のような形をしたゴーレムにのったノーブルドランが出てきた。ミストの前で止まると、ゴーレムは後ろから蔦をミストの前へのばした。その蔦には金色の杖が絡み付けられていた。

「君達のため、そしてリプレのためにノーブルドラン達が自らの命を削って作った杖だ。それを使ってくれ。」

ラウルがそう説明すると、ノーブルドランたちは深く頭を下げた。ミストはそれをゆっくりとうけとった。

「君と一緒にいた男の子は、モイラが手当てしている。行ってやってくれ。」

ミストは小さく頷くと、生命の洞窟へと走った。

 「さあ、お前達も彼の元へ行くがいい。ここにいたら、ワイバーンに襲われるぞ。」

ミストの姿が見えなくなった後、ラウルはノーブルドラン達に言った。ノーブルドラン達が頷いたすぐ後、ラウルの後ろから50匹ものワイバーンが姿を現した。

「早く行け。ここは私がなんとかする。」

ラウルがそう促すと、ノーブルドラン達は近くにあった枯れ木をゴーレムにかえ、乗った。そして生命の洞窟へと走った。

「・・・頼んだぞ・・・」

ラウルは走り去っていくノーブルドラン達を見て言った。そして、痛みに耐えながら、クレイモアを両手で持って立ち上がった。1匹のワイバーンが仕掛けた竜巻を飛び越え、ワイバーンの群れに斬りかかった。

 2分前までノーブルドラン達のいた所に、ひび割れたクレイモアがつきささった。その横に、ラウルが倒れた。

「私も・・・これまでか・・・最後に・・・もう1度だけ・・・聖域に指す光を・・・見たかった・・・」

そう言い終わったラウルの胸に、ワイバーンの爪がつきささった。最後まで戦い抜いた名誉の遠征隊員は、ゆっくりと目を閉じ、動かなくなった。



 第16章終了です。
[PR]
by jwpwm424 | 2007-02-10 13:47 | メイプル小説・続編

第15章 敗北

 (若干)クエストが進んだので15章書きます。ではスタート



 ミストは高台についた。

「なんだこりゃ・・・瓦礫だらけじゃねえか・・・」

あたりにちらばっている瓦礫を見てミストが言った。そして、あたりにはレビアンズがまきちらした闇の力の結晶が落ちているのを見つけて警戒した。一足遅れて誠が高台についた時、

「あなたは・・・珠蟲姫さんの仲間ですか?」

彼らの前の檻の中からモイラが声をかけた。ミストは急いで、

「なぜ姫さんの名前を知っている?」

そう聞き返した。モイラが事情を説明すると、

「遅かったか・・・」

ミストはがくりと膝を折ってその場にしゃがみこんだ。その横から誠はモイラの檻に近づいて、

「とりあえず、あなたをここから出してあげますよ。」

そう言って誠はナイフを振ろうとした。

「だめ!」

モイラが急いで言ったが、既に誠のナイフは檻に当たっていた。僅かに出来た檻のヒビから、電撃が彼の体に流れた。誠は声も出さずにその場に倒れた。

「この檻には・・・ホーンテイルの魔力がかかってるんです。奴が死なない限り、この檻は壊れません。」

モイラが悲しそうに言った。するとミストは立ち上がって、

「ひとまずだ・・・姫さんはこの洞窟の中に連れて行かれたんだな?」

そう聞いた。モイラが頷くと、誠の右手を引っ張りながら、番人のいない生命の洞窟へと入っていった。

 珠蟲姫は、ケロベンの左手に体を掴まれながら、脱出する手段を探すためあたりを見回していた。その様子にケロベンは気づいて、

「無駄なことを考えるな。お前は名誉なことに、ホーンテイル様の完全回復の時の宴の時に食卓に出される。そしてホーンテイル様は愚かなハプリングどもを焼き尽くしてリプレを征服するのだ。」

意地悪そうにそう言って笑った。珠蟲姫が悔しそうにケロベンを睨んでいると、洞窟の天井から下がっている鍾乳石に頭をぶつけた。

「痛っ・・・」

しかしそのショックで、名案がうかんだ。尊敬するようなまなざしをケロベンに向けて、

「ねえケロベンさん、あなたはとっても強いんでしょ?」

そう言った。笑っていたケロベンは彼女の方に向き、

「当たり前だろ!俺様はホーンテイル様の次に強い!」

得意気に言った。

「じゃあ、その強さを見せてくれない?ちょうどそこにある太い鍾乳石を槍の一突きで壊してみて!」

(中身のまったくない)尊敬のまなざしを向け続けながら洞窟の脇にある太さ10mほどの青白い鍾乳石を指差した。するとケロベンは珠蟲姫をおろして、

「こんな岩、楽勝だぜ。」

そう叫んで両手で槍を持って鍾乳石をついた。鍾乳石の真ん中に穴が開いて、崩れ落ちた。

「かっこいい!じゃああっちにあるのはどう?」

わざとらしく笑って珠蟲姫は先にある太い鍾乳石を指差した。

「あれも楽勝だぜ。見てろよ。」

ケロベンが鍾乳石の方へと歩き出した時、足音も立てずに珠蟲姫は洞窟の出口へと走り出した。

 「どうだ!」

鍾乳石を砕いたケロベンは後ろを向いた。洞窟の出口へと走る珠蟲姫の背中が見えた。2秒ほど沈黙して、

「この野郎!騙したな!」

足で地面を何度も叩いた後、彼女の倍ほどの速さで追いかけた。

 誠とミストは、青白い植物のある洞窟を進んでいた。

「何度も言ってるけど引っ張ったりしないでよ・・・」

右手の手首を押さえながら誠が言った。しかしミストはそれを完全に無視し、洞窟の奥を見ていた。すると、洞窟の奥に影が見えた。

「姫さーん!」

その影が珠蟲姫と思ったミストは叫んだ。しかしその影の正体はケロベンだった。ある程度近づいてきて、

「おい・・・ミスト、大きすぎないか?あの影」

誠が横から言った。ミストが数歩近づくと、その影はジャンプして彼らの前に立ち塞がった。

「侵入者め!俺様の槍をくらえ!」

与えられた任務を遂行するため、ケロベンは槍を両手で持ち、ジャンプした。ミストから放たれたシャイニングレイは、ケロベンの甲冑に当たると吸収され、消えた。槍は彼らの前の地面にささり、衝撃で2人は倒れた。

「痛っ!」

地面に勢いよく頭をぶつけた誠が目を開くと、そこには銀色に光る槍の先が見えた。その後ろには口元に笑みを浮かべて槍を構えるケロベンが見えた。

「あ・・・」

誠がそう言った直後、彼の胸に勢いよく槍が突き刺さった。

「うおおおお!」

起き上がったミストは全力でシャイニングレイを放った。しかし甲冑に吸収された。驚いているミストの方へケロベンは振り向いて、

「無敵のケロベン様にはお前ら人間ごときの魔法などきかん!」

得意気に言って彼の胸に槍を突き刺した。ミストは5mほど吹っ飛んで、洞窟の壁に当たり、倒れた。そこには珠蟲姫のことなど忘れたケロベンの笑い声が響き渡った。



 第15章終了です。ちなみにこの章の内容の一部は、瞬殺さんからいただきました。瞬殺さんありがとうございました。
[PR]
by jwpwm424 | 2007-02-06 16:33 | メイプル小説・続編

 えー・・・ほんとは色んなSSをはりたかったのですが、『画像の最大容量を超えています』というエラーが出ました・・・誰か助けて;

もし解決したら追記しまs
[PR]
by jwpwm424 | 2007-02-02 16:10