受験のため仮引退中でしたが、合格したので復帰しました。小説をはじめとしメイプル記事も更新されます。


by jwpwm424

カテゴリ:『のんびりメイプル生活』( 24 )

 エリジャーに関する話、想定外に長くなりました。エリジャーかわいいよエリジャー・・・ほんとそう言いたくなります。

・今回のポンズコメント

 なんか過去最高のいい感じ的なムードを作り出せた気がします。これは成長の証か神様が与えてくれた偶然か。・・・たぶん後者です。エリジャーもう1回出したいところですが、ずるずる引きずるのもあれなのでここでたぶん終わりです。

第24回 エリジャーの眠り
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by jwpwm424 | 2008-07-13 17:09 | 『のんびりメイプル生活』
 さくさくっ、と1時間ぐらいで書き上げた後編です。なんか途中からわけわからない方向に進んでます。ちなみにエリジャーとフィクシのエピソードはメイポの中の実際のストーリーとできるだけ近くしてます。

・今回のポンズコメント

 エリジャーかわいいよエリジャー。ペットにほしいぐらいです、はい。ネクソンさんお願いします。・・・実際(メイポでは)もっと威厳のある存在なんですが、なぜか最後にはあれな方向に・・・でもこういうキャラは今まで書いた小説の中にはいなかったので、書いてて楽しかったです。
内容的には、オルビスの過去の歴史的なものです。誠くんの乱舞は、最初はちょっと違ったものだったのですが・・・何故かこうなりました。何度も書いてますが自分の脳がよくわかりません。

第23回 エリジャーの怒り・後編
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by jwpwm424 | 2008-06-15 20:36 | 『のんびりメイプル生活』
えーっとものすごーーーーくひさしぶりに書くメイポ小説です。作風変化SUGEEEEEとか言う人が多いと思いますが、その期待を裏切らずこじれた世界の第三者視点のときみたいな感じになってしまいました。

・今回のポンズコメント

 こじれた世界と比べてかなり楽に(およそ30分ぐらいで)書けました。2章に分かれてしまったのはまあ文字数的な都合で。書くのが楽な理由ですが・・・やっぱりメイポのストーリーという参考物があるからかなーと思ったり。あ、内容的にはオルビスの某クエストの話です。エリジャー怖く書きすぎました・・・ちょっと殺伐とした話になってすいません。

第22回 エリジャーの怒り・前編
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by jwpwm424 | 2008-06-14 20:26 | 『のんびりメイプル生活』

第21回 戦いの予兆

 アリアントはクエストが終わらないまま引退したので当分先です・・・誠の話をやろうかなと思いましたが、彼が次でてくるのはアリアントの予定なのでミストたちのはなしです。ではすたーと。

今度からここには製作時の背景や推敲した時の感想(ポンズコメント)でものせときます。

・今回のポンズコメント
 テストがおわってうかれまくって作ったものなので戦闘シーンなどはまったくありません。まさにのんびりです。今まで影が薄かったマヤが活躍します。ちなみに僕はNPCではマヤとモイラが好きです。マヤのライオネルに関するクエストは今でもよく覚えてます。

第21回 戦いの予兆
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by jwpwm424 | 2007-11-16 18:23 | 『のんびりメイプル生活』
 さて、今回は最近出番がなかったレビのはなしです。ではすたーと。

※これもアルセリオ戦記・1章と同じく、追記記事に本文がはいっております。見たい方はクリックして見てください。

第20回 それぞれの歩み
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by jwpwm424 | 2007-11-10 11:20 | 『のんびりメイプル生活』

第19回 月夜の晩に

 今回は、エリニアの某有名クエストについての話が多いです。ではすたーと。



 珠蟲姫に逃げられたミストは、自分で作った家の中で寝ていた。

「・・・姫さん、なんで元に戻るのを嫌がってるんだ・・・?」

彼はずっとそう思っていた。そのまま日は世界樹へと沈んでいき、空は水色からグラデーションのかかったオレンジ色にかわった。

「そろそろマヤちゃんの家に戻るか。」

そう言って、彼が立ち上がろうとした時、ドアを叩く音がした。

「・・・誰?」

一応、珠蟲姫になりすますように言われているのでそう聞いた。

「珠蟲姫さんか?ちょっと中にいれてくれ。」

声の主はバハムートだった。ミストは鍵を外し、ドアを開けた。ゆっくりと、バハムートが入ってきた。

「何の用?」

ミストが聞いた。バハムートは羽をたたんで、彼の前に座り

「じつは・・・助けてほしいんだ。」

いきなりそう切り出した。

「ご主人さんが変なんだ。いきなり俺に対して優しくなったり、杖を投げて遊んだり・・・珠蟲姫さんは、何か知らないか?」

ミストに一応は絶対の忠誠を誓っているバハムートには、自分の主人が変わっていくのが耐えられないようだった。

「いや・・・私は知らないけど・・・」

ここで入れ替わったことをばらそうと思ったがやめて、彼はそう答えた。バハムートは、やや短い両手で頭を抱えて、

「なんであんなになったんだよ・・・」

そう呟いていた。ミストは少し考えて、

「・・・きっと、ミストさんは疲れてるんじゃない?それで、リラックスしようと思って・・・」

うつむているバハムートの頭を触手で触りながら、彼は言った。

「じゃあ、あの格好は一体・・・」

とバハムートは思っていたが口には出さなかった。かわりに、

「・・・じゃあ、俺は近寄らないほうがよさそうだな。しばらく、珠蟲姫さんのところにいていいか?」

そう聞いた。ミストは驚いた後、マヤさんがいいと言うならと言った。この家には、珠蟲姫が戻らない限り住む気はないようだった。

 「マヤさん、しばらくの間、バハムート・・・ちゃんを家に置いてくれない?」

マヤの家の玄関で、ミストが聞いた。

「何かあったの?」

彼女が、バハムートへ聞いた。しかしバハムートは事情を言わなかった。

「まあいいわ。まだ家の中には十分スペースもあるし。」

マヤは微笑んでそう言い、バハムートが礼をした。ミストの後に続いて、家に入っていった。

 昼と同じように、ミストは果実などを使って料理を作った。とてもおいしいとマヤは言っていた。

「ところで、バハムートさんは食べないんですか?」

マヤが、テーブルの近くに座って羽を休めている彼に聞いた。

「俺は魔法生命体だから食べる必要はないんだが、どんな味か気になるな・・・珠蟲姫さん、俺の分も頼む。」

調子に乗るなこの野郎。ミストはそう思ったが言わなかった。とりあえずマヤに出したものと同じものを作り、バハムートの近くのテーブルに置いた。

「おお、これはうまいな。明日も頼む。」

少しは遠慮ってものを知れよとミストは思ったが口には出さなかった。彼と記憶まで全て一緒なはずのバハムートは、なぜか彼と違い軽い性格だった。

 一方、珠蟲姫は夕日が木々の間からさしこんで、幻想的な感じのするエリニアの街を散歩していた。髪を後ろでまとめていた紐も外し、炎のような色の髪が、オレンジの光を受けてその色に染まっているようにも見えた。

「うーん・・・やっぱり声が気になるわね・・・」

彼女は、ミストの体だけでなく、声も手に入れたことに不満だったようである。

「そうだ!またカサンドラさんに頼めば・・・」

名案を思いついて実行しようとした時、彼女の足が止まった。前の方に見える足場に、小さな人影があった。

「誰かしら・・・?」

とりあえずドラゴンヘッドを構えてゆっくりと歩み寄った。残り3歩ほどで肩に触れるという所で、その人影がこちらへ向いた。

 それは、人ではなかった。白い目でこちらを見る、猿のようなものだった。肌の色などを見ると生気はなく、手に持つバナナが妙に美しく見えた。

「モンスターなの?」

彼女がそう尋ねた瞬間、その猿のようなモンスターは手に持ったバナナの中身だけを食べ、皮を彼女に投げつけた。それと同時、街の下層へと飛び降りていった。

「痛っ・・・何よあの猿・・・」

頭に直撃したバナナの皮をうらめしそうに見ながら、珠蟲姫が言った。その間に、日はさらに傾き、夜になっていった。

 エリニアにはまったく灯がないため、足元すら見えなかった。

「このままじゃ何も見えない・・・」

珠蟲姫は、ドラゴンヘッドに魔力をこめて振った。光の女神が形成され、一瞬だけあたりが白い光に照らされた。その光が消える直前、猿の叫び声が四方から聞こえた。

「何・・・」

珠蟲姫は、声のした一方向に杖を向けた。恐怖で手がぶるぶると震えていた。しばらくその方向へ進むと、何かを踏みつけた。それを手に持って目の前に上げると、人を模った人形のようなものだった。

「人形・・・?なんで猿がこんなものを・・・」

とりあえず飛び降りようとした珠蟲姫の背後から、

「そこにいるのは誰なの?」

高い声がした。

「別に怪しいものじゃないわ。冒険者よ。」

振り向いても何も見えないので、そのままの向きで言った。

「さっきゾンビルーパン達を倒したのはあなたなの?」

その声が聞いた。

「ゾンビルーパンって・・・小さな猿みたいなやつのこと?」

彼女の問いに、声はええそうよと答えた。

「それなら私だけど・・・それがどうしたの?」

珠蟲姫がそう言うと、彼女の後ろが少し明るくなった。振り向くと、2m以上ありそうな花の花弁が、ぼんやりと光っていた。その花の横に、先ほどの声の主と思われる少女がいた。腰の下まであるオレンジ色の長い髪と、薄い緑のローブらしきものを纏っていた。

「私はロウェン。さっきのモンスター、ゾンビルーパンについて色々と調べてるんだけど、手伝ってくれない?」

その少女の外見をした妖精、ロウェンはそう尋ねた。

「いいわ。詳しく聞かせて。」

珠蟲姫は特に断る理由もないので引き受けることにした。

 ロウェンは、珠蟲姫の拾った人形はとある者がばらまいた呪われた人形で、それを触った特に悪さをしない『ルーパン』というモンスターは強力なゾンビルーパンにかわってしまうという。そのゾンビルーパンはエリニアの人々を狙っており、なおかつ人形は自ら数を増やし、確実にゾンビルーパンの個体数を増やしているという。

「だからあなたに、その人形の回収をお願いしたいの。1つもなくなれば、死者のような存在にかえられたルーパン達も元に戻っていくはずよ。」

その言葉を思い出しながら、珠蟲姫は真夜中のエリニアの森を走っていった。明かりはまったくないが、目が暗闇に慣れて、少しだけ先なら見えていた。いつ崩壊してもおかしくないような足場を乗り継いでいくと、

「助けて!」

やや高い、しかし女性のものとは違う声が聞こえた。その声の方向へ走っていくと、何かが森の奥の方に走っていくのが見えた。ドラゴンヘッドを構えながら、かすかに見える足場を乗り継ぎ、木に開いた穴へと入り込んだ。

 中へ入ると、ほのかに明るかった。水色っぽい壁が、光を発しているようにみえた。そして、あたりには何十匹という数のゾンビルーパンがいた。

「ここが巣みたいね・・・」

彼女がそう言うと同時にゾンビルーパンが飛び掛った。珠蟲姫はシャイニングレイを放ち、向かってきたゾンビルーパンは壁に叩きつけられた。すぐに上空から同じぐらいの量のゾンビルーパンが降ってきた。彼女が再び魔法を放とうとしたとき、

「きゃっ!」

後ろから、ゾンビルーパンに顔にだきつかれた。視界が奪われると同時、大量のバナナの皮が彼女に投擲された。転んだ珠蟲姫に、ゾンビルーパン達は踏みつけなどで追い討ちをくらわせる。

「ミストさん・・・助けて!」

彼女は思わず叫んだ。

 遠く離れたヘネシスのマヤの家の中にいたミストは、ベットから跳ね起きた。

「・・・呼んでる・・・」

彼女の声ではなく、気持ちを察知して彼は起き上がったようだった。ベットの横にあったアールンを背中につけ、梯子を降りようとしたとき、

「ご主人さんのところにいくんだろ。」

1階の、テーブルの横にいたバハムートが言った。月明かりで、彼の青い瞳がさらに青く見えた。

「俺に乗りな。」

バハムートの、主人の命令ではなく好意で行ったことにミストは頷いて、彼の背中に乗った。赤い翼を広げ、バハムートは家から飛び出した。月の明かりが、翼を照らしていた。

 「止まって。」

エリニアの近くの、明かり一つない森の中で、突然ミストが言った。

「この中にいる。」

迷いなく、木に開いた穴へとミストは入ろうとした。バハムートも後ろから入ろうとすると彼は振り向いて、

「あ、バハムート・・・ちゃんはここで待ってて。私一人でやりたいから。」

一方的に言い放ち、穴へと入っていった。

 中へ入った彼の目に入ったのは、山のようになっているゾンビルーパン達だった。その山の下辺りから、赤い靴を履いた足がみえていた。

「姫さん!大丈夫か!」

近づいて引っ張りだそうとした時、積み重なって倒れていたと思っていたゾンビルーパンが彼へ一斉に飛び掛った。近寄るものを触手による引っかきで吹き飛ばしていると、何かを踏んだ。素早く見ると、倒れて動かない珠蟲姫の足の近くに、杏姫からもらった長い杖、封印錫杖があった。

「これを使えば・・・」

後ろから飛び掛ろうとしていたゾンビルーパンを蹴りで地面にたたきつけたところで、杖を拾った。長刀の刃のようになった先端で、向かってくる集団をなぎ払った。ゾンビルーパンの悲鳴が、彼らの巣である木の縦穴に響き渡った。

 最後の1匹を追い払って、封印錫杖を置いたとき、ミストは気づいた。珠蟲姫の服が(つまり元々のミストの体の服が)かわっていることを。

「あ・・・ミストさん・・・」

そのことに気づいた直後に、珠蟲姫がゆっくりと起き上がった。赤い髪が後ろでまとめられておらず、女性用のローブやスカートを着ていたので容姿端麗な女性に見えた。

「姫さん、なぜ服を変えたんだ。」

ミストが厳しい口調で言った。

「・・・やっぱりだめだった?」

珠蟲姫がすまなさそうに聞いた。ミストは頷いた。

「・・・でも、前からずっとやりたかったの。入れ替わらないと、こんなことはできないし・・・」

その意味深な言葉に、どういうことだとミストは聞いた。珠蟲姫はゆっくりと立ち上がって、壁によりかかった。

 「・・・私達の体には、どうしても消すことのできない特徴があるの。」

それは彼にもわかっていた。触角と触手だろとミストは言った。

「それだけじゃないの。・・・ちょっとそこに立ってて。」

彼女は言い終えると同時、ミストの前まで着て、着物の胸元を掴んだ。少しだけ横へずらすと、彼女の言っていたものが見えた。

「こ・・・これは・・・」

人間だと肩にあたる位置には、肩がなかった。何重にも絡まった触手と、黒っぽい、昆虫の足のようなものがあった。

「・・・これが、私達の宿命。私達には、昆虫の体の一部があるの。足だって、昆虫の足が絡みつくようになってる。」

彼女が、『服を脱いではだめ』と言った理由をミストは瞬時に理解した。見るものを震え上がらせるこの忌まわしい呪いのような存在を見せたくなかったからだった。

「でも、なんでこんなものが・・・」

彼はそう呟いた。

「・・・それは私達にもわからない。だから私は、旅の間に色んな本を見たの。私達はなぜ生まれたのかを知りたくて。」

彼女は、とても悲しそうだった。必死に感情を押し殺そうとしている様子が見えた。

「・・・わかった。もうしばらく、俺の体を使っていい。」

珠蟲姫の思いを知らなかった自分を責めながらミストが言った。

「ただし、条件がある。もう入れ替わったのを隠すのはやめる。バハムートだって、マヤちゃんだってかなり疑っているからな。」

珠蟲姫としてはそのほうがよかったが、そうするとカサンドラとの約束を破ることになってしまうのである。彼女の中で少しの葛藤が起きた後、

「・・・わかったわ。じゃあ私も、マヤさんの所に戻る。」

ミストの提案を彼女はとった。バハムートの待っている外へ出ようとしたとき、

「あれ・・・ここは・・・?」

珠蟲姫が、ここに入る前に聞いた声が彼女の後ろの方から聞こえた。振り向くと、金髪で茶色っぽい服を着た少年がいた。

「君は・・・ゾンビルーパンに連れ去られた子ね。もう大丈夫よ。ゾンビルーパンはもういないから。」

その少年の前にしゃがんで、笑顔で珠蟲姫は言った。ミストは封印錫杖を壁にたてかけて、あたりに落ちている呪われた人形を調べた。

「ほんと?ありがとうおねえちゃん!これで安心して森で遊べるよ!」

少年はとても喜んでいた。この少年はエリニアの住人の子かと思った。

「どういたしまして。ところで、君はいつもどこにいるの?」

確かめるために珠蟲姫が聞いた。

「僕はいつも、北の森にいるんだ。あそこもモンスターがいて危ないけど、あそこの木の中はとても綺麗なんだ。」

そう言った後、その少年は思い出したかのように自己紹介した。ロニという名前だとわかった。

「ふうん・・・私も今度いってみようかしら・・・」

彼女はそう呟いて、気をつけて帰ってねと言い残し、ミストの方へと行った。いくつかの呪われた人形を、彼は手に持っていた。

「・・・これがあのモンスターを操っていたようだな。闇の力が少し入ってる。」

ミストの感覚は非常に鋭敏であることを、彼女は改めて感じた。

 珠蟲姫が外へ出た瞬間、

「ご主人さん・・・ちょっといいか?」

いきなりバハムートにそういわれたので、彼女のあとに続いて出ようとしていたミストは一歩下がった。

「正気・・・なのか?俺の知っているご主人さんは、いつも使命のことだけ考えていた。」

余り表情の変化をみせない彼に、真剣な様子がみてとれた。

「俺はもう耐えられないんだよ。俺が唯一信頼しているご主人さんが変わっていくのが!」

かなり苦しそうに、悲しみに駆られているように言った。

「ちょ・・・ちょっと待ってよ。これにはわけが・・・」

珠蟲姫は、陽気な性格の彼の真剣な様子を見てかなりあせっていた。なんとかそれだけを言った。

「俺から説明しよう。」

珠蟲姫の後ろからミストが言った。

「珠蟲姫さん・・・?どういうことだ?」

 「そうか・・・入れ替わった・・・のか。確かにそう考えると自然に見えるな。」

ミストの説明を聞いて、バハムートは落ち着きを取り戻して言った。

「黙ってて悪かったな。そういう約束で入れ替わってたからな。」

珠蟲姫の高い声でミストが言った。バハムートはふっとため息をついて、

「じゃあ、俺の仕えるのは珠蟲姫さんの体を使ったご主人さんってことか。複雑だな。」

夜空に煌く星を見て、ゆっくりと呟いた。

 はるか遠くのヘネシスの広場では、

「ふうん・・・あの子、入れ替わったことをばらしたみたいね。色々と楽しませてもらったけど、私との約束が守れなかったことを、反省してもらおうかしら。」

カサンドラが、紫に光る水晶玉を見て言った。夜に吹く、冷たいそよかぜと共に、彼女の姿は消えていった。



 なんか書いててものすごく長くなってしまいました。第19回終了です。次はもしかしたらアリアントのはなしかもしれません。
ちなみに珠蟲姫のエピソードはもちろん僕オリジナルです。「日本メイポのキャラ(妖怪)はちゃんと実在?するんだから珠蟲姫もそうなのかな」とおもってウィキペディアフリー百科事典で調べてみたところ、まったく該当しなかったため、僕が勝手に設定をしました。すいません;もしかして資料が手に入ったら内容がかわるかもしれません。
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by jwpwm424 | 2007-10-17 20:30 | 『のんびりメイプル生活』

第18回 入れ替わり

 えーっと今回はミストのかっこよさが好きな人は見ないほうがいいかもしれません。飛ばしても(多分)ストーリーに支障はないので・・・ではスタート。



 「っつ・・・何が起きたんだ・・・?」

高い声でそう言い、触手で頭を抑えながら珠蟲姫(の体を使わされているミスト)はゆっくりと起き上がった。2階のベッドに彼はいた。

「あの後どうなったんだ・・・?」

彼は、誘惑が解かれて、自分が珠蟲姫を刺した事を知った後は覚えていなかった。

「そうだ!姫さんは・・・?」

彼がベッドから降りようとすると、何かに気づいた。手の感覚がどうもおかしいのである。

「手を怪我したのか?」

彼はそう思い、自分の手を見た。人間の体組織の色に似た触手があった。

「なんで・・・俺の手が姫さんの手になってんだ・・・?」

その時、彼は自分の声が珠蟲姫の声にとても似ていることに気づいた。そして、自分が下半身をいれている毛布の上に、小さな紙が一枚落ちていることも。

「なんだこれ・・・」

使い方がとても難しい触手を紙に絡め、書いているやや雑な字が目にはいった。

「これは・・・姫さんの字か?」

彼は、珠蟲姫が旅の途中にこの世界の人々が使う字を必死に練習していたことを思い出した。かろうじて読めるその字を、ゆっくりと読んでいった。

「姫さんが・・・俺の体を使っているだと・・・ってことは、俺が姫さんの体を使ってるのか。」

ミストは、非常に物分りがよかった。手だけが彼女と変わったわけではなく、体全てが彼女と変わったのである。

「なるほどな・・・俺の魔法を使いたいから・・・か。でも、なんで靴を脱いだらだめなんだ?」

紙の下半分に、強い筆圧で書いたと思われる字があった。そこには、絶対に服を脱がないこと、絶対に靴を脱がないこと、触角には触らないこと、などと色々な注意書きがあった。そして最後に、入れ替わったことがばれないこととも書いてあった。

「ちょっと鏡を見てみるか・・・」

ちょうど2階の端にある、鏡を見るために足を地面につけようとした時、彼は前向きに転んだ。

「痛っ・・・足にうまく力が入らないな・・・」

珠蟲姫は、足がかなり弱かった。これでどうやって歩いていたのかと彼は思った。

「・・・なんか、俺じゃないみたいだな・・・」

自分が恋をした恋人自身に自分がなったと考えると、彼は複雑な気持ちだった。

 やっと歩けるようになった頃、突然1階のドアが開いた。マヤが庭の手入れを終えて帰ってきたのである。

「珠蟲姫さん、起きてるの?」

マヤが、ミストを見て言った。彼は紙の途中に書いていた、『珠蟲姫が傷によって寝ていることになっている』という文章を思い出した。

「え、ええ、そうなの。」

かなり戸惑いながら、ミストが言った。珠蟲姫の頼みでなければ、彼は絶対にこんなことはしないだろう。

「ったく・・・姫さんは一体どこにいってんだよ・・・」

心の中で彼はそう思い、2階の窓から外を見た。すると、広場に自分が建てた家の近くに、ミスト(の体を使っている珠蟲姫)と見える人影があった。

「ちょっと散歩してくる。」

ミストはそう言い、1階に降りた。

「もう大丈夫なの?」

マヤの心配そうにこちらを見る顔をしっかりと見据えて、彼は頷いた。少しふらふらしながら、外へと出て行った。

 「あら、ミストさん。どうしたの?」

金色のドラゴンヘッドを宙に投げて遊んでいる珠蟲姫が言った。

「もう用は済んだんだろ?だったら早く戻ろう。」

彼のその望みは、

「嫌よ。私はこの体の方が楽しいんだから!」

珠蟲姫の言葉と煙球(楓城で拾ったもの)で返された。煙が晴れた時には、珠蟲姫はいなかった。

「このまますごせって言うのか・・・」

ミストがうなだれながら言った。

 昼頃。ミストの家の近くにあった井戸で水を飲んだ彼は、マヤの家に戻った。

「珠蟲姫さん、今日の昼食はどうする?」

キッチンの前に立っていたマヤが言った。その「どうする」の意味はよくわからなかったが、

「今日は俺・・・じゃない、私が作ろうか?」

ご馳走になるのは悪い気がするのでミストはそう言った。

「えっ・・・できるの?」

マヤはかなり驚いて聞いた。ミストは頷いて、キッチンの横にあった、遥か遠くのカラス山で採取された山菜やハーブなどを取った。

 しばらくして、

「お待たせ。」

2つ作ったうちの1つの料理を、マヤの前に彼は置いた。木の皿に盛られているのは、山菜やハーブを使って作ったサラダだった。

「すごい・・・まるで別人みたい・・・」

彼女の素直な感想に、ミストは一瞬唾を飲んだ。彼にとってこの料理は普通なのだが、マヤの驚き様は相当なものだった。

「姫さん・・・一体どんな料理作ってたんだよ・・・」

彼は自分の作ったサラダを食べている間、ずっとそう思っていた。

 ミストをうまくまいた珠蟲姫は、エリニアの森の中を歩いていた。

「はぁ・・・退屈・・・」

とはいえ、いつも話している彼がいないと、話し相手がいないのである。しばらく歩いて、何かを閃いて、

「えいっ!」

魔力をこめて杖を振った。聖なる紋章の中から、バハムートが現れた。

「あれ・・・?モンスターなんていないよな・・・?」

いつもは戦闘時しか彼を呼び出さないため、バハムートはそう呟いた。

「いや、ちょっと退屈だから呼び出したんだ。」

珠蟲姫のその言葉に、バハムートは驚いた。今までミストが自分を話し相手にすることは一度もなかった。

「ところで・・・これ、食べるか?」

珠蟲姫はそう言って、道具袋から動物の肉を取り出した。自分の後ろにいるバハムートに差し出した。

「あ、ああ・・・ありがとよ。」

とりあえずバハムートは、その肉を受け取って食べた。

「今日のご主人さんって・・・おかしくないか?」

食べ終わってすぐ、バハムートが言った。珠蟲姫の足が止まった。

「いや・・・そんなことはない・・・が。」

ここでばれるわけにはいかないので、彼女は前を向いたまま言った。

「なんでわかったの・・・?」

彼女は、エリニアにつくまでずっとそう思っていた。

 エリニアについた時、バハムートはどこかしらリラックスしていた。珠蟲姫が理由を聞くと、

「ここは魔法使いの地のせいか、マナが豊富だ。マナが豊富なところには、俺みたいな魔法生命体にはいいところなんだよ。」

彼はそう言っていた。

 しばらく経って、この地が安全だとわかったバハムートは羽をたたんで眠った。これはチャンスと思った珠蟲姫は、エリニアの武器・防具屋へと向かった。

「よし・・・こんなもんかな。」

防具屋から出て来た珠蟲姫は、自分の体を見て言った。紫色の、女性の魔法使いがつけるローブを纏い、靴は飾り気のない黒い靴から派手な飾りのついたものに変えた。手には、青色の飾り気のある手袋をつけた。彼女の体の持ち主であるミストが見ると卒倒しそうなこの服一式は、全てミストの持っていた財布からメルを取って買っていた。

「こんなことができるってほんと幸せ!」

彼女は、ワイバーン達を追い払うために入れ替わったことを完璧に忘れていた。彼女がはしゃぎ続けていると、バハムートがゆっくりと目を開け、首を上げた。

「まさか・・・ご主人さん?」

バハムートは珠蟲姫の(彼から見たらミストの)その格好を見て思わずそう言った。珠蟲姫は頷いた。

「似合うだろ?」

珠蟲姫が笑顔で言った。バハムートはかなり引きつった笑顔で頷いて、

「ちょっと・・・散歩してきていいか?」

これ以上この場にいると色んな意味で危ないと思い、彼はそう言った。珠蟲姫が頷くのも見ずに、羽を広げてヘネシスの方へと全速力で飛んだ。

 「ご主人さんにあんな趣味があったなんて・・・俺は耐えられないな・・・」

上空で、さっき見たものを思い出し、彼はそう呟いた。



 第18回終了です。
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by jwpwm424 | 2007-09-22 16:26 | 『のんびりメイプル生活』
 さて、襲撃を受けたヘネシスはどうなるのか!?な章です。ではスタート。



 誠が去ってしばらくして、空が突然黒雲に包まれた。

「・・・何かしら?」

マヤが不安そうに外を見ながら言った。そして、エリニアの向こうの方から何かが来るのが彼女に見えた。

「あれは・・・?」

珠蟲姫はその様子を見て、立ち上がって彼女の見るほうを見た。それは飛行生物のようで、3、40匹はいた。その飛行生物の大群は、ヘネシスの上を通り過ぎると同時に竜巻を起こした。家の中まで振動が伝わった。

「この風は・・・リプレにいたドラゴンの・・・!」

珠蟲姫は察知した。ホーンテイルが部下として連れていたワイバーンが街にきたと。

「私が行かなくちゃ・・・!」

珠蟲姫が行こうとすると、

「だめよ!その傷じゃ戦えないわ!」

マヤが悲しそうな顔で叫んだ。珠蟲姫は自分の腹あたりにある、黒色の染みをみた。

「でも、私は行く。今度は私がミストさんを守る番よ!」

珠蟲姫はアールンを背中からぬいて、ドアを開けて外へと飛び出していった。

 外に出ると、一瞬で珠蟲姫は上空から降りてきたワイバーンに囲まれた。

「あの小僧の連れか。今更になって、抵抗する気か?」

少し体の大きい、漆黒のワイバーンが聞いた。珠蟲姫はアールンをそのワイバーンに向けて、

「この街から出て行きなさい!」

叫びと同時に4本の魔力の矢を放った。全て当たったが、ワイバーンは仰け反りもしなかった。腹に負った傷によって、魔力はほとんど出せなかった。

「その程度の力で、我々を倒そうとは、笑わせるな。」

翼竜達は一斉に飛び上がり、強風を珠蟲姫にぶつけた。庭の柵を突き破り、かなり遠くまで吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「うっ・・・!」

ナイフで刺された傷に、強烈な痛みがはしった。起き上がることも、弓を構えることもできなかった。視界に、何十匹ものワイバーンの顔が見えた。

「一つ、チャンスをやろう。我々は今からこの島の街を回る。戻ってきた時、あの小僧を渡せばそのまま引き上げよう。渡さなければ、この街は廃墟になると思え。」

リーダー格のワイバーンはそう言って、カニングシティの方へ飛び立っていった。他のワイバーンもそれに続いた。風が、ゆっくりとやんでいった。

 痛みがひいて、ゆっくりと上半身を起こした。

「どうすればいいの・・・」

彼女がそう呟いた時、どこかから声がした。

「何か困ったことがあるようね。」

「誰・・・?」

女性のものと思われるその声に、珠蟲姫は聞き返した。すると、彼女の前に、かなり袖が長い服を着た女性が現れた。黄色い髪はバンドで止められ、片手に小さな紫色の水晶玉を持っていた。

「私はカサンドラ。悩める人々を救う魔術師よ。」

その妙齢の女性、カサンドラは言った。

「何があったのか、教えてくれない?」

カサンドラの言葉に、珠蟲姫は頷いて事情を説明した。

 「なるほどね・・・その男の子を渡さないとこの街を破壊する・・・随分と怖い話ね。」

カサンドラの言葉に、珠蟲姫はどうしたらいいですかと聞いた。

「簡単よ。あなたがその男の子と入れ替わればいい。そうすれば、魔法を使って、モンスターを追い払えるわ。」

珠蟲姫はかなり驚いた。そんなことができるのかと。

「私が出す条件を守れば、それを実行してあげるわ。」

カサンドラの言葉に、条件は何ですかと珠蟲姫が聞いた。

「私と、その男の子以外のすべての人に、あなたと、その男の子が入れ替わったことがばれないこと。これが条件よ。簡単でしょ?それと、まわりの人の記憶を操作して、あなたが傷を負って寝ているってことにしておいてあげる。」

珠蟲姫はちょっと考えさせてくださいと言って、痛みが引いたので立ち上がって後ろを向いた。

「どうしよう・・・ミストさんと入れ替わるってことは、ミストさんが私の体を使うって事だし・・・」

彼女の悩みは、自分の体にある、彼女にとってコンプレックスとなっている秘密が知られることだった。

「でも、入れ替わらないとこの街は破壊されちゃうし・・・ミストさんを信じるしかない。」

珠蟲姫は決心して、道具袋から小さな紙と羽根ペンを取り出した。紙に何かを書いて、今着ている、杏姫からもらった桃色の着物の胸元あたりに紙をはさんだ。カサンドラの方に向いて、

「お願いします。」

珠蟲姫が言った。カサンドラは微笑んで、

「じゃあ、目をつぶって。」

そう言った。彼女が目をつぶったことを確認すると、紫の水晶玉に魔力を込めた。珠蟲姫の体が、紫の光に包まれた。それと同時、風が強くなってきた。それはワイバーンの集団が戻ってきたことを示すものだった。

 「もういいわよ。目を開けて。」

カサンドラの言葉に、珠蟲姫はゆっくりと目を開けた。まず手を見た。指がやや細い、人間の手があった。何度か指を動かして、

「これが・・・私の体・・・」

ミストの、やや低い声で珠蟲姫が言った。

「喜んでいる暇はないわよ。あなたの言っているモンスターがもうきたみたい。」

前にいるカサンドラはそう言い、エリニアのほうを見た。かなりの量のワイバーンが編隊を組んで飛んできていた。

「カサンドラさん、ありがとう!」

珠蟲姫はそう言って、マヤの家の方へと走っていった。

「ふふふ・・・あの子は、私を楽しませてくれるかしら・・・」

何か企んでいるように、カサンドラが言った。

 「あの小娘は、おとなしく小僧を連れ出しますかね?」

飛んでいる途中で、レッドワイバーンがリーダー格のワイバーンに聞いた。

「私の作戦は完璧だ。絶対に連れ出すだろう。」

リーダー格のワイバーンはにやりと笑ってそう言い、降下しようとした瞬間、翼に光の矢があたった。

「ぐあっ!」

片方の羽が使えなくなり、街の入り口に落ちた。他のワイバーンも、そこへと降りていった。

「ふっ。なめてもらっちゃ困るぜ。」

リーダーの安否を確かめようとあせるワイバーン達に、ミスト(の体を使っている珠蟲姫)が言った。

「何っ!貴様、一体どうやって復活したんだ!」

起き上がったリーダー格のワイバーンが聞いた。

「そんなことを教える必要はない。お前らは、私・・・じゃなかった、俺が始末してやるぜ!」

かなりハイテンションな珠蟲姫が言った。自分のコンプレックスが消えて、かなり嬉しそうだった。

「クッ・・・奴は今なら魔力も弱っているはずだ!いけっ!」

リーダー格のワイバーンが命令すると、手下のワイバーンが一斉に襲い掛かった。

「バハムートちゃん、お願い!」

低い声で珠蟲姫は言って、ドラゴンヘッドをミストがやっていたように前に構えて、魔力をこめた。光の紋章の中から、バハムートが現れた。

「やっと出番か・・・」

バハムートがぼそりと言った。すぐ目の前にいるワイバーンに、バハムートは強大な魔力の一撃を放った。ワイバーン達が一斉に吹き飛ばされ、強風の中に消え去った。

「チッ!撤退しろ!」

一撃で部隊の半分を失ったので、リーダー格のワイバーンはそう命令し飛び立った。他の生き残ったワイバーンもそれに続いた。近くには、大量のメル袋や翼の欠片が落ちていた。強風がやんでいった。

 「なあ、ご主人さん。」

メル袋を拾っているミストに、バハムートが言った。

「なに?・・・じゃない、何だ?」

途中で言い換えてから珠蟲姫が言った。

「あのことを・・・珠蟲姫さんに話したのか?」

珠蟲姫の手が止まった。

「いや・・・話してない・・・ぞ。」

とりあえず、珠蟲姫はそう答えた。

「そうか・・・俺は話さないほうがいいと思う。」

珍しく、バハムートが意見した。

「ご主人さんは、頑張りすぎなんだよ。使命も、珠蟲姫さんも大事かもしれないが、少しは休んだ方がいいぜ。」

彼のその言葉を聞いて、

「・・・私は、使命のために戦い続ける・・・」

思わず、そんなことを言った。

「・・・私?」

バハムートは、ミストは絶対使わないような一人称を見逃してなかった。珠蟲姫は慌てて杖を振り上げて、

「戻ってろ!」

バハムートの召喚を解いた。光の紋章と共に、バハムートは消えた。

「危ない・・・ばれるとこだった・・・」

ドラゴンヘッドをしまって、自分の手をもう一度見た。

「でも・・・楽しいかも!」

珠蟲姫は笑いながらそう言って、ヘネシスの草むらの方へと走っていった。足で地面をしっかりと踏んで進む感触を楽しみながら。



 第17回終了です。次は入れ替わったミストの話かもしれません。
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by jwpwm424 | 2007-09-08 20:35 | 『のんびりメイプル生活』

第16回 始まり

 さて、今回はのんびりとは言えない感じの話です。ではスタート。



 「気がついたのね!」

目をゆっくりと開けた珠蟲姫の耳に、その言葉が飛び込んできた。視界のやや端に、心配そうにこちらを見るマヤがいた。

「私は・・・生きてるの・・・?」

マナの暴走に巻き込まれ、幻覚のようなものをマナの嵐の中で見た彼女は、死を覚悟していた。ゆっくりと起き上がろうとした瞬間、腰に強い痛みが走った。思わず背中を左手の触手で押さえた。

「まだ痛むの?」

少しだけ起き上がった彼女の前にいるマヤが聞いた。珠蟲姫は大丈夫と言って、上半身だけを起こした。

「あっ・・・ミストさんは!」

暴走の中心である彼のことを思い出しマヤへと聞いた。

「それが・・・ゴーレム神殿の方へと向かったらしいの。マナの力が無差別に撃たれ続けているから、止められないの・・・」

遠くの方に見える青色の竜巻のようなものを見ながらマヤが言った。珠蟲姫もそれが見えた。

「私が・・・止めなくちゃ・・・」

腰に走る痛みに耐えながら、ベッドから降りた。立つのがやっとだった。すかさず彼女の片手をマヤは持って支えた。

「無理しないで。ヘレナさんを呼んでくるから、それまでここで待ってて。」

マヤはそう言い、珠蟲姫をベッドの上へと運んで乗せた。そして、梯子を降りて外へと出て行った。

 その少し前。

 大陸横断船に乗っていた誠は、強い衝撃を進行方向から感じた。

「・・・っ!この衝撃は・・・!」

彼にはなんとなくわかった。この衝撃は闇の力ではなく、それ以外の何かが炸裂したものだと。

「誠さん!」

突然、頭の中に声が響いた。ビクトリアアイランドに残っていたスターフィクシからの言葉だった。

「ヘネシスの近くで、マナが強い風のようになっています!急いできてください!」

彼女(?)にしては珍しい、あせった様子だった。

「ああ、わかった。すぐいくよ。」

青色の帽子を押さえて、誠は言った。後2、3分でエリニアにつくというところで、突然何かが船体に当たった。地面が揺れた。

「まさか・・・」

誠は、ドラゴンサクスを握りなおした。そして、衝撃のきた方を見た。漆黒の羽で空を飛ぶ、クリムゾンバルログが現れた。

「くそっ・・・!こんな時に・・・!」

誠は舌打ちして、ドラゴンサクスで攻撃を加えようとしたが、何かを思いついてやめた。

「待て!僕はお前を攻撃しない!」

いきなり誠は、ドラゴンサクスを背中のポーチ(クリエルが作ったもの)にしまって前に飛翔するクリムゾンバルログに叫んだ。

「頼みがある。聞いてほしい。」

一歩近づいて言った。本来、すぐに攻撃してくるはずのバルログは、攻撃しないまま、彼の近くに降りた。船体が少し揺れた。

「珍しい。人間で我々に和解を求めるとは。」

バルログは口を開いていなかったが、誠の頭にはその低い声が響いた。

「この先のビクトリアアイランドで、マナが暴走している。お前・・・いや、君はマナをとめられないか?」

動物の頭骨を仮面のようにつけたバルログの顔を見て誠が言った。

「マナの暴走か・・・。面白い。力になってやろう。」

悪魔が、にやりと笑った。

 誠は、ヘネシスの近くの草むらにたどりついた。そこに、スターフィクシが言っていた物があった。青色のマナが、竜巻のように渦巻き、あらゆる物を吹き飛ばしていた。その竜巻は、彼の方へ向かってきた。

「まさか・・っ!」

マナが意識を持つことは決してなかった。しかし人を見つけ、襲い掛かってきたのなら、誰かが制御しているとしか思えなかった。

「たあっ!」

ドラゴンサクスを抜いて、風を纏い、地面を勢いよく蹴った。マナが風に吹き飛ばされ、竜巻の中にある物に誠は神速の一撃をくらわせた。

「ぐっ!」

やや低い声が聞こえた。直後に誠はマナに吹き飛ばされた。しかし、彼にはその声が誰かがわかった。

「ミスト・・・なのか・・・?」

ナイフを竜巻の方に向けながら誠が言った。

「邪魔を・・・するなあっ!」

竜巻の中からミストの声が聞こえた。直後に、凝縮されたマナが飛んできた。誠は転がってそれをかわし、一歩後ろへ下がった。

「ちょっと手荒いけど、止めるにはこうするしかない!」

誠はそう言い、片手を高く上げた。エリニアの方から、闇の気をばらまきながらバルログが現れた。

「頼んだよ!」

バルログに向かって誠は叫んだ。そして、再びアサルターで竜巻の中へ突っ込んだ。ミストの足を斬り、ミストは転んだ。一瞬だけ、マナが止まった。

「グアアッ!」

上空で、バルログが唸った。直後に、邪悪な力を持った雷がミストに落ちた。起き上がろうとしていたミストがばたりと倒れ、マナがゆっくりと、地上へと戻っていった。

「納まったか・・・」

誠がナイフをポーチに入れて言った。倒れたミストの服は、あちこちが擦り切れていた。

 「誠さん!」

ヘネシスの街の方から、女性の声がした。振り向くと、マヤがいた。

「ああ、マヤさん。お久しぶりです。」

シェイドヘッドを取って誠は会釈した。

「ミストさんは大丈夫なんですか?」

礼をした後、マヤが聞いた。誠は倒れていたミストをかついで、

「ちょっと手荒いことをして止めたので、しばらく目覚めないかもしれませんが・・・寝かせといてください。」

そう言い、マヤの家のほうに歩いていった。バルログはその様子を黙って見ていた。

 彼女の家の中には、ベッドは一つしかない。誠の提案で、ミストは1階の絨毯の上に寝かせておくことにした。ミストを安置した時、

「誠さん!」

2階から声がしたので誠が振り向くと、腹に黒っぽい染みのついた着物を着た珠蟲姫がいた。横に誠は始めて会う、ヘレナがいた。珠蟲姫の傷は、一目見て、重傷だとわかった。

「姫さん!その傷は?」

2階をみながら誠が聞いた。

「うん・・・ちょっと・・・ね。」

ミストに刺されたなど言えるはずもなかった。

「まあ・・・その傷で無事ならよかった。じゃあ、僕はもう行くよ。」

誠はそう言って、風のように去っていった。

 珠蟲姫はふと、窓の外を見た。はるか向こうにエリニアが見えた。そして、そこに至る少し前、ミストが暴走していた草むらに何か妙なものが見えた。

「あれは・・・?」

漆黒の翼が見えた。その翼の方を見上げて会話する人影が見えた。

「なんで・・・どうして・・・?」

彼女には、その人影が見えた。その漆黒の影と会話していたのは誠だった。

 珠蟲姫が見ている時、

「どうもありがとう。」

笑顔で誠はそう言い、目の前に立つクリムゾンバルログに片手をさしだした。バルログも片手を出し、握手をした。手の大きさにはかなり差があったので、誠が腕をにぎられているように見えた。

「・・・お前からは他の人間にはない力を感じる。我らが持つ、闇の力に似た力を。」

手をはなして、バルログが言った。誠はちょっと驚いた後、

「僕は、盗賊なんだ。闇・・・っていうのかな。風を纏ったり、影の力を借りたりできるんだ。」

バルログの赤い目をみながら誠が言った。

「・・・お前となら、仲良くできるかもしれない。」

バルログが言った。そして、懐から小さな結晶を取り出した。それは、闇の力が潜むと噂される、精錬された黒水晶だった。

「・・・これをやる。我とお前の、出会いの証だ。お前なら、これを技へと生かせるだろう。」

小さいが、妖しく輝く黒水晶を誠は受け取った。

「ありがとう。あ、それと、僕は牧原誠。いつもはオルビスにいるから、僕に会いたくなったら来てくれよ。」

笑顔で誠はそう言った。そして、エリニアステーションの方へと走っていった。

「・・・あの男は知っているのか?この世界の真理を・・・」

誠が去っていく方をみながら、バルログが言った。

 はるか彼方、リプレの地で、瓦礫の中のホーンテイルが突然ワイバーン達を集めた。

「・・・あの男の誘惑が発動された。今こそ襲撃の時だ。」

ワイバーン達がどよめいた。

「・・・行け。あの男を始末しろ。」

ホーンテイルが静かに言うと、ワイバーン達は一斉に飛び立った。生命の洞窟の近くにいた、ノーブルドラン達を吹き飛ばしながら。

 「アルケスタさん、このペンダントの持ち主を知りませんか?」

レビアンズが、掘り出したくず鉄のようなペンダントをアルケスタに見せながら言った。後ろにダークスピリットが浮かんでいた。

「・・・知らぬことはない。ただ、この事は君に教える必要はない。」

眉をひそめて、アルケスタが言った。

「じゃあ、僕の恋人に会えるかもしれない場所はどこですか?」

レビアンズが聞いた。

「私にはわからない。私が知っているのは、そのペンダントのことだけだ。ただし、そのペンダントに君の恋人との関係はない。」

アルケスタがはっきりといった。レビアンズはとりあえず礼を言って、市場を出た。

 市場を出たところで、ふと何かを思い出した。

「・・・そういえば・・・僕がデニスさん達と最後に戦った、ルディブリアムの最深部・・・あそこで僕を利用したモンスターは、別の次元からきたっていってた・・・」

自分を利用したビシャスプラントを思い出しながらレビアンズが言った。

「もしかして・・・あのモンスターが彼女の行った世界と関係があるのかもしれない・・・」

突然そんなことを閃いて、オルビス塔へと走っていった。自分のやっていることが、大災厄を招くとも知らずに。



 かなり場面がぽんぽんと飛んでますが、 第16回終了です。引退も近いので小説が終わりそうな雰囲気ですが、当分終わることはない・・・と思います。
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by jwpwm424 | 2007-08-31 19:33 | 『のんびりメイプル生活』

第15回 暴走

 舞台をミストと珠蟲姫に戻します。ではスタート。



 楓城から出たミスト、珠蟲姫、バハムートはマヤの家へ戻り休憩を取っていた。

「やっと元に戻った・・・」

家の奥の、洗面台の前でミストが言った。彼の言葉通り、黒く染め、髪留めの紐を外してのばされた髪は元の炎の色に戻り、後ろで留められていた。

「そろそろ夕食の時間ね。」

1階の椅子に座っている珠蟲姫が言った。マヤがじゃあ作りましょうと言うと、珠蟲姫は立ち上がって、

「今日は私が作るわ。マヤさんは休んでおいて。」

ミストの方をちらりと見た後にそう言った。

 30分ほどして、

「お待たせ。」

小さな皿にのった、ステーキやサラダなどを珠蟲姫がテーブルに置いた。

「姫さん・・・料理うまいんだな。」

マヤと反対側に座るミストが言った。彼らはその後楽しそうに夕食を食べた。バハムートは、2階で眠っていた。

 ベッドで寝ている珠蟲姫の肩を、誰かが叩いた。

「誰?」

ゆっくりと毛布をどけて、暗闇の中を見た。

「俺だよ。ちょっと話があるから、外に来てくれ。」

声の主はミストだった。珠蟲姫はベッドから降りて、梯子を降りて庭へ出た。後ろからこっそり、バハムートがついていった。

 庭からは、星空が見えた。その星空をひととおり見た後、ミストは庭の真ん中あたりに座った。珠蟲姫も、その隣に座った。

「わざわざ起こしてごめんな。」

少し緊張しながら、ミストが言った。

「姫さんに、言っておきたいことがあるんだ。」

一言一言が、珠蟲姫の胸に響いた。次の言葉を待っていた彼女の横で、突然ミストが立ち上がってドラゴンヘッドを取り出した。

「バハムート、これはお前が聞いていい話じゃない。戻ってろ。」

いることに気づいていたミストはそう言い、庭の入り口にいたバハムートにドラゴンヘッドを向けた。

「ちょっと待てっ・・・」

最後まで言う前に、バハムートの姿が風の中に消えた。

「・・・俺は、目的もなく旅をしているわけじゃない。」

ミストは、座って突然そう切り出した。

「俺には、使命がある。その使命の証が、このペンダントだ。」

彼は自分の首から金色のペンダントを取り外し、楕円形の下の部分を押して開けた。と、その瞬間、

「何だ・・・?」

ペンダントを持つ手に、力が流れた。それは瞬時に全身に行き渡った。

「・・・ミストさん?」

硬直している彼を、珠蟲姫が心配そうに覗き込んだ瞬間、ミストは道具袋から楓城で忍者から奪ったクナイと呼ばれる短刀を取り出した。邪悪な誘惑に操られたミストは、それをすぐ横にいる珠蟲姫の腹へと突き刺した。

「なっ・・・!」

刺した瞬間、誘惑が解けた。直後にそう言って、目が見開かれた。自分の両手が、珠蟲姫の腹あたりにあった。クナイは、彼女の腹を貫通していた。珠蟲姫は悲鳴を上げてその場に倒れたが、かろうじて意識はあった。倒れる時、何か嫌な音と同時にクナイが抜けた。

「あ・・・ああ・・・っ!」

クナイが、地面に落ちて刺さった。ミストは、そう唸りながら自分の両手を見た。黒っぽい液体が手についていた。彼は、理解した。自分が、珠蟲姫を刺したのだと。

「っあああああああああ!」

空へ向けて、ミストは咆哮を上げた。

 珠蟲姫は、薄れていく意識の中で見ていた。ミストの咆哮と共に、彼の混乱に反応したマナが地表からあふれ出し、嵐のように彼を包むのを。

「だめっ・・・ミストさん・・・」

珠蟲姫が叫んだが、彼にはその声が届かなかった。制御なきマナは、破壊の力となることを彼女は知っていた。その荒れ狂うマナの中に、珠蟲姫は巻き込まれた。そして、真っ白な視界の中で、何かが見えた。

 真赤に染まった空の下で燃え盛る家。家の近くに倒れる、武装した人間達。近づいて、揺すったが、起きなかった。視界が横へ向き、別の家が見えた。その家の前には、黒い霧のようなものを体から噴出す、悪魔のようなモンスターがいた。そのモンスターは、こちらへ向いた。金のペンダントを、首から下げていた。

 自分のすぐ近くまで近づいて、そのモンスターは爪を振り上げた。爪に、銀の刀身を持つクレイモアが当たった。視界が少し揺れた。モンスターは一歩後退し、また爪を振り上げようとした時、

「ミスト・・・逃げて・・・早く!」

モンスターのほうから、高い声がした。女性の声のようだった。

 直後、その幻想のような景色が薄れ、目の前に球体のようになったマナが珠蟲姫の視界に見えた。1秒もしないうちに、マヤの家の壁に、彼女は叩きつけられた。そのまま、気を失った。



 非常に短いですが第15回終了です。 
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by jwpwm424 | 2007-08-16 11:41 | 『のんびりメイプル生活』