受験のため仮引退中でしたが、合格したので復帰しました。小説をはじめとしメイプル記事も更新されます。


by jwpwm424

カテゴリ:オリジナル1『呪われた都市』( 9 )

 さて、かなり不人気な呪われた都市も無事終わりました。最初のスケジュールと同じような最後になり、まあまあ満足しています。しかし、もちろんですがこのオリジナル小説はこれでは終わりません。次回はブリスターの島での話になる予定です。

 また、まだ企画段階ですが、もっとファンタジック(?)なオリジナル小説もかくかもしれません。相変わらず僕の自己満足的な小説になりそうですが、見ていただけると嬉しいです;

 余談ですが、なぜミストの名前を使ったかについては、僕の書いたミストの絵(公開してませんが)が僕のイメージするメイポ小説のミストとかなり似ていたので名前を同じにしてみました。
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by jwpwm424 | 2007-07-17 18:34 | オリジナル1『呪われた都市』

8章 明日のために

いよいよ最終章の、呪われた都市です。若干長めです。ではスタート。



 緑色の乾いた血のついた穴の、出口が見えた。ライトを体の前に向けて、グラッグが穴の外へ出た。あたりには大量の、緑や赤の血がちらばっていた。

「・・・何だここは?」

グラッグがそう呟いた瞬間、何かが空気をきりさいて飛んで来るような音がした。直感で、グラッグは地面を転がった。かすかな光でも見えるほどの近さに、赤い血のついた巨大な爪があった。大きさは彼の身長ほどあった。

「姿を見せろ!」

彼は叫んで、前にライトを向けた。

 ライトにうつったのは、光を反射してあやしく光る、黒色の4つの目だった。自分よりかなり高いところにあった。その下には、ぐちゃぐちゃと音がする口があった。口からは緑の血と、粘性の高い液がたれていた。と、その瞬間、火花がちるような音がして天井のライトがついた。

 前にいたのは、数十倍の大きさがある異形の虫だった。顔はかなり高い位置にあり、胴体が異常に大きい。4本の足の先には色んな色の血がついた爪が2本あった。胴体はぶよぶよとしており、緑色の血管が見えた。

「こいつが親玉か。」

グラッグがジムからもらった銃を抜いて言った。ミストも穴から出てきて、虫を見て、何も言わずにコロナを構えた。

 巨大な虫はまず4本の足を振り上げ、グラッグめがけて振り下ろした。転がってグラッグはかわし、一瞬で狙いを定めて胴体へ弾を撃ちこんだ。3秒ほどして爆発し、肥大した肉の破片や、緑色の血が大量に飛び散った。そして、その中から小型の虫達が何千匹と出てきた。

「あの虫を生んでたのはこいつか・・・」

グラッグは短くそう言って、弾を怯まずに振り上げられた右足に撃ちこんだ。右足が間接を無視した方向に曲がり、3秒後に弾け飛んだ。近寄ってきた虫の大群は、コロナの業火で灰に変わった。

 巨大な虫は理解不能な鳴き声を上げ、残っている足を彼らめがけて振り下ろした。当たれば確実に即死のその爪を、転がったりして二人はかわした。ミストはその爪めがけて、コロナの炎を放った。爪の付け根に小さな火が生まれ、それはあっというまに足一つを燃やす炎になった。その足は再び振り上げられる前に、肉が焼ける嫌な匂いと共に地面に落ちた。

 グラッグは振り上げられた足に再び弾を撃った。こっちへと爪が向かってくる途中に足は真ん中あたりから折れ、血と肉が彼に降り注いだ。

「汚い物かけやがって・・・誰が洗うと思ってんだよこの服を・・・」

手や髪についた肉片をはらいのけながらグラッグが言った。最後の一本の足は、ミストの鼻先をかすめて地面に叩きつけられた。

「痛っ・・・!よくもやったわね!」

ミストが出血している鼻の血をひとまず腕でふいたあと、コロナの炎を放った。その炎はあっというまに本体まで伝わり、虫の背中にあった泡のようなものが燃え始めた。

 異形の虫は鳴き声をあげながら、残った2本の足で地面を蹴り、少しだけ跳んだ。着地した時、地面が揺れた。その揺れで怯んだ二人にめがけて、何百本という量の触手が、グラッグの初弾で砕かれた部分から出てきた。

「きゃあっ!」

ミストが10本以上の触手につかまれ、悲鳴をあげた。グラッグは残弾数の少ないジムからもらった銃を構え、触手の付け根あたりを撃った。3秒して爆発して、また肉片と血が飛び散ったが、触手の勢いは減らなかった。ミストはベルトのポケットからナイフを取り出し、触手を斬っていたが、虫の傷口から出てくる触手がまきつく速度の方が速かった。

「どうすりゃいいんだ・・・!」

グラッグは残弾数が後1発しかない銃をしまい、あたりを見た。その時、宙吊りにされたミストの下に、何か光るものが落ちているのに気がついた。自分にも向かってくる、どこからか出て来た小さな虫たちを踏み潰したりアクシオンで撃ったりしてやりすごしつつ、そこまでたどりついた。

 落ちていたのは、スプレー缶のようなものだった。上部に黄色いピンのようなものがあり、危険を示すマークがかかれていた。

「助けてっ!」

ミストの悲鳴が聞こえたほうへ向くと、触手の束に絡みつかれた彼女は、異形の虫の方へゆっくりと引き寄せられていた。ナイフを持つ手も、触手でがんじがらめにされ動いていなかった。グラッグはそのスプレー缶のようなものを拾い上げ、ピンを抜いて巨大な虫の方へと走った。

「お前はこれでも食ってろ!」

彼はそう叫んで、持てる全ての力をこめてスプレー缶のようなものを、大きく開いている口へと投げつけた。

 実際それは、スプレー缶ではなかった。昔、少数だけ作られた、『グレネード』と呼ばれる兵器だった。鉄の容器に爆発物を詰め、ピンを抜いた後しばらくすると大爆発を起こすという爆弾で、非人道的だとしてすぐに生産中止になった。グレネードは狙いを外さず大きく開いた虫の口に入り、ミストがその口の前までひきよせられた瞬間、背中のあたりから赤い炎と、大量の緑色の血、そして肉片が吹き出た。

 ミストを束縛していた触手が大きく揺れた。グラッグは素早くジムからもらった銃を抜き、痛みに苦しむ虫の眉間を狙った。

「俺が、この悪夢を終わらせてやる!」

最後の一発が放たれた。狙いを外さず4つの黒い目の中央に弾は突き刺さり、3秒して爆発した。頭が四方八方に散り、触手が力を失って地面に落ちた。

「きゃあっ!」

かなり高い所から落ちて、ミストは悲鳴をあげた。グラッグは素早くかけよって、

「早く!」

彼女の片手を持って、動かなくなった巨大虫とは反対の方向へと走った。その先にあったのは、先が砕け散っている巨大ドリルの先端部分だった。

 巨大ドリルまでもう少しのところで、頭のない虫が起き上がり、無数の触手が放たれた。彼らへと届く直前、赤い光が通り、触手がすべてきられた。

「何だ・・・?」

グラッグが光の出た方向を見ると、そこには何台かの『浮遊戦車』と呼ばれる兵器があった。浮遊戦車の上にあるハッチが開き、ブリスター撃退のための軍隊の制服を来た男が顔を出した。

「危なかったな。後は俺達に任せろ!」

男は二人の無事を確かめてそう言い、

「全員、砲撃せよ!」

後ろに浮いている何機かの浮遊戦車に向けて言った。主砲からミサイルが放たれ、再形成されかけていた虫の頭が破壊された。グラッグがどうしようか迷っていると、彼らの前に一機、浮遊戦車が降りてきて、横のドアが開いた。

「さあ、君達は早くこの中へ!後は我々がなんとかする。」

中にいた青年の兵士にそう言われ、グラッグとミストは浮遊戦車の中に入った。もう胴体が半分ほどしかない巨大虫は、急速な速さで目を顔があったところに作り、後ろ足でこちら側へと跳んだ。それと同時、主砲からミサイルが放たれ、爆発でできかけていた顔が再び吹き飛び、肉片が飛び散った。

「ディオスの裁き、準備せよ!」

隊長らしき男が大きな声で言った。すると、最後列においてあった巨大な機械の前に何人かが降り、操作を始めた。虫が再び起き上がった時、浮遊戦車が後退した。

「審判者ディオスの裁きを受けよ!」

最後列の機械の後ろまですべての浮遊戦車がさがったことを確認すると、隊長が言った。それと同時に機械の先端部から円筒状のパイプのようなものが出た。そして、そのパイプから、空気を振るがす轟音と共に、浮遊戦車のそれをはるかに超える大きさのミサイルが放たれた。顔を形成し終えた巨大な虫にミサイルが当たると同時、先端部分が爆発して奥の方へすごい圧力と熱が伝わった。アルセリオに残る神話に出てくる偉大な審判者、ディオスの名を冠した兵器は、悪夢の元凶を葬り去った。

「退却せよ!」

隊長が命令すると、すべての浮遊戦車が穴の上へ向かって進んだ。

 浮遊戦車がドリルの近くの、かつて新世界発掘隊の車両置き場だったところまで来ると、地面が大きく揺れ始めた。

「ふう・・・危なかったね。」

浮遊戦車の中で、グラッグとミストを先導した兵士が言った。

「さて、降りよう。あのドリルの崩壊を見ないとね。」

兵士はそう言い、横のドアを開けた。彼に続いて、グラッグとミストは外へ出た。

 揺れがさらに激しくなると、巨大ドリルがゆっくりと、穴の中へと沈んでいった。

「・・・これで、終わったのか・・・?」

グラッグが静かに呟いた。

「そうみたいね。あの化け物も、あのドリルが落ちてきたら、生きていけないだろうし。」

ミストが言った。しばらくして、穴の中から、火柱が吹き出た。

 グラッグ達の元へ、浮遊戦車部隊の隊長がきた。40歳ほどの、中年の男だった。

「君達、大丈夫かね?」

その言葉に、グラッグはなんとかと答えた。

「君達があの虫の女王をくいとめてくれたおかげで、地上まで被害が出るのを防げた。アルセリオ政府より、勲章を送ろう。」

中年の男はそう言って、二つの黒い小さな箱を、彼らに手渡した。それを少し見た後、ミストは突然グラッグの片手を軽く握った。

「さっきはありがと。結構かっこよかったわ。」

驚いているグラッグにミストが笑顔で言った。

「さて、まずは病院へと送ろう。」

中年の男にそういわれ、ミストは手を離した。近くにあった浮遊戦車に案内され、前にいるミストが乗ったところで、

「ん・・・?」

壊れた巨大ドリルを支えていた柱の方を見てグラッグが言った。夕日の向こうに、漆黒のエアビーグルらしきものが何台か、とんでいるように見えた。

「何だあれ・・・?」

グラッグはそう言ったが、再び襲ってきた傷の痛みにそれどころではなくなったので、浮遊戦車にのりこんだ。

 結局、この謎の虫が引き起こした事件で、新世界発掘隊の隊員2500名が死亡、メディスストリートにて2人が死亡、10人が負傷 という被害状況だった。虫達はメディスストリートからの非常事態の連絡を受けやってきた軍隊によってすべて駆逐され、地下にいたものはドリルの爆発によって消え去った。

 そして、メディスストリートで虫達を相手にしたジムは、病院に運ばれたが生きていた。レオンは殺されたが、新世界発掘隊の総司令官、マックスは軍に保護され無事だった。

 わずか2日の間だったが、この悪夢はグラッグとミストの記憶に、永遠に残り続けるだろう。彼らにとっては、勲章より、病院で治療を受けている途中に来たメディスストリートの人々の感謝の手紙の方が、嬉しい物だったようだ。




 小説『呪われた都市』終了です。(多分)続編があります。 
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by jwpwm424 | 2007-07-14 17:34 | オリジナル1『呪われた都市』

7章 暗闇の戦い

 そろそろ終わりの近い、小説『呪われた都市』です。ではスタート。



 エレベーターに2分ほど乗り、ゆっくりと、血のついた扉が開いた。

 まず見えたのは、無数にある人間の骨の欠片と、引き裂かれた新世界発掘隊の衣服だった。そして、今ついた場所、『第八号発掘地区』と呼ばれていた場所の中央にいたのは、人間の盾をつけていない異形の虫と、その虫より一回り大きい、背中に泡のようなふくらみがなく、前足が鋭利な爪になっている虫がいた。お互いに体を寄り添い、交尾しているようだった。

「余り見たくない光景ね。」

血だまりの中で交尾する、地獄の虫を見てミストが言った。コロナを構えた。その瞬間、バチバチッと音がして、かろうじてついていた天井の灯りと、扉を操作する操作盤の光が消えた。

「しまったっ!」

グラッグが言うと同時、地面を蹴る音がした。横にいるはずのミストのほうへ走り、アクシオンを前に撃った。肉をえぐる音がし、地面に何かが落ちた。

「絶対に、俺が守ってみせる!」

もう第三号採掘地区での臆病ぶりは見せられないと思い、グラッグはそう言った。ミストの手が止まった。かさかさと前の方で音がし、直後に地面を蹴る音がした。

「そこかっ!」

グラッグはジムからもらった銃を取り出し、前に撃った。バンッと音がし、直後に何かが地面に落ちる音がした。

「下がって!」

グラッグが言うと、ミストは後ろに飛びのいた。彼がその前に立った瞬間、前で爆発が起きた。グラッグの顔や服に、濃い緑色の血がついた。そして、一瞬の爆風で見えたそれを、彼は見逃さなかった。自分達の横にいる、背中に泡のようなものがある虫を。その虫は頭部をやや後ろにひいて、触手を放とうとしていた。

「危ない!」

もうアクシオンに持ち替える暇もなかった。何も考えずに、虫の前に飛び出した。直後に、腹に何かが刺さり、そして突き抜けた感触を彼は感じた。

「うおおおお!」

その痛みに耐え、自分の腹にささっている触手を持って大きく右へ振った。地面に何かが叩きつけられ、触手から血の気がひいていった。直後にグラッグは膝と片手を地面についた。

「・・・大丈夫?」

ミストがグラッグの肩を持って言った。

「ははっ・・・これくらい・・・大丈夫だ・・・君は・・・俺が守ってみせる・・・もう・・・前みたいな姿は見せない・・・」

息をきらしながらグラッグが言った。触手を抜いた後、腹にあてた手を見ると、暗闇でもわかるほどの血がついていた。

「・・・」

ミストは複雑な表情で彼を見た後、自分のベルトにつけた小物入れから、携帯できるライトを2つ取り出した。それを彼の横に置き、もう1個は自分が持って、操作盤があるはずのほうへ走った。

 グラッグは横においてあるライトを取り、血で濡れてない方の手でスイッチをおしてライトをつけた。それをゆっくりと自分の傷口にあててみた。

 傷口は、ひどい状態だった。お気に入りのベルトに血が大量につき、傷口は真赤な穴のようになっていた。

「誰が洗うと思ってるんだよ・・・」

小さくグラッグは悪態をついて、立ち上がった。かなり痛い傷だが、致命傷ではなかった。自分の少し横を照らすと、地面に当たって原型のない虫の死骸があった。ちょっと横へ向けると、緑色の血だまりがあった。と、その時、何回か点滅して天井の照明が一つだけついた。

「私の持ってた携帯バッテリーを使ったの。10分ぐらいなら持つはずだから、その間にここを探索しましょ。」

操作盤のほうから戻ってきたミストが言った。グラッグは頷いて、ライトで前を照らしながらあたりを捜索した。

 しばらくして、

「ちょっときて。」

ミストが彼と反対方向から言った。傷む傷口を押さえながら、グラッグが行くと、壁に直径30センチほどの穴があった。明らかに、自然によって作られたものではなかった。

「もしかして、あの虫はここから出てきたんじゃないかしら?」

ミストの言葉に、だろうなとグラッグが言った。虫が尖った岩に体をすったときにできたと思われる緑色の血が、その穴の中についていた。穴の先は暗くて見えなかった。

「俺に任せてくれ。」

グラッグはそう言って、ジムからもらった銃を取り出した。それを穴の中の壁面に向け、撃った。反動で彼の手が大きく上がり、白い煙が吹き出た。2秒ほどして穴の中が爆発した。

「行こう。」

グラッグが穴の前に座って、手をさしのべた。ミストはそれを掴もうとして、

「何言ってんのよ!そんなことされなくても自分で降りれるわ!」

顔をやや赤らめながら言って、彼の手を軽く叩いた。グラッグはやや焦りながらわかったよと言い、穴の中へ入っていった。しばらくし、

「・・・やっぱり、つかんでおいた方がよかったかしら・・・」

やや後悔の念があるような事をミストは言い、穴の中へと入った。



 7章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-07-01 11:13 | オリジナル1『呪われた都市』

6章 地獄の始まり

 かなり久しぶりに書く、呪われた都市の続きです。ではスタート。



 グラッグはレオンの屍を超えて、穴の中を見た。ドリルは止まり、横穴から不規則な点滅をくりかえす光が出ていた。

「中はどうなってるんだ・・・?」

少し身をのりだした瞬間、ガガガッと音がし、ドリルが回転し始めた。その回転速度はかなり速く、縦穴の中の電線をまきこんでバチバチと音がしていた。

「どうやらあの虫達が悪さしてるみたいね。」

彼の少し後ろにいたミストが、ドリルの頂上を見て言った。グラッグもそこを見た。

 ドリルの頂上の制御室には、何千とも見える虫がはりついていた。不気味な触手がうごめき、所々から火花がちっていた。

「なるほどな・・・そういえば、この虫って地下から出てきたんだよな?」

グラッグがミストに聞くと、だろうねと彼女が言った。

「じゃあ、地下まで行って、原因を調べてみようぜ。このままだと永久に虫たちは消えないし。」

彼がそう言うと、ミストはエアビーグルに飛び乗った。グラッグもそれに続いた。エンジンが唸りを上げ、暴走するドリルのすれすれを通って穴へと入っていった。

 とても重いはずのエアビーグルは、降り始めて間もなく、車体の端をドリルに削られ始めた。

「こうなると思ったわ。じゃあ、あそこへ飛び移りましょ。」

ミストはドリルとは反対方向の扉を開けて、横穴をゆびさした。距離にして30センチあるかないかほどだった。グラッグの返事を待つ暇なく、ミストは穴へと飛んだ。すぐにグラッグも扉の前に移り、飛んだ。直後に背後で破砕音が聞こえ、エアビーグルが火花をちらしながら落ちていった。下で爆発音が聞こえた。

「危なかった・・・ところで、なんでエアビーグルがここらへんで落ちるってわかったんだ?」

底の見えない穴を見ながらグラッグが言った。するとミストは奥へと歩く足をとめて、

「私はエアビーグルの設計をやったことがあるの。だから衝撃に耐える力とか、推進力の限界とかがわかるのよ。」

意外な過去を語った。ここにくるまえ、壊れたエアビーグルを操作できた謎は解けた。グラッグは相槌をうって、たちあがってミストの後ろを歩いた。しばらくして目の前に現れた2メートルほどある、3と書かれた鉄の扉がゆっくりと開いた。その瞬間、ドリル付近の地上でにおったあのにおいが二人の方へ流れてきた。ミストはすばやくコロナを取り出し、組み立てて体の前に構えた。

「ここにも何かいそうね。さ、いきましょ。」

ミストは何も恐れずに、中へと入っていった。グラッグも、アクシオンを抜いて後に続いた。

 彼女の予測通り、鉱石を掘りつくして、作業員の休憩所として使われていた第一号発掘地区はひどい状態だった。首をきりとられた死体がいたるところに転がり、異形の虫の幼虫が何匹か死体をあさっていた。グラッグは何も言わずに、アクシオンで幼虫の1匹を撃った。五体ばらばらになって散った。

「どうやらここから地上の虫達は出撃したみたいね。じゃあ、始めるわよ。」

ミストはそう言って、扉の近くにある、血のついた操作盤に手を触れた。ゆっくりと鉄のドアがしまった。しばらく操作して、

「ちょっときて。この採掘地区の記録を見つけたわ。」

ミストは幼虫を必死につぶしているグラッグをよんだ。その操作盤の液晶画面にうつっていたのは、この採掘地区の隊長の残した記録だった。

「えーっと、これは昨日の記録か。・・・私の部下の半分は、あの忌々しい虫に食われ殺された。なぜこんなことになったのか、私にはわからない。この記録が、おそらく最後の記録となるだろう。私の意識があるうちに、この悪夢から私達を救ってくれる者が現れると信じて、ここに私の気づいた虫の性質を書き残しておく。・・・たった一日で、あの虫はあんなに増えたって言うのか?」

記録の前半を読み終わって、グラッグが言った。ミストは、そうみたいねと言いながら、自分によってきた幼虫を靴で踏み潰した。

「これが虫の性質か。・・・この忌々しい虫たちは、人間を転ばせたりした後、口からもぐりこむ。今、それに蝕まれている私でもわかるが、虫は私の体を麻痺させ、最後には心臓を止め絶命させる。
苦しみながら死んでいく、私の部下を見るのは辛かった。殺された人々は中から虫の操り人形にされ、触手をまだ無事な物に突きつけ吸血する。吸血した虫の触手は赤く膨れ上がり、虫の心臓の物と思われる動きにあわせて脈打つ。それはとても、現実とは思えなかった。
 だから私は、そんな部下達の苦しみを楽にしていった。もしもの時のために、家から持ってきた突撃用のナイフで、操られた部下の首を斬り、忌々しい虫の頭を踏み潰した。
 虫に取り付かれていない部下も、やがて正気を失って、ドリルに飛び込み死んだ。私も、ほんの数時間前まで元気だった部下を殺すのは辛かった。やがて、全員虫に食われ、私の中にも何匹もの虫が入り込んだ。だから私は、最後の手段を取った。
 手に持っていた、血に濡れたナイフで虫の頭がありそうな、私の腹を刺した。体の中で、虫が暴れるのを感じた。しかし、その代償か、私の片手や足は麻痺した。だから今、私はこうやって記録を書き残す。いつか、化け物と化した私を葬り、この悪夢から救ってくれる者が来ることを信じて。」

グラッグは、しばらく何も言えなかった。この採掘地区の隊長というのは、自分がレオンと共にドリルの前に来た時に現れた、あの大男ではないのかという考えが、頭をよぎった。

「ここの隊長さん、随分すごい人ね。じゃあ、降りるわよ。」

ミストは顔色一つ変えず、硬直しているグラッグにそう言って、奥にある小さな扉の前に行った。グラッグは首を振って嫌な考えを消し、彼女の後に続いた。

 扉が開くと、中から虫に操られた作業員達が飛び出してきた。ミストはそれを避け、一瞬で組み立てたコロナの銃口で2人ほどいる作業員を殴った。作業員は少しよろけ、再び起き上がった。コロナからオレンジ色の炎が発射され、血で所々黒くなった皮膚を焼いていく。やがて中の虫が見えて、それも炎に焼かれて絶命した。

「ふう・・・やっぱり下もすごいことになってるみたいね。」

もう人間の形を留めていない焼死体を見てミストが言った。グラッグは、立ったまま目を見開いて硬直していた。

「・・・何びびってんのよ。あんたそれでも新世界発掘隊なの?」

その目を見て、ミストが言った。グラッグは恐怖感で泣きそうになったのを抑え、アクシオンを抜いた。

「ごめん・・・俺も、がんばらなくちゃな・・・ここの隊長さんの願いを、かなえなきゃな・・・」

そう言って、血があちこちについたエレベーターにグラッグは乗り込んだ。ミストはやや満足気に頷いて、エレベーターに乗った。



 6章終わりです。次からいよいよ、異形の虫の巣と化した穴の奥へと乗り込んでいきます。
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by jwpwm424 | 2007-06-16 21:30 | オリジナル1『呪われた都市』

5章 脅威

 前の章に書いたように、用語解説をします。

用語解説1

・世界編

アルセリオ:グラッグの住んでいる、南半球にある大陸国家。気候は温暖で、西の岬で魚が取れるため、食事は魚が多い。服は地球の洋服と似ていて、20年前にバズトラスの侵攻を受けた国。50年前に電気が開発され(第1次産業革命)同時に自動車や戦闘用の小型船も開発された。太古から200海里ほど先にある島々に住む『ブリスター』と呼ばれる民族から略奪を受けており、そのたびに港町では多数の負傷者が出ていた。第2時産業革命で重火器、機械兵器や浮遊車両が開発され、急激に近代化した。近年は巨大ドリルをメディストリートの東に建設している。首都はメノウで、国全体の人口は3億人。ちなみに13歳以上の国民に銃器の所持・使用が認められており、これはいつ襲ってくるかわからないブリスターに応戦するためという。しかし、国内の治安はとてもいい。

メリクリウス:アルセリオの隣にある、大陸国家。気候はアルセリオと比べるとやや寒く、農作物が主な食料。産業革命が50年前と20年前にあり、通貨統一、共通言語の作成など、アルセリオと交流がある。服装は冬の2週間だけある氷点下20度まで下がる期間の寒さをしのぐため厚めの皮で作られた物が多く、髪が黒いのが特徴。アルセリオと統合政府を作り、(本部はメリクリウスの首都アズライド)国の北に巨大ドリルを作っている。人口は2億5000万人。

バズトラス:北半球の、北極の周辺にある巨大な大陸国家。近くにまったく島がなく、遠くから見るとビルらしきものが建っているように見えるという。20年前、近代的な武器を用いてアルセリオとメリクリウスを壊滅寸前まで追い込んだ。

ブリスター:アルセリオにたびたび略奪に来る民族。機械類や近代的な武器がないが、身体能力が非常に高い(夜でも1000m先まで物が見える 等)ため、船で夜に上陸し、港町を襲って食料などを奪ってきた。人口は不明。

北極:星の最も北にある大陸で、氷の大地。地下に何かがあるとか、生物がすんでいるなどの説があるが、常に氷点下100度前後の気温のため、探索はされていないようだ。

・人物編

グラッグ:本名グラッグ・ノートダム。メディスストリートに住む15歳の少年で、親は首都メノウに出稼ぎに行っている。何ヶ月に1回しか帰ってこないため、料理、家事などをする技術を持っている。髪は赤茶色だったが、最近染めて赤色に変わった。目は暗い青色で、視力はあまりよくない。ファッションにも一応気を使っているらしく、腰から胸の近くまで、太さや長さが違う何本ものベルトを巻きつけている。10歳の時暴漢に襲われ、それがきっかけでアクシオンを親からもらった。
趣味は武器や車両の改造で、嫌いな物は爬虫類。

レオン:本名レオン・サージェスト。出身地はメノウの22歳。新世界発掘隊の上級隊員で、第3号採掘地区の監督をしている。髪は金髪で、青色の目をしている。愛銃は弾を自動装填する小型の銃『シルバーホーク』で、趣味で銀に塗っている。
趣味は料理で、嫌いな物は泥。

マックス:本名マックス・グレイブ。出身地は不明で、年齢は50歳前後と思われる。新世界発掘隊の総司令隊長で、髪は赤茶色、目は青色である。作品中にはまだ出ていないが、愛銃は小型ミサイルを発射する2mほどのバズーカ『マックススペシャルG』のようだ。
趣味はドライブで、嫌いな物は高い所。

続きは次の用語解説で書きます。では5章スタートです。



 グラッグが目を開けると、あたりは明るくなっていた。

「しまった!」

ついつい寝てしまったことに気づき、右と左を見た。誰もいなかった。

「まさか捕まったのか・・・?」

ミストを探そうとして立ち上がると、

「やっと起きたね」

岩の左から声がしたので振り向くと、ミストが立っていた。さっきまで岩の後ろにいたようだ。

「まったく・・・あの虫達が襲ってくるかもしれないのに、のんきねぇ・・・」

ミストがあきれて言った。グラッグは立ち上がって、ミストの方を見た。

「ごめんごめん。ところで、何か武器はあるの?」

グラッグが聞くと、ミストは背中に手をまわし、担いでいた銃を前に出した。

 その銃は、1m前後ある、一見して散弾銃のように見えたが、親指を置く所に長い棒がついていた。

「この銃は・・・?」

グラッグが聞くと、

「プロミネンスって知ってるかしら?じつはこの銃は、そのプロミネンスの最新タイプなの。」

ミストがその長銃プロミネンスを両手で持って言った。

「今でもプロミネンスってあったんだ・・・」

グラッグは興味深い目でプロミネンスを見ながら言った。

「ブリスター相手にプロミネンスは必要ないから、ほんとはこの銃はないんだけど・・・ジムさんが昔使ってたプロミネンスに、圧縮オイルを使えるようにしたり、携帯するために折りたためるように改造してくれたってわけ。」

ミストはそう説明して、真ん中らへんで折った。長い銃口の先は引き金の近くまで折りたためた。

「まあ私はこの銃のことを『コロナ』って呼んでるんだけどね。」

ミストは携帯用に折りたたんだ銃を、腰につけた灰色のウェストポーチに入れて言った。扱い慣れたその様子をグラッグは見ながら、街の方を見た。あちこちから黒い煙があがっていた。

「まさか街にまであの虫が・・・?」

グラッグが頭によぎった悪い予感を口に出すと、ミストは彼の横まで歩いて、

「そうみたいね。で、どうするの?2人で虫の巣になったあの街に殴りこむの?」

冷静な口調で言った。グラッグはアクシオンをホルスターから抜いた。

「・・・いいや、やめとこう。ひとまず、ドリルまで行っていい?ドリルのところに、助けてくれそうな人がいるはずだから。」

そう彼が言うとミストはふっとため息をはいて、

「そうだと思った。行きましょ。」

コロナを取り出し、一瞬で組み立てて両手で持ち、黒煙を頂上から噴き上げるドリルのほうへ走り出した。グラッグもそれに続いた。

 道の途中に、地面に前をめりこませたエアビーグルがあった。フロントガラスが砕け散っていた。

「これ・・・使えそうね。私に任せて。」

ミストはそう言うとコロナを背中に担いで、空いている方のドアから操縦席に入った。その中にある、虫に食い荒らされて原型のない新世界発掘隊の隊員の屍を割れたフロントガラスから放り出し、何か細工を始めた。5分ほどして、推進エンジンが唸りを上げながら火を地面へ噴出した。車体が再び地面よりやや上に浮いた。

「どう?すごいでしょ。」

ミストが片方のドアを開け、上体だけを出して得意気に言った。グラッグはすかさずドアに飛び乗って、血が大量についたシートに座った。操縦席に座ったミストはハンドルを右へきりながら、レバーを前へと押し出した。物凄い音と共にエアビーグルは180度ターンし、ドリルのほうへと走り出した。

 ドリル付近の、車両庫にエアビーグルをとめ、二人は地上に降りた。すると、ドリルの開けた穴のまわりの様子がよくわかった。

 穴のまわりは、処刑場ともいえる場所となっていた。頭のない死体や五体がばらばらになっている人間の残骸などが散らばっていた。近くに立っていたテントはすべて破かれ、一つに近づいてみると中に赤い肉の塊らしきものがいくつかちらばっていた。

「これはひどいな・・・」

グラッグが頬を伝う汗を腕で拭きながら言った。いたるところに、血の匂いが染み付いていた。ミストも眉間にしわをよせながらあたりを眺めていた。と、その時、

「ん・・・?」

ミストが目を見開いて言った。グラッグも彼女の見ている方向を見ると、一つの壊れたテントの前に、立っている人のような影があった。

「まだ生きてる人がいるみたいね。行きましょ!」

ミストの促しにグラッグは頷いて、その方向へと走った。

 ある程度近づくと、その人影は振り向いた。顔はよく見えないが、その人影から、

「あ・・・ああっ・・・」

声の低い、うめき声が聞こえた。二人は足を止めた。するとその人影から、触手が動く音が聞こえた。

「やっぱりな・・・」

グラッグは希望が絶たれたことに悲しみを持ちつつ、アクシオンを構えた。その時、上空の太陽をさえぎっていた雲が動いて、陽光がその人影を照らした。

「あ・・・あなたは・・・」

グラッグがぴったりと狙っていた、アクシオンが震えた。それと同時に彼はそう呟いた。その人影は、あの青年隊員、レオンだった物だった。

「伏せて!」

ミストが叫んで、グラッグははっと我に返って伏せた。彼のすぐ上を、たくさんの人の頭蓋骨や肋骨を鎧のようにつけた巨大な右腕が通った。当たれば一瞬で首が吹き飛んでいただろう。

「危ない・・・」

グラッグは通り越した死の鎌と言える巨腕を見ながら冷や汗をふいた。レオンの下半身は生前の彼の物のままだが、胸は皮膚が破れ、中の肋骨をも砕いて、6つの目を光らせる異形の虫の頭部が出ていた。左手は、血で真赤に染まっていた。顔は口を開いて、制帽や頬に銃弾の当たった後があった。皮膚に空いた穴からは触手が出て、何かを掴もうと動いていた。

「なんで・・・なんでこんなことに!」

グラッグが前に立つ、虫によって捕食の道具に変えられた優しい青年へ叫んだ。そして、左腰のホルスターから、ジムにもらった長銃を抜いた。一瞬で虫の6つの目の中心に狙いをつけ、撃った。くぐもった爆発音と共に、狙いと同じ場所に金色の弾丸がつきささって、弾丸の最後部のみが見えていた。レオンの体全体が一歩下がった瞬間、弾丸が内部から爆発した。

「うあ・・・あっ・・・!」

レオンの、苦痛に苦しむ声が爆発音と共に聞こえた。グラッグは、顔をそらしながら近くの岩へ転がった。横を見ると、頭蓋骨の破片や、炎に焼かれる内蔵が転がっていくのが見えた。

 何も飛んでこなくなって、グラッグは岩から顔を出した。すると、仰向けにレオンが倒れていた。胸の部分は肉が焼け焦げ、虫の緑色の血が顔についていた。

「・・・」

彼は何も言わずにレオンの屍の前にしゃがみ、両手をあわせた。鎮魂の祈りの姿勢だった。爆発の時反対側に隠れていたミストも出てきて、同じことをした。涙をふいてグラッグが立ち上がると、レオンのえぐられた胸の中から、何かが這い出てきた。

「なんだ・・・?」

グラッグがしゃがもうとすると、ミストは後ろへ跳んでコロナを構えた。そして、彼の胸へと炎を放射した。

「熱っ!」

思わずグラッグは離れた。プロミネンス特有の、濃いオレンジ色の炎に焼かれる死体の中で、何か別の物が燃えていた。

「あれはあの虫の幼虫よ。どうやらさっきの虫は、人間の中に卵を産みつけて、餌として盾にした人間や他の人間を食べさせながら子孫を増やしてたみたいね。」

ミストがコロナを両手で持って引き金を引きながら言った。グラッグには、それが現実だとは思えなかった。地面に膝をついて、うつろな目でその様子を眺めていた。



 第5章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-04-07 11:24 | オリジナル1『呪われた都市』

4章 脱出

 いよいよ仲間が登場です。ではスタート



 階段の裏の床には、持つための取っ手がついていた。それを両手で持って、グラッグは上へ引っ張った。キィッと音がし、鉄の扉が開いた。中のオレンジ色の光を頼りに、地下へと通じる階段に足を着け、ゆっくりと中へ入った。

 中は、思ったより暗かった。床はどうやら土のようで、地下の天井にはオレンジ色の光を灯す、紐に吊られた電球が揺れていた。

「・・・なんか怖いな・・・」

グラッグはそう呟いて、やや湿り気のある土を進んでいった。しばらく進むと、カタンと、何かが動く音がした。思わずグラッグはびくりと震え、アクシオンを抜いて前へとゆっくり進んだ。少し進むと、彼の足元から、パキンと音がした。その瞬間、

「きゃあっ!」

前から高い声が聞こえ、湿った地面に落ちる音が聞こえた。グラッグはそのまま進んだ。5歩ほど進むと、オレンジ色の光に照らされた、こちらに背を向けてぶるぶると震える人影があった。

「・・・もしもし?」

アクシオンをしまってグラッグが聞くと、顔だけを彼の方へその人影は向けた。その瞬間すぐに立ち上がって、怒ったような顔で彼を睨んだ。そして、

「びっくりさせないでよ!」

やや高めの声で怒鳴った。グラッグはむっとしつつも、前にいる、自分と同じぐらいの背の少女を見た。鮮やかな水色の瞳には、涙が光っていた。顔もそこはかとなく赤かった。

「ご・・・ごめんごめん。じつは、この工場のおじいさんに頼まれて来たんだ。」

とりあえず謝って、グラッグは言った。すると少女は吊り上がっていた眉を下げて、怒りがおさまった様子で聞いた。

「ジムさんに頼まれたって・・・何を?」

「じつは、君と一緒にここから逃げるように言われてるんだ」

グラッグは言伝をそのまま言ったつもりなのだが、少女はまったく信じてなかった。

「逃げるってどういうことよ!」

少女は強い口調で言った。グラッグはとりあえず一歩下がって、

「この工場が化け物に襲われたんだ!だから君を連れて逃げてって言われたんだよ!」

大きな声で言い返したが、少女はまったく信じていなかった。

「・・・くだらないわ。さっさと帰ってちょうだい!」

少女はそう言って、倉庫の奥の箱を開け始めた。グラッグもここまで言われると勝手にしろという気持ちになったので、湿った土を、入ってきた入り口へと歩いた。ぶつぶつと色々呟きながら歩いていると、何かにぶつかった。

「ったく・・・何だよ・・・」

と言いながら上を見上げると、口から蠢く触手の出た、目だけが白く光って見える男が立っていた。

「うわぁっ!」

グラッグが叫んで後ろへ飛ぼうとした時、大きな腕が彼の頭をつかんだ。耳の横で、男の指の先から出た触手が動く音が聞こえた。目だけが白く光る男の顔の前まで吊り上げられた。口から出た触手が、新たな獲物へと、つまりグラッグの方へと伸びてきた。

「だ・・・誰か・・・助けて・・・」

グラッグが震える声で言ったが、倉庫の奥にいる少女には聞こえなかった。頬に赤く脈打つ触手がついた。触手が獲物の位置を認識し、突きで仕留めようと縮むのが見えた。その時、彼が閃いた。触手が伸びる直前、右の壁を蹴り、その勢いで左の壁を蹴った。体が大きく右へ振られ、伸びた触手は彼の左を通った。グラッグは拘束されていない手で、その触手を引っ張った。男の顔が目の前へ来ると、眉間を勢いよく蹴った。すると触手が根元部分から切れ、グラッグは湿った土を転がった。男の口からは、緑色の血が滝のように出ていた。

 勢いのおさまらないまま、グラッグは倉庫の奥の棚にぶつかった。ガツンと音がし、視界に火花のような物がちった。触手を倉庫の隅に放り投げ、頭を抑えていると、少女の顔が見えた。

「私の邪魔をしないでよ!」

少女が怒鳴ったが、グラッグは反論できなかった。少女がむすっとした顔で彼が転がってきた道を見ると、

「きゃあっ!」

悲鳴を上げ、棚に背をつけた。グラッグはなんとか立ち上がると、人間の盾を捨てた、口から緑の血を流す異形の虫が通路にいた。その虫は4本の後ろ足で地面を蹴り、少女の方へ跳んだ。

「危ない!」

グラッグは思わず少女の前へ飛び出し、向かってくる異形の虫の頭に蹴りを食らわせた。虫は吹き飛び、彼の顔や髪に緑の血がついた。

「くたばれ!」

グラッグはそう叫んで、アクシオンをホルスターから抜いて虫の顔に撃ちこんだ。足を細かく痙攣させ、緑の血を噴水のように噴出しながら絶命した。

「ふう・・・階段以外に、どこか逃げ道はない?」

一息ついてグラッグが少女へ言うと、少女は棚の横にあった、非常口を開けた。その瞬間、通路の闇の中から、さっき向かってきた物とは別の異形の虫が飛びかかってきた。グラッグはそれを非常口の方に転がってかわした。

「逃げるよ!」

グラッグはそう言って、非常口へ入った。すると少女はグラッグの右手をきつく握って、必死に走った。

 工場の外へついて、乱れた息を整えると、グラッグが自分の手を少女が握っていることに気づいた。少女もすぐに気づいて、手を乱暴に離して、怒った顔で、

「べ・・・別に怖かったわけじゃないからね!」

顔を真赤にして言った。グラッグは一歩後ろに下がりながら、

「わ・・・わかったよ。とにかく、危なかったね。」

そう言った。すると少女は、

「・・・ありがとう。」

うつむきながら小さな声で言った。

「え?」

グラッグはよく聞こえなかったのでそう言うと、少女は顔を上げて、

「助けてくれてありがとうって言ってんの!」

顔を真赤にしながら言った。グラッグはまたも一歩下がって、

「あ・・・ああ、どういたしまして。そういえば、まだ自己紹介してなかったね。俺はグラッグ・ノートダム。15歳だ。君は?」

簡潔に自己紹介すると、少女は平常心をゆっくり取り戻しながら、

「私は、ミスト・ドラゴニア。年はあなたと同じよ。」

同じく簡潔に少女ミストは自己紹介した。グラッグは頷いた後アクシオンを抜いて、壊れてないか確かめてまたしまって、座ってから近くにある岩によりかかった。

「じゃあ、これからどうするの?」

ミストが聞いても、返事は返ってこなかった。ミストがグラッグの顔をのぞくと、目をつぶって寝息をたてていた。空を見ると、星が輝いていた。

「やれやれ・・・」

ミストはそう言いながら、グラッグの横に座って、目をつぶった。やがて、規則正しい寝息を彼女はたてはじめた。500mほど先のメディスストリートでは、爆発音や悲鳴が響いていた。



 4章終了です。ミストの名前をなぜ使ったのかは、後々説明します。次の章の最初には、用語解説をつけます。
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by jwpwm424 | 2007-03-28 19:02 | オリジナル1『呪われた都市』

3章 工場

 本格的に戦いが始まる3章です。ではスタート



 グラッグが目を開けると、天井にいくつものワイヤーなどがはっていた。

「ここはどこだ・・・?」

少し手を動かすと、粗い布が体にかかっていることに気づいたので、それをゆっくりとどかして体を上半身だけ動かした。すると前には脚の長い木のテーブルと、木で作った椅子が2つあった。壁はすべて鉄だった。

「目が覚めたのかね」

彼の後ろから声がしたので振り向くと、銀の机の横の、事務室などによく置かれる椅子に、60代ほどに見える白髪の老人が座っていた。服は工場の作業員などが着る、オイルなどで汚れた服を着ていた。

「君が私の工場の入り口で寝てるもんだから、ここへ運んだのだが、なぜあんな所で寝てたのかね?」

老人が椅子にすわったまま、穏やかな顔で聞いた。

「実は・・・巨大ドリルからずっと走ってきたんです」

グラッグが言った。

「ほう・・・それは遠いところから・・・ところで、君のそのバッチは、新世界発掘隊のメンバーだと思うのだが、仕事はどうしたのかね?」

老人が聞くと、グラッグはあの悪夢を思い出した。怪しく蠢く虫の足、口から血を流す、絶命しても安らかに眠れず、化け物と化した人を。

「それが・・・巨大ドリルの近くで、突然エアビーグルが暴走して、大きな怪物も出てきて・・・」

口では説明しにくいので、できるだけ見たことを説明したつもりだった。しかし老人は微笑んで、

「まあ落ち着きなさい。ともかく、君は新世界発掘隊の仕事中に何かあって、逃げてきたというわけだね?」

グラッグに言った。彼が頷くと、老人は立ち上がって、

「君には、武器はあるのかね?」

あの時のレオンと同じことを言ったので、ホルスターからアクシオンを抜いて渡した。老人はそれを眺めながら

「この護身用銃をここまで改造するとは・・・君はなかなか才能があるね。しかしこれでは、もしエアビーグルなどが暴走して向かってきても、太刀打ちできないじゃろう。私の持っている銃を、君にあげよう。」

弾倉などを見ながら老人はそう言って、部屋の隅にある引き出しをあけ、アクシオンよりやや長い銃を取り出し、グラッグの前に置いた。

「それは、新世界発掘隊でよく使われる銃でな、硬い岩などを掘るのに使うのじゃ。」

グラッグはわけがわからなかった。

「どういうことですか?」

そう彼が聞くと、老人はゆっくりとした口調で、

「その銃の弾は、中に爆発力の高い火薬がつまっていて、岩に銃弾が当たってめりこんだとき、弾頭がめくれて中の火薬に着火するようになっているのじゃ。そうすれば、硬い岩を内部から粉々にできる。というわけじゃ。わかったかの?」

そう説明した。グラッグはなんとなく理解し、色んな方向からその銃を見た。通常の銃なら親指を置いて狙いを安定させるための所に、小さな四角い穴があった。

「この穴は?」

グラッグが聞くと老人は、おおそうだ忘れていたと言い、銀の机の引き出しから、15センチほどの細長い四角柱の形をした物体をいくつか取り出した。

「その銃は弾の構造から火に弱くてな。暴発を防ぐためにこの特殊オイルを使うのじゃ。」

老人は言いながら彼の前に椅子を移動させ、そこに座ってそのオイル入れを見せた。上部が開くようになっており、中にはどろどろとした緑色の液体があった。

「このオイルを中へ流し込んで、引き金をひくと小さな熱を受けたオイルが銃弾の後ろで凝縮され推進力が生まれる。これが他のオイルと違うところじゃ。」

つまり、このオイル入れの中に入ったオイルは、熱に反応して自動的に凝縮、前へと強い力を発生させる働きがあるということだったのだが、グラッグにはよくわからなかった。ひとまずグラッグはそれを受け取り、穴にオイルいれを指した。少しだけ入れ物の中のオイルが減り、穴の蓋が自動的に閉じた。引火を防ぐためであろう。

「この銃は連射には向いてないから、確実に相手を狙いなさい。」

老人が真剣な顔で言った。グラッグは老人をしっかりみて、

「わかりました。」

そう言った。すると老人は微笑んで、アクシオンを彼に返した。

「それと、これもやろう。君のベルトにあえばいいのじゃが。」

銀の机の上に置いてあった、アクシオンの物よりやや大きめのホルスターを彼に手渡した。グラッグはゆっくりと立ち上がって、いくつも巻いたベルトの中の、最も太いベルトの左腰あたりにとりつけた。続いてオイルいれを外した、さっきもらった銃をホルスターにいれ、何度か抜いたり入れたりした。老人はうんうんと満足そうに頷いて、

「君を見ていると、昔の私を思い出すな・・・」

突然、語り始めた。

「20年前の、防衛戦争の時、私は今の統合政府の近くに住んでいてな・・・家の中からまったく乱れない動きでやってくる、バズトラス達の兵士を見て震えていたことを、今でもはっきり覚えているよ。その次の日すぐに、プロミネンスが開発されて、私はそれを抱えて、門の前から炎を、バズトラスの兵士へ放った。そして気がついたら、奴らは全滅してたんだ。・・・あそこでもし、プロミネンスがなかったら逆に私達が全滅してただろう。」

ふっとため息をはいて、老人は話し終えた。

「おじいさんは、なぜここに?」

グラッグが聞いた。

「私はあの後、復興したこの街で銃器の製作場を始めたくなってな。今でも時々来る、ブリスターどもを倒すために、君のアクシオンや、巡洋艦の砲塔などを作ったわけじゃよ。」

老人は遠くにかすかに見える、海を眺めながら言った。と、その時、遠くから何かがぶつかる音がした。

「何じゃ・・・?」

老人は立ち上がって、部屋を出た。グラッグも、それに続いた。

 その音は、老人の工場の入り口にエアビーグルが衝突した音だった。赤い炎が、工場の入り口に踊っていた。

「なぜ巨大ドリルの近くにあるはずのエアビーグルがこんな所に・・・」

グラッグが後ろから言うと、老人は振り向いた。

「もしかしたら、あれが君の言っていた、暴走したエアビーグルなのかもしれん・・・」

鉄の階段をゆっくりと降り、工場1階の広場に二人が下りると、燃え盛る炎の近くから、何かが出てきた。

 それは、人間であった物だった。

 白目をむき、ふらふらとしながらもバランスを取って歩く人間が、近寄ってきていた。口からは、赤く脈打つ虫の足が、何本も獲物を探すように蠢いていた。

「こいつらは・・・あの怪物だ!」

グラッグが叫んだ。すると老人は工場の壁にかけより、機関銃を取った。

「今度こそやられてたまるか!」

グラッグが叫んで、アクシオンを歩いてくる人間の一人の頭に撃った。銃弾は頭を貫通し、工場の壁に当たった。しかしそれでも、まったく怯むことなく、歩いてきた。

「なんで・・・」

グラッグには前で起きていることが信じられなかった。彼の狙った場所は眉間なので、貫通すれば間違いなく絶命するはずである。ところがまえから歩いてくる人間は、その傷口から脳の一部や血をだらだらと流しながら、平然と歩いてきている。

「こいつら・・・不死身なのか!?」

グラッグがそう叫ぶと、老人が彼の前に座った。そして、機関銃を構えた。何も言わずに、向かってくる人間へ放った。

 切れ目のない発砲音が聞こえ、何百という弾が向かってくる人間にうちこまれた。人間は手をふきとばされ、頭が銃弾で粉々になっても、平然と歩いてきた。

「くそっ!」

老人が舌打ちし、胸を狙った。おそらくは肋骨と思われる物や、肉の塊が吹き飛び、人間の原型がなくなったころ、それは姿を現した。

 人間を盾にし、中に身を潜めていたのは、体長1メートルほどの、4本の足と、2本の爪のついた前足を持った虫だった。体つきでいえば蜘蛛のようにも見えたが、背中の部分に3つから4つの、膨らんだ泡に見える物がついていた。すべて、不気味に鼓動していた。顔は正面から見ると2つ、上から見るとさらに2つの白い目がついていた。口からは、盾にされていた人間と同じ触手が、粘性の高い唾液をたらしながら動いていた。

「これが怪物の正体か。」

グラッグが悪夢の中でも出会いそうにない、異形の虫を見て言った。異形の虫は後ろの4本の足で地面を蹴り、老人に飛びかかった。老人に虫の前足がつくまえに、4つの目の真ん中に、グラッグがアクシオンの弾丸を撃ち込んでいた。緑色の血をまきちらして、虫は仰向けに倒れた。足が小刻みに痙攣していた。やっと片付けたと思いグラッグがアクシオンをホルスターにしまうと、

「まだいるみたいじゃぞ。」

老人が機関銃の前に座って構えたまま言った。工場の入り口から、作業服を着た、ふらふらと歩く人々がざっとみて20人前後入ってきた。老人は何か言う暇なく機関銃を放った。盾である人間を砕かれた異形の虫は、機関銃の弾を受けばらばらになって散る。しかし他の虫達はそれを気に留めることなく、自分の盾を操り、老人へと近づく。10人ほどが肉片と赤い血の水溜りになると、工場の入り口からさらにふらふらと歩く人々が出てきた。

「このままでは工場の中に入られる。君は、階段の下から倉庫へ行きなさい。その倉庫にいる少女と一緒に、逃げ延びてくれ。」

機関銃を撃ちながら、老人が大声で言った。

「おじいさんは?」

グラッグが聞くと、老人は彼に顔だけを向けて、口元だけ笑った。

「大丈夫。またすぐに会える。」

そうはっきりと言って、亡霊のように向かってくる、彼のすぐまえまで近づいた体格のいい男に銃弾の雨を浴びせる。男は五体ばらばらになって散り、中にいた異形の虫も道連れとなった。グラッグは階段の下へ、倉庫へと走った。



 3章終了です。次はいよいよ仲間が出てきます。
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by jwpwm424 | 2007-03-27 11:16 | オリジナル1『呪われた都市』

2章 悪魔の侵略

今回はかなり短い気がする2章です。ではスタート



 生物的に動く虫の足のようなものを見て、レオンは息をのんだ。そして、操縦席から立ち上がった。

「グラッグくん、緊急事態だ。早く外へ出るんだ。」

レオンがそう言ったので、ぶるぶると震えていたグラッグも、操縦席から立ち上がってエアビーグルの外へと出た。彼らが荒れた大地に飛び降りた瞬間、フロントガラスから飛び出ていた足が、獲物を捕まえるように伸び、彼らのエアビーグルのフロントガラスを突き破って操縦席の中に突っ込んだ。

「なんだこいつは・・・」

レオンが頬に流れる冷や汗を片手で拭きながら言った。赤く脈打つ虫の足のようなものが侵略するように、エアビーグルの操縦席に広がっていく様は、まるで大型の虫が小型の虫を捕食するように見えた。

「グラッグくん、銃はあるかい?」

レオンの問いにグラッグは頷いて、ホルスターからアクシオンを抜いた。と、その時、穴の中から別のエアビーグルが飛び出して、彼らに向かってきた。レオンとグラッグが地面を転がって避けると、そのエアビーグルは彼らのエアビーグルに突っ込み、大爆発した。虫の足のような物は、先から赤い血を撒き散らしながら暴れ、動かなくなった。

「レオンさん、これは一体・・・」

グラッグが震える声で聞くと、レオンが燃え盛る車両へ近づいた。グラッグも行こうとすると、彼の横の穴のふちを、人間の手が掴んでいた。グラッグが近づいた瞬間、その手が有り得ない力で、全身を穴の外へ出した。

 それは、人ではなかった。

 下半身は、ボロボロの作業服を着た脚部が2つ、つまり足が4本あり、バランスをとっていた。そして上半身は、人で言うと左手の部分が、白目をむいて、頭から巨大な手のように、5本の赤く脈打つ虫の足を出した男がそのかわりになっていた。その男の下半身は、人間で言う胸部に、何本もの虫の足で乱暴に止められていた。その胸部には、背骨が折れていると思われる、海老のように体を丸めた男で作られていた。男のあちこちからは怪しく蠢く虫の足が出ていた。そして、頭は、右上の頭蓋骨が割れ、その中から大量の、赤く脈打つ虫の足が出ていた。口はだらんと開いたままで、涎のように血が胸部のかわりになっている男の衣服に落ちていた。目は白目を向いていた。

「ひっ・・・」

グラッグが思わず悲鳴を上げた。レオンが振り向いた時には、その4人と思われる人間で出来た化け物が、グラッグに向けて左手(のかわりをされている男)を振り上げている時だった。

 レオンは何も考える暇なく、右腰のホルスターから銀に光る自動装填可能な銃、『シルバーホーク』を抜いて、化け物の左手の付け根あたりに撃った。銃口から銀で出来た弾が撃ち出され、左手として使われている男の、右腿あたりに当たった。赤い肉片がはじけ飛び、降ろしかけていた左手が再び上がった。その男の頭から出ていた5本の虫の足が、痛みに苦しむように暴れた。傷口から、大量の赤い血が地面に流れ落ちた。

「早く逃げるんだ!」

レオンがグラッグへ叫んだ。手には煙立つシルバーホークを握って、痛みに苦しむ化け物を狙っていた。

「で、でもっ!」

グラッグが何かいいかけると、

「いいから早く行け!ここにいたら殺されるぞ!」

強い口調でレオンが言ったので、グラッグは立ち上がって、街の方へと必死に走った。何度か、発砲音が後ろから聞こえた。それでも、走り続けた。

 かなり走って、後ろを振り返らずにがくりとひざをつき、続けて両手を地面につけた。気がつくと夕方になっていた。地面が冷たいので目を開けると、きれいに舗装された道路があった。そこは、メディスストリートの入り口だった。

 「どこかで・・・休まないと・・・」

グラッグがうつろな目で、夕日に照らされたオレンジ色の街の中に、扉の開いている建物が見えた。ふらふらと、その中へ入った。

 中は、ひんやりとして涼しかった。建物の中の様子を確認する暇もなく、そのまま地面に倒れて、規則正しい寝息を立て始めた。



 かなり短いですが2章終わりです。途中某ゲームに似た内容がありましたが、つっこみはなしでお願いします。
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by jwpwm424 | 2007-03-24 19:04 | オリジナル1『呪われた都市』

1章 地底から来た悪魔

いよいよ始まった新小説です。そのまえに注意を。
・オリジナルなので、いくつかゲームや本などのパクリ的内容が存在します。もし元ネタがわかっても、指摘せずに暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。
・題材となった物が明確に存在していないので、ややストーリーがわかりにくいかもしれません
なお、小説・続編と見分けをつけるため、今回から『第1章』などの『第』を省略します。
では、いよいよスタートです。



 生命の豊かな星の、南半球にある世界三大大陸国家のひとつ、アルセリオ。その隣にある、世界三台大陸国家のひとつ、メリクリウス。そして、北半球の、北極点周辺にある世界三台大陸国家の中で一番巨大な国家、バズトラス。この星を代表するとも言える3つの国家には、15年前、とある出来事があった。

 アルセリオとメリクリウスは、お互いの国が近いため、太古から交流があったという。そのため両国は仲がよく、ブリスターと呼ばれる、小さな島国に住む侵略者が攻めてきた時は、お互いに協力して追い返したという。服装や建物の構造をはじめとする文化は少し違うものの、言葉はお互いに共通語を決め、通貨も統一していた。なので、旅行者なども多かった。

 そんな平和な日々が、15年前の海王の月のある日に、突如壊された。北半球にある巨大国家、バズトラスの爆撃機が両国の領空に100機以上出現し、バズトラスの言葉で何かを叫んだ後、メリクリウスの港を爆撃したという。

 メリクリウスも、アルセリオもバズトラスの存在を知らなかった。そして、当時の両国には対空兵器も、戦車も、飛行機もなかった。あったのはブリスターを迎撃する小型の巡洋艦と、動物を取るために使っていたハンドガン程度だった。メリクリウスの港がすべて破壊され、巡洋艦も沈められると、今度はアルセリオの港へ攻撃を開始した。国内では黙って港や港町が破壊されるのを指をくわえて見ているという状態が続いていた。

 アルセリオの港もすべて破壊されると、水平線の向こうから何百機という量の飛行機を搭載できる空母、海上から大陸の町を攻撃する戦艦、たくさんの兵士や兵器を乗せた輸送船が迫ってきた。爆撃機がひとまず撤退した時、両国の人々は壊された港周辺に塹壕を掘り、そこにハンドガンや当時は最新鋭の武器だった機関銃を手に、上陸してくるのを待ち伏せしたという。

 輸送船が海岸に乗り上げ、一斉にハッチが開いた。そこからは、両国にはないような材質で作られた服を着た兵士が、何千と出てきた。そして、高熱を一点に発射し、対象を焼き切る銃、レーザーガンを兵士が持った。一斉に、突撃した。

 塹壕からアルセリオ、メリクリウスの兵士は顔を出し、銃弾を撃ちこんだ。しかし兵士達は一瞬立ち止まり、また向かってきた。やがて、当時は少ししかなかった機関銃を、勇敢な兵士が塹壕の外から並んで向かってくる敵兵士に撃ちこんだ。銀色の空薬莢が落ちる音がやみ、土煙がはれると、すべての兵士が平然と立っていた。兵士達はレーザーガンを構え、撃った。何人かは塹壕に伏せた。その伏せた兵士達の横には、首を刃物か何かで綺麗に切られたような死体や、みじん切りにされ、原型をとどめていない死体が転がっていたという。兵士達は恐怖のあまり塹壕から飛び出した。その瞬間、すべての兵士の腰から上が、何千ものレーザーで焼かれてなくなった。

 その後、輸送船から重戦車が出てきて、両国の兵士の死体を踏みつけながら、国の中心へ、ゆっくりと進軍を開始した。襲撃が始まってから3日後の、正午のことだった。

 メリクリウスとアルセリオの政府は、緊急会議を開き、同盟を組んで、謎の敵を倒すことを誓った。お互いの国の技術者を集め、必死に武器を研究した。海に近い町では、町民全員が戦艦からの砲撃で焼け死ぬという事件もおきていた。国民の中でも、罠を仕掛けたり、中には話し合いを試みる者もいたという。しかし、敵の兵士を一人殺すのに、両国の国民3000人が死亡するという状態だった。

 国の首都から5km前の街まで滅ぼされた時、アルセリオの技術者がある物を開発した。

 それは、殺した敵兵士の持っていたレーザーガンを分解、解析し作った、当時アルセリオにあった燃料を圧縮し発射することで炎を発射する、火炎放射器だった。その火炎放射器はアルセリオの人々には『プロミネンス』と呼ばれ、必死に量産した。

 そして、女神の月の最初の日、アルセリオの首都からなんとか量産したプロミネンスを装備した100人の兵士が、並んでやって来る敵兵士の一体へ、炎を浴びせた。すると、奇妙なことが起きた。

 突然、その火炎を浴びた兵士は、隣の兵士の頭へレーザーを放った。さらに隣の兵士にもレーザーを放った。

 アルセリオの人々は何が起こっているのかはわからなかったが、プロミネンスを横へ振りながら、複数の兵士へ炎を浴びせていった。

 そこから先は、面白いように戦いが進んだ。

 炎を浴びた兵士は味方や重戦車へレーザーを狂ったように放ち、やがて倒れて動かなくなる。重戦車は味方のレーザーで破壊され、前進を続ける無事な兵士をまきこんで爆発した。1時間もすると、10万ほどいた兵士は、アルセリオの首都の手前ですべて倒れていた。近づいて見てみると、服が溶けている兵士もいた。アルセリオの兵士は勝利の雄叫びを上げ、政府へ戻って報告した。敵兵は全滅したと。

 すぐに首都を攻められていたメリクリウスにプロミネンスを送り、使い方などを説明した。その時メリクリウスの兵士はその武器を自然界の神、『ガイア』と呼んだという。

 壊滅寸前まで追い詰められたメリクリウスの兵士達は、町の中からガイアで火炎を敵兵へ浴びせた。結果はアルセリオと同じだった。

 その後、アルセリオの人々が海岸に行くと、輸送船と戦艦と空母は、すべて海の彼方へと撤退していったという。メリクリウスも同じだった。

 こうして、2ヶ月続いた謎の敵との戦争は終わった。それからは、両国で国を復興しながら、メリクリウスとアルセリオは統合政府を作り、お互いに協力して国を発展させていくことを改めて誓ったという。

 戦いから1ヶ月ほど経った後、破壊された敵兵器や兵士の着ていた服などを研究し、戦車や強固な巡洋艦を作った。しかし、軍事色に生活が染まってしまうのかと、生き残った人々が反対運動を起こした。

 そこで統合政府は、『機械軍隊設置法』を作り、敵の軍隊から得た機械の技術を使い、人が戦場に出ることのない戦いにすると、国民に発表した。それと同時、両国で様々な機械が作られた。資源は、放棄された敵兵の服を使った。

 まず、動力装置が開発され、四輪駆動の車、狭い場所を通るための二輪駆動のバイクが作られた。そして、最初からあった電気の技術が更に発展し、遠隔操作が出来るロボットも開発された。この時、敵兵はすべて内蔵されたコンピューターで動いていたのだということを、技術者達は知った。これが、両国が一気に発展した、第二次産業革命と呼ばれる時代である。今からちょうど、5年前のことだった。

 しかし、それも終わりが近づいた。今から1年前、何百万とあった敵兵の服(つまり資源)が、残り僅かになってしまったのである。電気を通しやすく、加工も容易なその金属がなくなれば、物は作れない。そんな中、アルセリオ内の、とある科学者が提案をした。資源がなければ、集めればいいと。

 それは誰もがわかっていたが、第一次産業革命で、両国の鉱山には、まったく鉱石は残っていなかった。それをその科学者に言うと、科学者はこう言った。「平面に物事を考えるな。資源があるのは、地表だけではないであろう」と。

 それを聞いた統合政府は、『採掘の競争条約』を作った。この条約は、アルセリオとメリクリウスで、どちらが多くの地下資源を採掘できるかを競うという内容だった。なので、両国に採掘のやる気を出させるのに十分だった。

 それから半年以上かけて、全長3000mを超える巨大ドリルが作られた。そして、鉱山の横にそれを据え付け、掘り始めた。

 2ヶ月前、巨大ドリルは地下1000mまで掘り進み、そこに『新世界発掘隊』の通称で呼ばれる人々が飛行機械で壁面に足場を作り、そこから横へ掘って地下資源を取り出すという作業が始まった。地下からは、バズトラスの兵士の服と同じ材質の金属が大量に取れた。計画は大成功だった。

 それから、新世界発掘隊は政府公認の組織となり、毎月隊員を募集した。国に最も貢献している人々なのだから、自然と新世界発掘隊はエリートとなり、国民の憧れの的となった。

 そんな中、アルセリオの東に位置する巨大ドリルの近くの都市、メディスストリートのとある家の中で、喜んでいる少年がいた。

「やった!ついに合格したぞ!」

少年は自室でそう言いながらはしゃいでいた。手には一枚の紙が握られていた。その紙こそ、新世界発掘隊の採用試験に合格したことを証明する、資格認定書だった。

 次の日の朝。新しく新世界発掘隊の隊員となった者たちにとって初仕事となる、『第二号採掘地区への物資運搬』という任務名が書かれたシンプルなデザインの小冊子が、彼の家に届いた。少年は任務内容などを読み、資格認定書と一緒に送られてきた赤い星を模ったマークのバッチを胸ポケットにつけ、幼い時、護身用として親に買ってもらった小口径の銃、『アクシオン』を左腰のホルスターにいれ、家を飛び出した。

 巨大ドリルから1000m手前の、『新世界発掘隊作戦会議所』とよばれる2階建ての建物の入り口に、赤い星のバッチをつけた、自分と同年代ぐらいの若者達が立っていた。少年は建物の近くに座って、アクシオンの整備をした。

 アクシオンは主に硬質プラスチックを弾として、暴漢などから逃げ切るための銃である。そのため威力は人に軽傷を負わせる程度しかない。また整備も、銃を銃口部、弾倉を含めた機関部に分けることが可能なため容易だった。

 その容易さは、少年の心を刺激した。

 少年は、まず弾倉を改造し、細長い金属製の弾が入るようにした。そして、家の近くのスクラップ工場から鉄屑を集めてきて、溶かして先が細く長い、小さな弾丸を作った。それを弾倉に入れ、威力が大幅に高まったアクシオンを作った。さらに裁縫で皮のポーチを作り、その中に100個ほどの金属弾を入れ、ベルトにつけた。

 「よし、これで終わりっと!」

少年は分解し、再び組み立てたアクシオンを膝の上に置いてそう言った。すると、建物のドアがゆっくりと開き、深緑色の制服を着た中年の男が出てきた。胸には、赤い星のバッチをしていた。

「えー、諸君。まずは合格おめでとう。私は新世界発掘隊の総指令隊長、マックスだ。郵送した小冊子にも書かれていたように、君達には第二号採掘地区に、物資を運搬してもらう。今回に限り、上級隊員が君達一人に対して一人づつ付く。わからなかったら、彼らに聞くように。では、車両庫へ行ってくれ。」

マックスが言い終わると、全員が巨大ドリルの近くにある倉庫に走っていったので、少年もそれに続いた。

 車両庫には、浮遊車両、通称『エアビーグル』が置いていた。その車両の近くに、一人づつ20代ほどの青年が立っていた。

「では、各自、エアビーグルに向かってくれ。」

マックスがそう言うと、他の新人達が威勢よく返事をし、エアビーグルにむかっていった。少年は、一番奥のエアビーグルの下へ向かった。するとそこには、青色の目をし、水色の制服を着た青年が立っていた。

「君が、新しくこの隊に入った人だね?」

青年は好意的な感じで話しかけてきた。

「はい、そうです。」

少年はしっかりと答えた。すると青年は微笑んで、

「僕は、新人研修や第3号採掘地区の監督を担当する、レオン・サージェストだ。君は?」

その好青年、レオンはそう自己紹介した。

「僕はメディスストリートから来た、グラッグ・ノートダムって言います。今日一日、よろしくおねがいします!」

グラッグははっきりと、自己紹介した。レオンは微笑んで、

「こちらこそ、よろしく。」

そう言って握手した。そして、エアビーグルに乗った。

 エアビーグルの中は、光る操作盤や積荷の状況を見るモニターなどがついていた。グラッグがきょろきょろとしていると、レオンがハンドルやレバーなどのある左側の席に座った。

「僕らの出る順番は最後みたいだから、色々と説明するよ。あ、それと、君は右の席に座ってね。」

レオンの言葉にグラッグは頷いて、右側の席に座った。前には積荷の状態を映し出すモニターがあった。

「エアビーグルは、僕の座っている席が運転、君の座っている席が積荷の状況を見たりする役になってるんだ。まず、重要な運転から説明しよう。」

レオンがそう言うと、グラッグは彼の方を向いて、真剣に聞いた。

「エアビーグルはほとんどがコンピューター制御だから、今日みたいに事前にルートが入力されてる時は何もしなくていいんだけど、もし、大きな岩が道にあったりした時、このレバーとハンドルを使うんだ。」

レオンが彼の前にあるレバーとハンドルを指差して言った。

「このレバーは下へ倒すとブレーキ、上へ倒すと加速するようになってるんだ。そしてハンドルは、急旋回したい時とかに右や左へ動かすってわけ。簡単だろう?」

レオンの言葉に、グラッグは頷いた。

「で、その他の操作盤とかの操作は・・・今の君は知らなくても大丈夫だろう。」

レオンがそう言っていると、彼らの隣のエアビーグルが、車体の下の、推進機から噴出す炎の音と共に車両庫の外へ走り出した。

「お、そろそろ僕らが出発するみたいだね。」

レオンは前へと向いて、椅子の横にかけていた水色の制帽を被った。

「レオンさん、僕に制帽とかはあるんですか?」

グラッグが聞いた。するとレオンが、

「ああ、君の制帽なら、椅子の横にかけてるはず。それを被れば、勇気が出てくるはずだよ。」

と言って微笑んだ。グラッグは椅子の横を見ると、彼のと同じ、水色の制帽がかけていた。それを被ると、あの憧れの新世界発掘隊に入隊できたことを、改めて感じた。そして、ゆっくりとエアビーグルが動き出した。

 車庫を出ると、荒れた大地の先に、巨大ドリルがあった。そのドリルのあけた穴のまわりに、小さなテントなどがあった。彼らのエアビーグルから見て右側のテント付近の穴から、エアビーグルが飛び出してきて、こちらへ向かってきた。

「ん・・・?」

レオンが突然声を出した。

「どうしたんですか?」

グラッグが聞くとすぐにレオンは前のレバーとハンドルを持って、

「伏せろ!」

大きな声で叫んだ。そして、ハンドルを右へきり、レバーを一気に下まで下げた。ガガガッと車体が土をすべる音がし、エアビーグルはドリルの手前で止まった。グラッグが顔を上げると、目の前に薄汚れたエアビーグルが止まっていた。

「なぜ飛び出してきたんだ・・・?」

レオンがそう言うと、前方にいるエアビーグルがこちらへ向いた。中から割られたフロントガラスからは、規則正しく脈打つ赤い虫の足のようなものが何本も、外へ這い出ようとするように蠢いていた。操縦席の中には、口から血を流し、白目をむいてぴくりとも動かない、グラッグの隣のエアビーグルにいた新人とその指導係が座っていた。



 最初のあらすじがとても長いですが、1章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-03-23 11:50 | オリジナル1『呪われた都市』