受験のため仮引退中でしたが、合格したので復帰しました。小説をはじめとしメイプル記事も更新されます。


by jwpwm424

カテゴリ:メイプル小説・続編( 22 )

小説・続編 あとがき

 小説もあわせて1年以上続いたオリジナルメイプル小説も、ついに幕を閉じました。

 最初の計画とは少し違う終わり方でしたが、僕としては満足した最後が書けたと思います。

 さて、最初から読んでくれた方にはわかると思うのですが、今回はミストのキャラが前作の小説に比べてかなり濃い(?)感じになっております。理由はよくわかりませんが、おそらくリアルでの僕に似ているからではないかと思います。何かをやろうとしても思うだけでできなくて、思いを伝えたい人がいるのになかなか何も言えなかったり、自分のせいで事態が悪い方向に進んだと自分を責めたり、一人で泣いたりするのが僕に似ている所です(強いところは似てませんよ)

 なのでミストには、なんとしてでもハッピーエンドになってほしかったので、18章あたりで急遽展開を変えて、(やや強引でしたが)珠蟲姫を復活させて、さらに彼の思いがとりあえず通じるという感じのラストにしました。

 その代償っぽいですが、心残りなこともいくつかあります。まず、最初の終わり方の予定だった、デニスが復活するラストにできなかったこと。強引にレビやラウルを復活させたので、つっこみどころ満載なところ、誠が最後に脇役しかなかったこと、誠が現実世界に戻ることを一言も口にしなかったことなどです。

 ほんとはこの後の、ミストと珠蟲姫の生活について書きたいのですが、そうすると戦闘シーンが入らなかったり、ますます誠に出番が回ってこないのでやめておきます。

 ということで、番外編を時々書くかもしれませんが、ひとまずこの小説は幕を閉じさせていただきます。レッドボトルさんや瞬殺さん、ランさんの他に、どこかのブログから来て読んでくれた方、メイポ内で「小説読んでます」と声をかけてくれた方、特別に出演してくれたベリブさん、そして、長い間つきあってくれたデニス、ミスト、誠、珠蟲姫、レビに感謝の気持ちを伝えます。

 長い間、ありがとうございました!

次の小説の予告
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by jwpwm424 | 2007-03-19 20:24 | メイプル小説・続編
いよいよ最終章です。書いているうちにかなり長くなってしまいました。ではスタート



 聖域には、乾いた大地の中から緑の葉を茂らす巨大樹が生えていた。ノーブルドラン達は、木から光の指す足場へ飛び移り、手招きした。誠もそこへ乗った。すると、ノーブルドラン達が誠へ小さな卵を差し出した。

「僕が置いた方がいいんだね?」

彼がそう聞くと、ノーブルドランは頷いた。誠は静かに、足場に卵を置いた。すると卵にヒビが入り、中からノーブルドランに似た体の色をした、小さなドラゴンが生まれた。ドラゴンは、小さく咆哮を上げた。その咆哮は、リプレ村の焼き尽くされた家を、ミナルの燃やされた森を、荒らされたノーブルドラン達の住処を、昔の状態へ、ゆっくりだが、戻していった。龍の巣のあちこちから、ノーブルドラン達の喜びの叫びが上がったのを、彼は聞いた。

 その咆哮を聞いて、ミストが顔を上げた。そして、聞いた。

「・・・モイラさん、姫さんは、やっぱり帰ってこないのか?」

モイラは言いよどんだ。しかし、はっきりと、

「残念ながら・・・あの爆発に巻き込まれて生きている希望は少ないです。森が元に戻ったら、彼女のお墓を立ててあげましょう・・・」

そう言った。ミストは、ゆっくりと息をはいた。彼女と、デニスの形見であるニスロックの欠片を掴んで、聖域に指し始めた光をずっと眺めていた。

 しばらくして、洞窟の中から何かが出てきた。それは、あちこちが黒こげになり、鎧も砕かれたケロベンだった。

「ケロベン!」

モイラがすかさず叫び、ミストの前に立った。

「・・・待ってくれ。」

胸を押さえながらケロベンが言った。

「お前・・・ミスト・・・とかいったな。まさかホーンテイル様を倒してしまうとは・・・」

穏やかな顔でケロベンが言った。ミストがゆっくり振り向いた。すると、唯一無事だった槍を、ミスト達の前に投げた。そして、手を下げた。

「俺の負けだ。そして俺は、龍族の騎士らしく、今までの罪を償う。その槍で、俺の胸を突け。そして、俺が殺してしまったノーブルドラン達の元へ連れて行け。」

ミストを見据えて言った。ミストはしばらく迷っていたが、やがてゆっくりと槍を取った。そして、ケロベンへと突撃した。ケロベンは、まったく目をそらさなかった。ケロベンへ槍が当たる直後、ミストは突然狙いを変えた。槍を、洞窟の中へ、裏切ったケロベンを殺そうとしていたリザードマンへ、投げつけた。暗殺者は、声も出さずに倒れた。

「・・・ケロベン、お前は聖域へ行け。そして、ノーブルドラン達に謝れ。」

厳しい口調でミストが言った。ケロベンはゆっくりと頷いた。そして、ベルトの中から、小さな皮の袋を取り出して、ミストへ渡した。

「それは、お前から奪った中で、一つだけ無事だった物だ。・・・奪ったりして、悪かったな。」

そう言うと、聖域へと、歩いていった。ミストが返してもらった自分の道具袋を開けると、ミストが苦労して作った、小さな木箱が焦げ一つなく入っていた。

「・・・戦いが終わったら、これを姫さんに渡すつもりだったんだけどな・・・」

誰に言うわけでもなく呟いて、箱を開いた。そこには、メイプル世界ではとても珍しい、見る方向によって色の変わる幻の宝石、アレキサンドライトがはめこまれた指輪が、静かにおさまっていた。その宝石を見て、再び箱を閉じた。そして、聖域へと、歩いていった。彼には見えなかったが、洞窟の中から、ゴーレムに乗った1匹のノーブルドランが出て来て、モイラに何か話をしていた。

 聖域には、誘惑によって操られていたと思われる100匹前後のノーブルドランが集まっていた。その中には、泣きながら頭を下げるケロベンがいた。生まれたばかりのベビードラゴンと話をする誠もいた。その中から1匹のノーブルドランがミストに近づいてきて、手招きをした。ゆっくりと、ついていった。ベビードラゴンの前まで来ると、ベビードラゴンはミストに息吹を吹きかけた。彼の傷がすべて塞がった。

「・・・ミスト、姫さんは、きっと帰ってくるよ。」

誠が、ミストの肩を軽く叩いて言った。近くにいたケロベンは、ベビードラゴンと、何かを話していた。

 ベビードラゴンとケロベンの話が終わった頃、聖域に、ゴーレムに乗ったノーブルドランと、そのゴーレムから出た蔦に座るモイラが来た。モイラが地面に降りると、ゴーレムは蔦を背中に伸ばし、刀身にヒビの入ったチュロイバーを取り出し、ミストへさしだした。

「洞窟の中で見つかった物です。」

モイラがそう説明した。ミストはチュロイバーを取った。するとベビードラゴンがそのチュロイバーに息吹を吹きかけた。するとチュロイバーにあった邪悪な力が、風に溶けるように消えていった。その間に、モイラがノーブルドランに小さな声で何かを話した。ノーブルドランは頷いて、洞窟の最深部で拾った黒焦げの何かを、モイラへ渡した。

 平和の戻ったミナルの森では、ノーブルドラン以外に、誘惑によって操られていたジャイアントタートルやシングルプテラス達も含めて、宴が開かれていた。森の恵みである果実を食べる者、正気に戻った仲間達と楽しく話す者、森に木の苗を必死に植えるケロベンもいた。誠は、モイラと一緒に果実を料理していた。そんな中、宴が見える高台に、ミストは座っていた。

「みんな楽しそうだな・・・」

彼がゆっくりとそう呟くと、肩に誰かの手が乗った。振り向くと、ベビードラゴンがいた。何も言わずに、ミストの横に座った。

「お前も宴へ行けよ。俺はここで見ておくからさ。」

ミストがベビードラゴンに言うと、ベビードラゴンはゆっくりと、高台を下って行った。しばらくすると、リプレ村の住民達も、宴へ来ていた。心地よい風が、ミストの長い赤色の髪をなでた時だった。

「ミーストさん」

やや高い声が、彼の後ろから聞こえた。彼はゆっくりと振り向いた。そこには、髪に所々煤がついたり、着物がボロボロになったりしている、珠蟲姫が微笑みながら立っていた。

「姫さん!」

ミストは驚きの余り声を上げた。彼女の横には、1匹のノーブルドランがいた。

「驚いた?」

悪戯が成功したかのように、珠蟲姫は笑った。ミストがあたりを見回したが、特に仕掛けらしきものはなかった。

「実はね・・・ホーンテイルが爆発して、その爆風で洞窟の壁へ跳ね飛ばされそうになった時、偶然箱が開いていた、誠さんの星の石の中に自分の体を封印したの。だからあの爆発にも耐えられたんだけど・・・無理に体を封印したせいで、右手が切れたりしたってわけ。」

そう言って彼女は右手を見せた。何本かの触手が、焼き切られていた。

「心配かけてごめんね。もう、大丈夫だから・・・」

宴へ行こうと続けようとした彼女は声を止めた。彼女のボロボロの着物をミストが掴んで、顔を見せないように泣いているのが見えた。

「よかった・・・姫さん・・・ほんとによかった・・・」

何度も何度も、ミストはそう呟いていた。彼が泣き止むまで、珠蟲姫はずっとそこに立っていた。

 一生懸命に料理を作るモイラの元へ、珠蟲姫と一緒にいたノーブルドランが戻ってきた。2人の様子を、簡潔に伝えた。

「それなら、彼らの分も作らないとね。」

モイラがそう言って、隣の誠にメニューを伝えた。

 泣き終えたミストは、夕日が沈むのを、珠蟲姫と一緒に眺めていた。

「・・・なあ、姫さん」

ミストがやや緊張した声で言った。

「何?」

同じくやや緊張しながら珠蟲姫が言った。ミストは道具袋から小箱を取り出し、彼女の方へ向けた。そして、ゆっくりと箱を開けた。赤く見える、アレキサンドライトの指輪が納まっていた。

「綺麗・・・これを私に?」

珠蟲姫の言葉に、ミストは顔を赤らめながら頷いた。珠蟲姫は触手でその指輪を取り、右手の触手にはめた。彼女が少し手を動かすと、色々な色に見えた。

「ありがとう!」

珠蟲姫はそう言って、隣に座るミストにだきついた。ミストはゆっくりと、

「俺の方こそ・・・ありがとう。」

そう言った。夕日が、彼らを静かに照らした。

 日が沈むと、宴の席の周辺では、小さなたいまつが立てられ、宴は続いていた。ミストと珠蟲姫が宴の席へ行くと、2つ、椅子が用意されていた。

「俺達の分も用意してくれたのか・・・」

ミストはそう言い、席についた。珠蟲姫も、その隣の席についた。

「ミスト、待ってたよ。」

木の葉で作ったエプロンを腰に巻いた誠が言った。そして、彼らの前に、果実で作ったケーキを出した。

「さあ、宴はこれからよ!みんな、楽しんでね!」

モイラが元気よく言った。苗を植えるのが終わったケロベンが宴の席に来ると、ノーブルドラン達が料理の乗った皿を彼に渡した。

「お前ら・・・俺を許してくれたのか・・・」

涙を腕でぬぐいながら言った。その宴の少し遠くでは、ベビードラゴンとラウルが、静かに宴を見ていた。

「しかし・・・あの傷で復活できるとは、私も驚いたよ。」

ラウルが呟いた。ベビードラゴンがラウルの方を向いて言った。

「あなたの、リプレの幸せを求める心が、私の癒しの力を強めたおかげですよ」

「・・・そうか。」

ラウルは満足そうに頷き、遠征隊の勲章を懐から取り出した。ワイバーンの爪から彼を守った勲章は、2つにわれていた。

 ミナルの森のはるか遠く、人のいないリプレステーションの船の上から、一人の男が宴を見ていた。

「どうやら・・・これでハッピーエンド・・ってとこだな。」

軽傷を負っただけのベリブは、そう呟いた。そして、船の甲板を見て、言った。

「レビも、そう思うだろ?」

「そう・・・ですね・・・結局、僕のチュロイバーも、鎧も帰ってきませんでしたけど。」

レビアンズが、ベリブへ言った。

「さぁーて・・・これから忙しくなるな。まずは、レビの体を見つけないとな。」

そう言って、甲板においてある、木箱に座った。

「早く見つかればいいですけどね。」

甲板の隅の、木箱の上においてある、小さな指輪の中のレビアンズが言った。

「ふう・・・」

レビアンズが、ため息をついた。

「どした?」

ベリブが聞いた。

「ベリブさんに黙って出てきて、何年も旅をしてきましたが・・・結局、『究極の力』っていうのは見つかりませんでした。」

レビアンズが、今までの旅を振り返りながら言った。

「結局、『究極の力』って何なんですかね?」

レビアンズの問いに、ベリブは答えることが出来なかった。かわりに、

「まあ、闇のクリスタルに利用されて、やられる寸前にチュロイバーの中に意思だけを逃がしたおかげで、俺のフレンドリングに入れたんだからな・・・すごい偶然が重なってるよな。」

そう言って慰めた。

「どこか、体を元に戻してくれそうな場所に心当たりはありませんか?」

フレンドリングの中の、意思だけのレビアンズが聞いた。

「そうだな・・・エルナスにいた、アルケスタの奴なら、なんとかしてくれるかもしれないな。」

ベリブが言った。そして、夜空を見た。キラキラと、星が輝いていた。レビアンズもそれを見ていた。

「綺麗ですね・・・」

レビアンズが言った。

「そうだな・・・」

ベリブも、静かに言った。すると、船がゆっくりと動き出した。

 ミナルの森の宴は、朝まで続いたという。その後、たくさんの人やドラゴンの見送りを受けて、誠、ミスト、珠蟲姫はリプレを去ったという。しかし、メイプル世界のすべてが平和になったわけではない。なので、まだまだ彼らの旅は続くのだが、語るのは、ここまでにしておこう。



 過去最高なほどの長さでしたが、最終章は終わりです。またきまぐれに番外編を書くかもしれません。しばらくしたら後書きを書きます。 
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by jwpwm424 | 2007-03-17 14:03 | メイプル小説・続編

第19章 悪夢の終結

 いよいよ最後の戦いです。この章はとある都合によりとても長いです。ではスタート



 チュロイバーを背負ったミストと、カンディネを握り締めている誠は、かつてリザードマンの男と来た洞窟についた。すると、前にある光の漏れる穴からホーンテイルの首が出てきた。

「やはり来たか。遠征隊のさしむけた愚かな人間よ。」

ホーンテイルはそう言い、誠達を睨んだ。

「姫さんを返せ!そしてこのリプレから出て行け!」

ミストがドラゴンヘッドを向けて叫んだ。

「・・・あの小娘の連れが貴様らか。よかろう。相手になってやる。」

ホーンテイルはゆっくりとそう言い、口から金色のナイフを彼らの近くへ吐き出した。

「それを持って、私の玉座まで来るがいい。名誉ある死を与えてやろう。」

低い声で笑いながら、ホーンテイルは光の漏れる洞窟の中へ首をひっこめた。

「・・・やってやろうじゃねえか・・・おい!誠!いくぞ!」

龍の力がこめられたナイフ、ドラゴンサクスを取った誠は静かに頷いた。そして、2人で光の漏れる洞窟へと飛び込んだ。

 2つの洞窟を抜けると、そこには広い空間があった。その先に、ホーンテイルがいた。

「小娘は返してやろう。」

右、左、真ん中にある3つの頭のうち、左の頭が言った。すると珠蟲姫を掴んだワイバーン達がホーンテイルの後ろから出てきた。ミスト達の前に彼女を乱暴に放り投げた。

「姫さん!」

ミストはすかさずかけより、何度かゆすった。すると珠蟲姫は、ゆっくりと目を開けた。

「ごめんなさい・・・ミストさん、一人で勝手に行っちゃって・・・」

珠蟲姫がそう言うと、ミストは回復魔法、ヒールを唱え、彼女の傷を完全に塞いだ。珠蟲姫がゆっくりと立ち上がった。

「さあ、かかってこい。愚かな者どもよ。」

右の頭が言った。最後の戦いが始まった。

 誠は自分と2人にヘイストをかけ、一気にジャンプした。そして、右の頭を斬りつけた。しかし右の頭は少しも動じず、眉間の近くから後ろ向きへ生えた角が光った。その角に込められた膨大な魔力が、誠の体に入り込んだ。

「ぐっ・・・なんだ・・・」

体がまったく動かず、誠は地面に墜落した。そして、ゆっくりと立ち上がった。ナイフを、ミスト達に向けていた。

「これが・・・邪悪な誘惑か!」

ミストが察した。誠の目はまったく感情がなく、ナイフを持つ手もまったく震えていなかった。

「さあ、私からのプレゼントだ。ゆっくりと楽しむがいい。」

そう言って、ホーンテイルの真ん中の頭が笑った。それと同時、誠がミストと珠蟲姫の元へ猛烈な速さで走り出した。間一髪で2人とも避けたが、ミストの避けた先には誠が立っていた。手が見えないほどの速さで誠はミストを6回斬った。

「目を覚まして!」

珠蟲姫がそう叫びながら、魔力で作った矢を誠へ放った。当たった矢は魔力の鎖になり、誠を岩にしばりつけた。それと同時、誠から誘惑が解けた。

「誠!大丈夫か!」

斬られた痛みに耐えながら、ミストが呼びかけた。鎖が消え、誠はミストにかけよった。伝説の秘薬、パワーエリクサーを飲ませた。

「なら・・・次はお前だ!」

左の頭がそう叫び、角に魔力をこめた。その角に、銀色に光る物体が突き刺さった。魔力が内部で渦巻き、鈍い音がして、左の頭が内部から爆発した。

「何だと!」

ホーンテイルの2つの頭が同時に言った。洞窟の奥から、人影が現れた。鮮やかな紫の髪、チェーンを巻いた黒色の帽子、黒色の服、手にはめた、赤色の特殊な手袋。放浪の盗賊、ベリブさんがいた。

 「あなたは・・・」

誠がゆっくりとつぶやいた。

「久しぶりだな。もう記憶は戻ったんだな?」

ベリブは太陽の形をした手裏剣を手に掴んで言った。

「あんたは誰だ?」

ミストが言った。

「ああ、俺は他の奴からベリブさんって呼ばれてる盗賊さ。ところで、あれからレビを見なかったか?」

そうベリブが聞くと、誠がミストの肩を軽くたたいた。ミストは背中に担いでいたチュロイバーを両手で持って、地面にさした。

「うそだろ・・・。レビの奴、究極の力を探すなんてくだらない事をいつも呟いてて、2年前のあの日、俺が朝起きたらいなくなってたよな・・・」

彼の鮮やかな青色の目から、一滴、涙がこぼれた。そして、手袋を外した。中指に、黄色い星が宝石のかわりについた、小さな指輪がはまっていた。それを、チュロイバーに軽く当てた。

「・・・また一緒に話したかったぜ。」

そう言って、ホーンテイルの方へ向いた。左の首からは、黒い煙が吹き出ていた。

「闇のクリスタルが中にいるってことか。」

ミストがつぶやいた。すると、洞窟の中に、闇のクリスタルの声が響いた。

「そこにいるのは・・・あの竜騎士の連れか。その小さな命、私がつんでやろう。」

その声を聞き、ベリブが気づいた。レビアンズを操っていたのはこのクリスタルだと。

「お前のせいで・・・許さん!」

そう言って勢いよくジャンプ、巨大な手裏剣を作り出してホーンテイルへと投げた。回転しながら巨大手裏剣、アヴェンジャーは飛んでいき、中央の頭の、赤く光る角の一つが爆砕された。そのすぐ後、右の頭から氷の息がはきだされた。ベリブは洞窟の壁面に叩きつけられた。

「ベリブさん!」

誠が叫んだ。助けに行こうとした彼のすぐ前に、ホーンテイルの呼んだワイバーンの大群が現れた。

「お前らもこれで終わりだ!」

真ん中の頭はそう言いながら、巨大な尻尾でミストと珠蟲姫をなぎはらった。2人とも壁に叩きつけられ、誠はワイバーンの大群にねじふせられた。シェイドパンツのベルトから、小さな宝石のはめられた箱が、地面に落ちた。蓋が開いたが、ワイバーンも、誠も気づかなかった。

「所詮ただの人間。私を倒すことなど不可能だ」

ホーンテイルはそう言い、ゆっくりと彼らに近づいた。そして、自分の胸に手を当て、赤い光を放つ物体を取り出した。それは、ホーンテイルの力を生み出す心臓だった。

「ありがたく思うがいい。お前らは殺さずに、私の再生のためのエネルギーにしてやろう。」

赤く光る心臓を倒れた誠たちにむけホーンテイルが言った。何も持っていない左手で、倒れている珠蟲姫を掴んだ。

「姫さん!」

ミストが叫んだが、珠蟲姫はまったく動かなかった。気を失っているようだった。

「まずはこいつからだ。」

右手で持った心臓の前まで珠蟲姫を近づけると、赤く光る心臓の、彼女の方へむいた部分が生物の口のように、4つに分かれて開いた。中には力を生み出し続ける闇のクリスタルと、それを渦巻くように回り続けるホーンテイルの力があった。

「姫さん!起きてくれ!」

ミストが必死に叫んだが、珠蟲姫はまったく動かなかった。

「さらばだ。」

ホーンテイルがそう言った直後、猛烈な速さで珠蟲姫は背中からニスロックを取り出し、自分の背ほどある桃色の矢を作り出した。そして、口を開ける心臓へ、中で黒く輝く闇のクリスタルへと放った。心臓の中で、爆発が起きた。

「グアアッ!」

ホーンテイルが唸り、心臓は闇のクリスタルと一緒に砕けた。珠蟲姫は地面に叩きつけられた。ミストが近寄ろうとすると、

「早く逃げて!」

珠蟲姫が叫んだ。その叫びに、

「姫さん!早くこっちに来て!一緒に逃げるんだ!」

ミストがさらに叫んだ。すると珠蟲姫は急に落ち着いて、

「これでいいのよ。」

と言った。ミストが彼女へ近寄ろうとする足を止めた。

「ありがとう・・・ミストさん。もう仲間のいない私に優しくしてくれて。・・・もっと一緒に、話したかった・・・」

涙を流しながら、珠蟲姫はそう言った。ミストが何か叫ぼうとした時、ホーンテイルの体が彼女を押し潰した。ホーンテイルの体のあちこちから、光が出た。

「早く!」

どこかから、珠蟲姫の声が聞こえた。ミストは、ホーンテイルへ背を向けて走った。その直後、ホーンテイルの体が爆発した。

 気がつくと、2人は生命の洞窟の入り口にいた。体は炎で焼かれたのであちこち焦げていた。

「気がつきましたか?」

ミストの視界の外から、高い声が聞こえた。振り向くと、檻から開放され、鉄球のついた鎖がなくなったモイラが立っていた。

「ホーンテイルを倒してくれてありがとうございました。ナインスピリットの卵は見つかりましたか?」

そのモイラの言葉を無視し、ミストは爆風で焼かれた腕を押さえながら立ち上がった。大きな岩の隙間から小さな赤い光が漏れるのを見つけた。すぐにかけよって、岩をどけた。それは、ホーンテイルの心臓の欠片だった。その心臓の欠片の横に、半分に折られたニスロックがあった。その弦には、途中で引きちぎられた珠蟲姫の赤い触手が何本か絡み付いていた。

「・・・姫さん・・・」

そう呟いた彼の頬を、涙が伝った。しばらくして、洞窟の中から、体のあちこちの焦げたノーブルドランが何匹か出てきた。大事そうに、小さな卵を抱えていた。

「それは・・・ナインスピリットの卵!誠さん、早くノーブルドランと一緒に聖域へ行ってください。」

モイラが驚いて言った。アーマーのおかげで傷の軽い誠はすぐに起き上がり、ノーブルドランと共に聖域へ走った。ミストは、声を出さずに泣いていた。



 とても長いですが、第19章終了です。次はいよいよ、(最初のも含めて)約1年以上続いたメイプル小説の最終章です。
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by jwpwm424 | 2007-03-16 21:28 | メイプル小説・続編

第18章 竜騎士の最期

いよいよレビと最後の戦いです。ではスタート



 レビアンズは、タバールから持ち替えた銀色に光る鉾、チュロイバーを片手で持ち、両手を上へ上げた。そして、上下の鎧の繋ぎ目を大きく開けた。そこには黒く渦巻く穴があった。

「止まれ!」

ミストがすかさず叫んだが、誠はその穴に引き込まれた。しかし、すぐに同じ穴から外へとはきだされた。リザードマンの変身は解けていた。

「はあっ!」

誠から吸い取った龍の魔力を両手に持ち替えたチュロイバーに込め、スラッシャーを放った。2人は後ろへ飛んでかわし、ミストは自分の体にある龍の魔力を龍の頭を模して作られた金色の杖、ドラゴンヘッドにこめた。変身が解けると同時、シャイニングレイを放った。

「ぐっ・・・まだまだ!」

レビアンズは巨大な聖なる力に負けず、再び立ち上がり、大きくジャンプしてスラッシャーを放った。ミストは洞窟の脇にあった岩のうらへ、誠は前へと走って避けた。そして誠は、地上へ降りたレビアンズをナイフで横向きに切り裂いた。

「ここで、お前の復讐を終わらせてやる!」

血のように黒い煙を噴出す傷口を押さえているレビアンズに、誠はそう叫びながら突っ込んだ。そして、ジャンプしてナイフで上から下へと切り裂いた。レビアンズがゆっくりと倒れた。誠がとどめをさそうとした時、レビアンズの体が宙に浮いた。

「な・・・なんだ・・・?」

ミストが警戒する姿勢をとり、ドラゴンヘッドを強く握った。誠も一歩下がり、カンディネを前へ向ける。

「はああああああああああっ!」

宙に浮いたレビアンズが、叫びながら体の前で手をクロス、その手を一気に横へと広げた。煙を噴き上げる傷口から龍の力が溢れ、バキバキと鎧を中から砕いていく。

 そこにいたのは、幻影に見える、巨大な龍だった。目は白く輝き、胸の中にはチュロイバーがゆっくりと、規則的に回っていた。

「これが・・・奴の持ってた龍の力か・・・」

ミストがそう呟いた。その青白い霧で作られた龍は、腕を大きく振るって、鋭い爪で誠を切り裂いた。

「ぎゃあっ!」

誠が斬られた体のあちこちを抑えながら地面を転げまわった。彼の体には斬られた後はないが、青白い電撃のような物が、体のあちこちを走っていた。ミストは、精神を集中させ、シャイニングレイを胸の中で回るチュロイバーへ放った。チュロイバーの回転が一瞬とまり、龍が後ろへ仰け反った。

「あの鉾がレビアンズなのか・・・?」

ミストはそう言いながら、龍に向かってジャンプした。すぐ下を龍の爪が通過した。ミストはそのまま龍の体の中へと入り、チュロイバーの近くまで来ると、杖に魔力をこめた。

「これで、終わりだ!」

ミストが叫びながら聖なる力をこめた杖でチュロイバーを殴った。すると、チュロイバーの回転が止まり、龍の咆哮が聞こえた。ミストが地面についた時、そのチュロイバーの中から、黒く光る球が飛び出した。

「あれは・・・」

ミストが目を細めてみた。それは黒く、妖しく光る、闇のクリスタルだった。龍は、胸の部分を押さえながら、膝をついた。その黒い球体は、ゆっくりと龍の前に来た。

「私が力を貸しても、この者達を倒せぬとは。」

その球体が、龍へと話しかけた。声は抑揚がなく、感情がまったくこもっていなかった。

「・・・もうお前には飽きた。消えろ!」

球体がそう叫び、闇の力を龍へと撃ちこんだ。龍の姿は、球体の放った力が姿を変えた黒い霧の中へと一瞬で呑まれた。その時、生きていた頃のレビアンズの、断末魔の叫びが洞窟に響いた。黒い霧が晴れたとき、そこには竜騎士の墓標のように、チュロイバーが刺さっていた。

「お前が闇のクリスタルか!」

ミストが球体へと叫んだ。

「私は、この世界を終末へと導く定めの者。貴様ごときに、邪魔をされるわけにはいかぬ。」

落ち着いた様子で闇のクリスタルは言い、闇の力をミストへと放った。間一髪で避け、シャイニングレイを放った。球体がビリビリと音を立て、揺れた。

「私の力を破壊するほどの強さだと・・・」

闇のクリスタルは驚いた様子で言い、洞窟の奥へと飛び去った。誠にヒールをかけて傷を癒し、地面に刺さるチュロイバーを見た。

「こいつも・・・考えてみればかわいそうだよな。復讐の心を奴に利用されて、最後には捨てられたんだからな。」

ミストはゆっくりと言い、チュロイバーを引き抜いた。そして、2人でホーンテイルの元へと歩いていった。



 若干短いですが第18章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-02-25 17:44 | メイプル小説・続編

第17章 龍達の宴

 そろそろ最後です。ではスタート。



 ミストが洞窟の前の高台につくと、檻の前に上着を着ていない誠が檻によりかかって寝ていた。その胸には赤色の穴に見える傷口があった。

「誠さんは私が治療しておきました。着ていたシェイドアーマーは傷口と同じ部分だけが破かれてるので、私が直します。」

モイラが檻の中から言った。ミストは自分の簡単に作った服を見て、いいところばかりとっている誠に対して怒りを覚えた。

「ケロベンがそろそろ戻ってくると思います。なので、私の魔力で、あなた達をしばらくリザードマンに変えます。」

洞窟の入り口を見ながらモイラが言った。すると誠がゆっくりと目を開けた。

「あれ・・・ミスト、なんでそんな服きてんの?」

のんきな口調でそう言った誠の手をミストは乱暴につかみ、勢いよく立たせた。

「俺はお前と違って服作ったのがドラゴンなんだよ。わかるか?」

怒りを抑えながらミストが言った。誠はいまいち意味がわからないと思いながら体を見た。シェイドアーマーがなかった。

「僕のアーマーは?」

誠が聞くと、

「誠さんのアーマーは私が直しましたよ。はいどうぞ。」

笑顔でモイラが誠にシェイドアーマーを手渡した。その横でミストが、

「ふん・・・誠ばっかりいい思いを・・・」

不機嫌極まりない様子で言った。

 「じゃあ、目を閉じて、精神を集中してください。」

檻の前に立っているミストと誠に対してモイラは言った。2人が目をつぶったのを確認すると、

「龍の森でリザードマンを見ましたね?あのリザードマンの姿を思い浮かべてください。」

次の指示を出した。10秒たった後、

「じゃあ、いきますよ!」

大きな声でモイラが言った。それと同時に、2人の足元に魔方陣が出た。その魔方陣から白い光が柱のようにいくつもつきでた。

「うわっ!」

体が変化していく奇妙な感覚で思わず誠が声を出した。そしてその光がすべて消えると、

「もういいです。目を開けてみてください。」

モイラが一息ついて言った。最初にミストが目を開け、自分の手を見た。緑色の腕があった。爪は長くなっていた。

「これが俺かよ・・・」

そう言ってミストはうなだれた。その後誠がゆっくりと目を開けた。まず横を見た。地面に手をついて落ち込む緑色のリザードマンが見えた。次に自分の手を見た。自分の命を奪いかけた、ケロベンの手に似ていた。

「後は怪しいことをしなければ問題ありません。ケロベンが戻ってきたら合図します。」

冷静な口調でモイラが言った。

 しばらくして、

「ケロベンが戻ってきました。ゆっくりと近づいて、洞窟に入ってください。」

小声でモイラが言った。2人は慣れない体を操りながら、洞窟の前へと降りていく。

「どうかご無事で・・・」

小さくモイラが言った。

 洞窟の入り口を見ると、ケロベンが槍を片手で持って、柄の方を地面につけていた。誠が先頭で近づくと、

「おう!よくきたな!他の奴はみんな中へ入ってるぜ。早く入りな。」

前とはまったく違う対応をケロベンはした。誠とミストがさらに近づくと、

「いやあ、しかし今日に限って遅れてくる奴がいるとは。」

ケロベンが独り言を言った。それに対して、

「今日に限って?」

誠が聞いた。するとケロベンは彼の方を向いて、

「なんだ、知らねえのかよ。偉大なるホーンテイル様の傷が完全に治ったから、その宴があるのさ。」

説明した。さらに、

「おまけに今回は、俺が捕まえた人間の女も食事として出されるからな。お前らもほしいなら早く行ったほうがいいぜ。」

そうつけくわえた。誠には、ミストが歯ぎしりをする音が聞こえた。

「ミスト・・・抑えるんだよ。」

小さな声で誠が言った。そしてゆっくりとケロベンの横を通り、洞窟へ入った。

 洞窟の中は、たくさんのリザードマンがいた。なぜかミストと誠には彼らの話していることが理解できた。獣の肉を歩きながら食べる者、森のタートル達に後で少し食料を渡そうと仲間に話す者、ケロベンの捕まえてきた人間を早く食べたいと言う者もいた。

「なんだよこいつら・・・姫さんを食おうなんて・・・」

誠の後ろでミストがぼそりと言った。しばらく歩くと、

「おい、そこの奴、見かけねえ顔だな。」

洞窟の脇に座った、黒色のリザードマンに話しかけられた。誠は慌てながら、

「はい・・・ホーンテイル・・・様の傷が治ったと聞いて、ミナルの森のはずれから来ました。」

適当にデマカセを言った。するとそのリザードマンは立ち上がり、

「ミナルから来たのか。ならこっちにこい。俺がホーンテイル様の元まで案内してやろう。」

前へと歩き出した。誠はほっと一息ついて、後をつけた。ミストはまだぶつぶつと文句を言っていた。

 しばらく歩くと、青白い石の洞窟についた。そして案内をしていたダークリザードマンの男が、

「ホーンテイル様!」

そう叫んだ。すると前にあった光の出る穴から、巨大な龍の頭だけが出てきた。2本の銀色の大きな角が左右にあり、額にトゲがあった。

「何の用だ」

その龍の頭が聞いた。声はやや低く、洞窟全体が少し揺れた気がした。

「はるばるミナルの森から来た2名の者に、豪華な食物を与えて頂きたいのです!」

リザードマンの男が叫ぶと、その龍の頭は穴の中へひっこんだ。しばらくして、ミスト達の乗っている足場の下にある穴から、何人かのリザードマンが食材をもって出てきた。

「ありがとうございます!」

そのリザードマンの男は礼をして、食材を受け取った。そしてミストと誠に渡した。

「あ・・・ありがとうございます。」

誠がすかさず言った。

「いいってことよ!」

ダークリザードマンの男は笑いながらそう言った。そして来た道を戻るため、青白い石の洞窟の出口へと歩いていった。

 ある程度歩いた所で、何もしゃべっていなかったリザードマンの男が突然口を開いた。

「しかしなぁ・・・ノーブルドランの奴らには悪いことをしたな・・・」

その言葉を聞いて、誠達は足を止めた。リザードマンの男も、近くの石に座った。

「俺達がナインスピリットを倒すために、奴らをほとんど殺してしまった。別にノーブルドラン達を殺す必要はなかったのにな・・・同じ龍として、心が痛むぜ・・・」

語るようにその男は言って、うつむいた。

「この宴が終わったら、俺は部隊の指揮官をやめて、ミナルの森へ帰ろうと思うんだ・・・そして、森の中にあるノーブルドラン達の骨を集めて、供養してやろう・・・」

そう言って少しだけ顔を上げ、何匹ものノーブルドランを殺めた、サーベルのような剣を見た。そしてふっと息をはいた。

「お前らは、この宴が終わったら、ミナルの森へ戻るんだろ?だったら、宴が終わったら一緒に森へ戻ろうぜ。」

ホーンテイルの前とはまったく違う、穏やかな表情でリザードマンの男は誠達へ言った。彼らが答える前に、ゆっくりと立ち上がった。そして、彼らの方を向いた。何かを言おうとした時、リザードマンの男は低く唸った。そしてゆっくりと、誠とミストの方へ倒れてきた。バックステップでかわして、出口の方を見た。するとそこには、人のような影と、横向きに振られた後の鉾の影があった。男が地面に倒れると同時、その人のような影から、青白い翼が出た。

「レビアンズ・・・」

誠がゆっくりと言った。深い傷を負ってなお、復讐の心を燃やし続ける竜騎士は、銀の刀身を持つ鉾、チュロイバーを彼らに向けた。

「絶対に・・・許さない!」

誠はそう叫んで、死んだダークリザードマンの屍を飛び越して、竜騎士へと突っ込んだ。



 第17章終了です。後3章ぐらいで終わる予定です。
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by jwpwm424 | 2007-02-21 17:10 | メイプル小説・続編

第16章 災厄の原因

 今回はやや短いです。ではスタート



 「う・・・ここは・・・?」

ミストはゆっくりと目を開けて言った。すると目の前には桃色と白の体色をした小さなドラゴンがいた。ドラゴンはミストが目を開けたことを確認すると喜び、どこかに手招きをした。

「俺は・・・一体どうなったんだ・・・」

ズキズキと痛む胸を押さえながら上半身だけをおこした。するとミストのまわりには20匹ほどの小さなドラゴンがいた。

「そいつらはノーブルドランだ。君達を助けてくれた。」

視界の外から声が聞こえたのでそちらへふりむくと、銀色の鎧をつけ、銀色の羽飾りのついた兜を被り、巨大な剣を持った男が岩に座っていた。

「紹介が遅れたな。私はラウル。ホーンテイル遠征隊のメンバーだ。」

その騎士、ラウルはそう自己紹介した。

「君達が洞窟で倒れていたのを、そのドラゴン、ノーブルドランが助けたのだ。ノーブルドランはかつてこの龍の巣一帯に住んでいたのだが・・・ホーンテイルがワイバーンをはじめとするドラゴンをひきつれてきてから、この巣の隅で細々とくらすようになってしまった。」

ラウルの説明が終わると、何匹かのノーブルドランが泣き出した。

「その襲撃のことを思い出しているのだろう・・・彼らの仲間の中には、ホーンテイルの邪悪な誘惑に操られ、冒険者を襲う者も出てきた。」

ラウルはさらに説明をした。

「邪悪な誘惑ってなんだ?」

少し痛みのひいたミストが説明の中に出た事について聞いた。

「邪悪な誘惑というのは・・・ホーンテイルの持つ特殊な力だ。その力を受けると、ホーンテイルの思うままに体が動いてしまうという厄介なものだ。私もそれをうけ、さらにホーンテイルの仕向けたワイバーンの攻撃に会って敗北したのだ・・・」

ラウルはそう言って、ヒビの入った巨大な剣、クレイモアを片手で持った。

「なんで森がおかしくなったんだ?」

ミストの問いに、

「森がおかしくなったのは、ミナルの森の龍達の長老ような存在であった龍、ナインスピリットがホーンテイルとの戦いで負けたからだ。そしてナインスピリットの生んだたった一つの卵も、奴に奪われてしまった・・・」

ラウルが目を細めながら答えた。

「私が重傷を負い、モイラが捕まった今、君達だけが頼りだ。ホーンテイルからナインスピリットの卵を取り戻し、この巣の聖域でベビードラゴンを誕生させてくれ。頼む!」

ラウルからの頼みを聞くと、ミストは一度頷いて立ち上がった。そして気づいた。

「あれ・・・俺のバルナはどこにいった!」

彼が着ていたはずの服、バルナがなかった。かわりにミストにはミナルの森の葉で作られた簡単な服が着せられていた。

「君の着ていた服だが・・・ケロベンの槍によって完全に破かれ、使い物にならなくなっていた。だからノーブルドラン達が自分達の巣からその服を作り、君に着せたという訳だ。」

ラウルは冷静にそう言ったのだが、ミストは怒っていた。もし珠蟲姫が近くにいたら、ラウルに殴りかかっていただろう。他に失ったものはないか、ミストは頭を触った。帽子がなかった。その後腰の部分をさわったが、道具袋がなかった。

「ケロベンは君の衣服だけでなく、持ち物まで全部破壊してしまったようだ。残念ながらマギコダールもだ。」

ラウルが言った。

「じゃあどうやって戦えっていうんだよ!」

すかさずミストが反論した。するとラウルの後ろから、太い切り株のような形をしたゴーレムにのったノーブルドランが出てきた。ミストの前で止まると、ゴーレムは後ろから蔦をミストの前へのばした。その蔦には金色の杖が絡み付けられていた。

「君達のため、そしてリプレのためにノーブルドラン達が自らの命を削って作った杖だ。それを使ってくれ。」

ラウルがそう説明すると、ノーブルドランたちは深く頭を下げた。ミストはそれをゆっくりとうけとった。

「君と一緒にいた男の子は、モイラが手当てしている。行ってやってくれ。」

ミストは小さく頷くと、生命の洞窟へと走った。

 「さあ、お前達も彼の元へ行くがいい。ここにいたら、ワイバーンに襲われるぞ。」

ミストの姿が見えなくなった後、ラウルはノーブルドラン達に言った。ノーブルドラン達が頷いたすぐ後、ラウルの後ろから50匹ものワイバーンが姿を現した。

「早く行け。ここは私がなんとかする。」

ラウルがそう促すと、ノーブルドラン達は近くにあった枯れ木をゴーレムにかえ、乗った。そして生命の洞窟へと走った。

「・・・頼んだぞ・・・」

ラウルは走り去っていくノーブルドラン達を見て言った。そして、痛みに耐えながら、クレイモアを両手で持って立ち上がった。1匹のワイバーンが仕掛けた竜巻を飛び越え、ワイバーンの群れに斬りかかった。

 2分前までノーブルドラン達のいた所に、ひび割れたクレイモアがつきささった。その横に、ラウルが倒れた。

「私も・・・これまでか・・・最後に・・・もう1度だけ・・・聖域に指す光を・・・見たかった・・・」

そう言い終わったラウルの胸に、ワイバーンの爪がつきささった。最後まで戦い抜いた名誉の遠征隊員は、ゆっくりと目を閉じ、動かなくなった。



 第16章終了です。
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by jwpwm424 | 2007-02-10 13:47 | メイプル小説・続編

第15章 敗北

 (若干)クエストが進んだので15章書きます。ではスタート



 ミストは高台についた。

「なんだこりゃ・・・瓦礫だらけじゃねえか・・・」

あたりにちらばっている瓦礫を見てミストが言った。そして、あたりにはレビアンズがまきちらした闇の力の結晶が落ちているのを見つけて警戒した。一足遅れて誠が高台についた時、

「あなたは・・・珠蟲姫さんの仲間ですか?」

彼らの前の檻の中からモイラが声をかけた。ミストは急いで、

「なぜ姫さんの名前を知っている?」

そう聞き返した。モイラが事情を説明すると、

「遅かったか・・・」

ミストはがくりと膝を折ってその場にしゃがみこんだ。その横から誠はモイラの檻に近づいて、

「とりあえず、あなたをここから出してあげますよ。」

そう言って誠はナイフを振ろうとした。

「だめ!」

モイラが急いで言ったが、既に誠のナイフは檻に当たっていた。僅かに出来た檻のヒビから、電撃が彼の体に流れた。誠は声も出さずにその場に倒れた。

「この檻には・・・ホーンテイルの魔力がかかってるんです。奴が死なない限り、この檻は壊れません。」

モイラが悲しそうに言った。するとミストは立ち上がって、

「ひとまずだ・・・姫さんはこの洞窟の中に連れて行かれたんだな?」

そう聞いた。モイラが頷くと、誠の右手を引っ張りながら、番人のいない生命の洞窟へと入っていった。

 珠蟲姫は、ケロベンの左手に体を掴まれながら、脱出する手段を探すためあたりを見回していた。その様子にケロベンは気づいて、

「無駄なことを考えるな。お前は名誉なことに、ホーンテイル様の完全回復の時の宴の時に食卓に出される。そしてホーンテイル様は愚かなハプリングどもを焼き尽くしてリプレを征服するのだ。」

意地悪そうにそう言って笑った。珠蟲姫が悔しそうにケロベンを睨んでいると、洞窟の天井から下がっている鍾乳石に頭をぶつけた。

「痛っ・・・」

しかしそのショックで、名案がうかんだ。尊敬するようなまなざしをケロベンに向けて、

「ねえケロベンさん、あなたはとっても強いんでしょ?」

そう言った。笑っていたケロベンは彼女の方に向き、

「当たり前だろ!俺様はホーンテイル様の次に強い!」

得意気に言った。

「じゃあ、その強さを見せてくれない?ちょうどそこにある太い鍾乳石を槍の一突きで壊してみて!」

(中身のまったくない)尊敬のまなざしを向け続けながら洞窟の脇にある太さ10mほどの青白い鍾乳石を指差した。するとケロベンは珠蟲姫をおろして、

「こんな岩、楽勝だぜ。」

そう叫んで両手で槍を持って鍾乳石をついた。鍾乳石の真ん中に穴が開いて、崩れ落ちた。

「かっこいい!じゃああっちにあるのはどう?」

わざとらしく笑って珠蟲姫は先にある太い鍾乳石を指差した。

「あれも楽勝だぜ。見てろよ。」

ケロベンが鍾乳石の方へと歩き出した時、足音も立てずに珠蟲姫は洞窟の出口へと走り出した。

 「どうだ!」

鍾乳石を砕いたケロベンは後ろを向いた。洞窟の出口へと走る珠蟲姫の背中が見えた。2秒ほど沈黙して、

「この野郎!騙したな!」

足で地面を何度も叩いた後、彼女の倍ほどの速さで追いかけた。

 誠とミストは、青白い植物のある洞窟を進んでいた。

「何度も言ってるけど引っ張ったりしないでよ・・・」

右手の手首を押さえながら誠が言った。しかしミストはそれを完全に無視し、洞窟の奥を見ていた。すると、洞窟の奥に影が見えた。

「姫さーん!」

その影が珠蟲姫と思ったミストは叫んだ。しかしその影の正体はケロベンだった。ある程度近づいてきて、

「おい・・・ミスト、大きすぎないか?あの影」

誠が横から言った。ミストが数歩近づくと、その影はジャンプして彼らの前に立ち塞がった。

「侵入者め!俺様の槍をくらえ!」

与えられた任務を遂行するため、ケロベンは槍を両手で持ち、ジャンプした。ミストから放たれたシャイニングレイは、ケロベンの甲冑に当たると吸収され、消えた。槍は彼らの前の地面にささり、衝撃で2人は倒れた。

「痛っ!」

地面に勢いよく頭をぶつけた誠が目を開くと、そこには銀色に光る槍の先が見えた。その後ろには口元に笑みを浮かべて槍を構えるケロベンが見えた。

「あ・・・」

誠がそう言った直後、彼の胸に勢いよく槍が突き刺さった。

「うおおおお!」

起き上がったミストは全力でシャイニングレイを放った。しかし甲冑に吸収された。驚いているミストの方へケロベンは振り向いて、

「無敵のケロベン様にはお前ら人間ごときの魔法などきかん!」

得意気に言って彼の胸に槍を突き刺した。ミストは5mほど吹っ飛んで、洞窟の壁に当たり、倒れた。そこには珠蟲姫のことなど忘れたケロベンの笑い声が響き渡った。



 第15章終了です。ちなみにこの章の内容の一部は、瞬殺さんからいただきました。瞬殺さんありがとうございました。
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by jwpwm424 | 2007-02-06 16:33 | メイプル小説・続編

第14章 龍達との戦い

 非常に長い章です。ではスタート。



 炎に焼かれたミストを担いだ誠がタタモの家に入ると、タタモは暗い顔をしていた。

「どうしたんです?タタモさん」

誠が聞くと、タタモは顔を上げ、彼の方を見た。すると目を見開いて、

「早くミスト殿をそのベットへ寝かしなさい。今回の襲撃は予想以上に大変なのじゃ!」

そう言って急かした。誠は慌ててミストをベットに寝かせると、タタモがミストの前に立ち、強い魔力をミストに送った。ガラスが割れるような音がし、ベットの横に黒色の欠片がカランと落ちた。

「様子を見ていてわかったのじゃが・・・今回の襲撃は、巨大な闇の力によって引き起こされたものじゃ。闇の力は生物だけではなく、自然界の風、炎にも取り付く。だからミスト殿は闇の力をまとった炎を浴びて闇の力に侵され、気を失ったというわけじゃ。」

やや早口でタタモが説明した。誠はゆっくりと腰のベルトにつけているポーチから一瞬で完全に傷を治す秘薬、パワーエリクサーを取り出し、ミストに飲ませた。炎に焼かれた後が蒸発するように消えていった。

「おお、誠殿、そのようなものをもっておったか。それと少し言うのが遅いが、モンスター達を倒してくれてありがとう。」

タタモは深く礼をした。誠も2つのベルトを巻いて作られた帽子、シェイドヘットを外して礼をした。そしてあたりを見回して、聞いた。

「そういえばタタモさん、姫さんはどこにいったんですか?」

するとタタモがあたりを見回して、

「さっき、様子を見ると言って2階へ行ったが・・・まさか・・・」

2階をタタモは見た。誰もいなかった。

「大変じゃ!あのお嬢さんがまだ完全に回復していないのに外へ出よった!」

血相を変えてタタモはそう言い、部屋の隅のテーブルの上の魔方陣を見た。魔方陣にはミナルの森周辺の映像がぼんやりと映っていた。その中、ミナルの森の奥の地図に、必死で走る、人のような影があった。

「あのお嬢さんは、龍の森へ向かったようじゃ・・・誠殿、行って連れ戻してほしい。頼む!」

タタモは大声で言って、頭を下げた。その瞬間、ミストがベットから飛び起きた。

「姫さんが龍の森へ・・・だと。誠、さっさと来い!」

ミストがすごい力で誠の手を引っ張り、窓から飛び出した。

 2人は、黒い霧の漂うミナルの森を走っていた。

「痛いよミスト・・・そんなに真剣に引っ張らなくても・・・」

誠が引っ張られた方の腕を押さえながら言った。

「うるさい。さっさとお前も走れ。姫さんにもしものことがあったら・・・」

ミストはそう言うと、激しく首を横に振り、悪い考えを中断させた。しばらくして

「ここが龍の森だな・・・」

ミストは足を止めた。彼らの前にはあたりとは場違いな、赤い茨が絡まった入り口があった。そこから黒い霧が吹き出ていた。

 森の中は、赤色の葉を持つ木が茂っていた。茨の間に動物の骨も転がっていた。

「一体ここで何があったんだ・・・?」

ミストがきょろきょろとあたりを見回しながら行くと、突然茨の中から赤色の甲羅を背負ったドラゴンが出てきた。亀のように見えるが、鋭い牙と巨大な角があった。

「こいつがドラゴンか!」

ミストはバックステップで一歩下がって、シャイニングレイを放った。ドラゴンは低い唸り声を上げて倒れた。その体から闇の力の欠片が零れ落ちた。

「レビアンズがここらへんのドラゴンを操ってるのかな・・・」

誠が自分の推測を言った。ミストはその闇の欠片を拾って

「わからんな。レビアンズの奴がここまでする理由が。操ってるかはわからないが、おそらく何かの干渉をこのドラゴンはうけたんだろう。」

欠片を回しながら言った。すると突然、あたりの茨などから無数のドラゴンが出てきた。巨大な角があり、背中に卵を背負ったドラゴン、2本足で立ち、両手に巨大な剣を持つドラゴンもいた。

「やばいな。おい、誠、逃げるぞ!」

ミストは周辺の敵にシャイニングレイを放ち、怯んだ隙に逃げた。誠も急いで走った。背後から100匹を超えるドラゴンが、目を怪しく光らせて追いかけてきていた。

 森を抜けると、2人は地面が白い渓谷にたどり着いた。なぜか渓谷には黒い霧は漂っていなかった。空を見上げると、雲の切れ間から光がさしこんでいた。しばらく2人がその景色を見ていると、何かの羽ばたく音が聞こえた。振り向くと黒い翼竜がいた。

「ガアアアアッ!」

翼竜は叫びながら飛び上がり、竜巻を起こした。あたりの石などが舞い上がり、2人は岩陰へ逃げた。

「誠、頼む。」

短く言ったミストに誠は頷き、地面を蹴ってすれ違いざまにナイフで横に切り裂いた。黒い翼竜ダークワイバーンは目を閉じて倒れた。

「急ぐぞ。」

ミストはこちらへと向かってくる翼竜の群れを見て急かした。渓谷の奥へ2人は逃げていった。

 渓谷の奥には龍達の巣があった。眠るワイバーン達の近くに、いくつもの龍の骨が散らばっていた。

「ドラゴン達は共食いでもするのか・・・?」

ミストがその骨に近寄ると、突然骨が宙に浮き、血肉のない、骨だけの龍となって襲い掛かった。

「何だよこいつ!生きてんのか!」

誠が無事なことを確かめて、ミストはシャイニングレイを放った。負の生命で生き続ける龍はあっという間に消えた。しかしその衝撃で他の翼竜や骨の龍、スケルゴザウルスが起き上がった。

「今度は逃げ切れるかな・・・」

誠が不安げにいい、近くにいたスゲルゴザウルスを横に切り裂いた。ミストのシャイニングレイが他のスケルゴザウルスに当たり、消え去った。その間に巣のいたる所からスケルゴザウルスやダークワイバーンが這い出てきた。

「きりがねえ!この先の高台まで逃げるぞ!」

ミストはシャイニングレイで進路を塞ぐドラゴンを蹴散らしてそう言った。必死に走ると、高台の近くに1匹、杖をつき、頭の上が盛り上がった形のスケルゴザウルスがいた。

「ここは・・・通さん!」

そのスケルゴザウルスは叫びながらドラゴンの力をビームとして撃ち出した。ミストは耐えたが、誠は後ろの岩に叩きつけられた。

「この野郎!」

ミストは次のビームを岩の上からジャンプで飛び越え、シャイニングレイを放った。負の生命を浄化する聖の力を受け、スケルゴザウルスの長、マスタースケルゴザウルスは崩れ落ちた。

「誠、大丈夫か!」

すぐにミストは誠に駆け寄り、パワーエリクサーを飲ませた。すると彼は目を開けた。

「あ・・・ああ、大丈夫。」

誠は体についた岩の欠片を落としながら言った。後ろから追いかけてくるドラゴンの群れを見て、誠は急いで立ち上がった。そして再び走り出した。

 珠蟲姫は、ミスト達が渓谷に入った頃に高台にたどり着いた

「ふう・・・ここまで来ればあの翼竜も襲ってこないはず・・・」

そう一人で言い、近くにあった石に座った。突然、

「誰ですか?」

背後から声がした。珠蟲姫が急いで振り向くと、木で出来た檻の中に金髪の女性がいた。

「私はモイラ。あなたは?」

そういわれたので、珠蟲姫は簡単な自己紹介をした。

「まあ・・・ここまでたった一人で・・・なら、私の魔力で、傷を癒しましょう。」

モイラは鉄球付きの枷のついた両手を上げ、魔力を珠蟲姫に送った。彼女の体の傷が塞がった。珠蟲姫が礼を言おうとした時、

「む・・・誰かいるな?誰だ!」

下から唸るような声がした。珠蟲姫が岩陰に隠れようと一歩動いた瞬間、前の足場を頭で壊して大きな槍を持ったドラゴンが彼女の前に立った。

「お!冒険者じゃねえか。この俺、無敵の剣士ケロベン様の前で立ち話するとはいい度胸してるな。」

ケロベンはそう言い、片手で珠蟲姫を掴んだ。

「やめなさい!ケロベン!」

モイラが必死に叫んだ。

「モイラ、俺様の慈悲の心で殺されずに済んでる身のくせに、口が過ぎるんじゃねえか?まあ今日は見逃しといてやろう。偉大なるホーンテイル様の傷が完全に治った時、お前を処刑してやるよ。」

ケロベンは残酷な笑みを浮かべて言った。そして悲鳴を上げる珠蟲姫を片手に持ち、下の足場にある洞窟の中へと入っていった。

 ミスト達が後少しで高台につくとき、龍の森で闇の力をばらまいたレビアンズは洞窟の入り口の近くを飛んでいた。洞窟の入り口を確かめると、翼を小さく折りたたみ、モイラの気づかないほどの速さで洞窟に突っ込んだ。



 第14章終了です。なお、この小説を書いている時は小説内での高台の下の洞窟(メイポ内の生命の洞窟入り口)より先には行けない状態なので、行けるようになるまで15章は出ません。
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by jwpwm424 | 2007-01-15 20:45 | メイプル小説・続編

第13章 襲撃

 かなり更新が遅れましたが第13章です。なお、制作上の都合により、3次転職についての話はカットしました。



 ミストと誠は、村長タタモの家に入った。するとその部屋の隅のベットで、珠蟲姫が寝ていた。

「姫さん!」

慌ててミストが駆け寄ろうとすると、

「まあ待ちなさい。もう邪悪な力は取り出している。原因もわかった。」

白い毛のハプリング、村長タタモが片手をミストのまえに出して止めた。

「このお嬢さんは、闇の力の干渉を受けて、モンスターのような闘争心を刺激されたようじゃな。まあこのお嬢さんが人間なのになぜそうなったのかはわからないのじゃが・・・」

タタモはそう言って懐から小さな欠片を取り出した。それは幻想的に黒く光る、ひし形をした物だった。

「・・・この光、見たことある。あのレビアンズの鎧から流れ出た邪悪な力だ!」

誠が叫んだ。するとタタモは薄目を開けて、

「レビアンズ・・・とな?すまぬが勇敢な少年達よ、ここにくるまえに何があったのか、教えてもらえんかの?」

そう頼み込んだ。

 2人が事情と、珠蟲姫について説明し終わると、

「ふむ・・・なるほど。それとこのお嬢さんがモンスターだとは驚いた・・・」

タタモが注意深く珠蟲姫を見ながら言った。

「その闇の力は、おそらく何らかの大きな闇の力の源が放出しているのじゃろう・・・しかしそんな大きな闇の力の源といえば何なのか・・・」

タタモはゆっくりとそう言いながら部屋の中を歩いた。10歩ほど歩いて止まり、急に目を見開いた。そして、

「わかったぞ!闇のクリスタルじゃ!古代より凶悪な力が潜むと言われてきたあのクリスタルがその男の中にあるのじゃろう。」

大きな声で彼は言った。

「じゃあ、その闇のクリスタルってのはどこで生まれたんだ?」

ミストが聞くと、

「じつはな・・・闇の力というのは世界の様々な場所で確認されておる。だからモンスター達は絶滅しないのじゃが・・・」

タタモが目を細めて言った。さらに

「しかし、自然界の闇のクリスタルは岩の中から少量見つかるようなもの。わし達はそれを欠片と呼んでいるが、その欠片にあれだけの力があるとは思えぬ。」

そう続けた。ミストが何か言おうとした時、ベットで寝ていた珠蟲姫が体を起こし、ゆっくりと目を開けた。

「あれ?みんなどうしたの?」

ミストと誠の顔を見ながら珠蟲姫が言った。すると突然ミストは体を半分起こした彼女の片手の触手を強く握り、

「姫さん・・・よかった・・・」

涙を流しながらそう言った。その後ろから誠が事情を説明した。

 「そんなことを・・・私も船で闇の力の欠片に襲われた事より後は覚えてないの・・・」

ややうつむきながら珠蟲姫が言った。やっとパニックからおさまったミストは椅子に座って、誠は珠蟲姫にタタモのいれてくれたハーブの茶を渡していた。家の中に、穏やかな空気が流れた。その穏やかさはほんの一瞬だけだった。

「タタモ様!」

血相を変えてハプリングの女性が飛び込んできた。

「なんじゃ?そんなに慌てて。」

タタモがゆっくりとその女性の方に向いた。女性は息を整えて、

「ミナルの森から、モンスター達が襲撃してきました!おまけにクモさんの家からも火の手があがっています!」

そう叫んだ。タタモは驚いて、

「ミナルの森じゃと・・・すまぬが誠殿、ミスト殿、モンスター達を退治してくれぬか?わしはこの家の中でミナルの森の境界の様子を調べてみる。」

2人に言った。誠とミストは頷いて、それぞれ武器を持って外へ駆け出した。すると慌てて珠蟲姫が叫んだ。

「私も行く!」

しかしタタモが杖を前に出してとめた。

「だめじゃ。お嬢さんは今、闇の力への抵抗力が低下している。下手にホーンバクにでも攻撃されては前のような状況になってしまうぞ!」

タタモの言葉を聞いて、珠蟲姫は近くにあった窓を開けて外の様子を見た。何千とも見えるモンスターの群れが向かってきていた。所々、地面が黒い炎をあげて燃えていた。

 「くそっ!いくらやってもキリがねえ!」

ミストが必死にシャイニングレイを放ちながら言った。誠は一瞬で相手に6回の攻撃を与えるスキル、サベッジスタップで闇の力を宿した羊、ホーンバクを倒していった。すると突然、近くで爆発音がした。慌ててミストと誠は横に飛んだ。燃えた家の残骸が一瞬前まで彼らのいた所に降り、何匹かのモンスターが押し潰された。2人が上を見上げると、巨大な赤い龍が赤く目を光らせていた。その龍の横には、2つの青白い光があった。

 「ゴアアアアッ!」

赤色の龍、レッドドラゴンは咆哮を上げ、灼熱の炎をあたりに吹き散らした。木や民家に火がつき、メキメキと音をたてた。

「レビアンズの野郎・・・ここまでするなんて!」

ミストはそう唸って、足に強く力をこめ、高く飛んだ。レッドドラゴンの前まで来たとき、シャイニングレイを放った。レビアンズは隣にいなかった。ドラゴンが怯んだ隙に、もう1発放とうとしたミストの背中に、タバールが突き刺さった。

「あ・・・」

ミストは小さく叫び声を上げ、燃え盛る家の残骸に突っ込んだ。炭になった残骸がいくつか飛び散った。

「ミスト!」

誠はそう叫び、ヘイストをかけてドラゴンの方へ飛んだ。ドラゴンの腹が見えたところで、

「はあっ!」

気合と共に、腕が見えないほどの速さで連続でサベッジスタップを龍の体に打ち込んだ。誠の体が落ち始めると同時、龍は断末魔の叫びを上げて地面に倒れた。その龍は黒色の炎を上げて燃えた。そして龍の体が見えなくなると同時、後ろに振り向いた。予測通り、片手を巨大な青白い爪に変えて突っ込んでくるレビアンズがいた。

「そこまでだレビアンズ!」

誠は横にレビアンズの鎧を切り裂いた。するとレビアンズの青白い爪は消え、彼は片手で斬られた場所を押さえながら、翼竜のような青白い翼でミナルの森へと飛び去った。下を見ると、まだ倒していなかったモンスターも撤退していた。誠は地面に降りると、燃え盛る残骸を斬り、しばらく残骸を斬ると炎の中で顔などを焦がしたミストを見つけた。急いでタタモの家に運んだ。



 第13章終了です。そろそろ最後が近いです。
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by jwpwm424 | 2007-01-07 21:05 | メイプル小説・続編

第12章 裏切り

途中番外編もありましたが本編に戻って、第12章スタートです。



 しばらくして、船がオルビスステーションについた。

「・・・冒険者さん!起きてください!到着しましたよ!」

船員であるプリンにミストと誠は起こされた。寝起きで不機嫌な状態でステーションの受付まで歩き、意識もはっきりしたところで、ミストが突然

「あれ・・・?姫さんは?」

と呟いた。急いで受付にいた女性に聞くと、甲板で倒れていたので起こして船から降ろしたと言った。しばらくステーション内を探すと、柱の後ろにいたのをミストが発見した。

「姫さん・・・大丈夫か?」

ミストが心配そうに聞くと、

「大丈夫よ。それより早くリプレへ行きましょ。」

珠蟲姫は笑いながらそう言った。ミストは誠を呼んで、誠が珠蟲姫の方を向いた時、一瞬だけ、彼女が誠を睨んだ。澄んだ水色の瞳の奥には、邪悪な感情が渦巻いているように誠には見えた。

 リプレ行きの船は、巨大な飛行生物に客室代わりの木の足場をくくりつけた形をしていた。船が出発したと同時、ミストはまだ寝足りないと言わんばかりに巨大生物の前で寝てしまった。その横で珠蟲姫も木によりかかって目をつぶっていた。誠がうとうととしていた時、突然珠蟲姫が立ち上がって、

「・・・」

無言でミストを睨み、突然、片手の触手を槍の先のように尖らせ、腕を上にあげてミストの胸を突き刺そうとした。とっさの判断で誠は立ち上がって、

「危ない!」

珠蟲姫を横からつきとばした。珠蟲姫は悲鳴を上げて足場の端まで吹き飛んだ。その悲鳴でミストが目覚めると、目の前にいた誠に、

「誠!何やってるんだ!」

そう怒鳴った。誠は慌てて、

「いやだって、姫さんがミストを突き刺そうとしてたんだよ!」

真実を言ったが、ミストは

「姫さんがそんなことするわけないだろ!・・・まさか誠、お前がそのカンディネでやろうとしてたのか?」

逆に反射的に右手にカンディネをはめていた誠を疑った。その後、2分ほど言い合いが続き、

「・・・ったく、もういい!俺は到着するまで寝る!」

ミストは足場の奥の方まで行って、巨大生物によりかかって寝た。言い合いの間に立ち上がっていた珠蟲姫は、ミストの前に行き、

「・・・」

無言で彼を睨んでいた。誠は怪しいと思い、巨大生物の影から片手にカンディネを持って待ち構えた。しばらくすると、珠蟲姫は背中からニスロックを抜いて、その弓の弦に桃色の矢を魔力で作り出した。今にも矢をミストの心臓に放とうとしている珠蟲姫の背後から、誠はカンディネの刀身ではなく飾りのついた部分で後ろから彼女を殴ろうとしたが、珠蟲姫は彼の存在に気づいていたようにかわした。そして誠の鳩尾に珠蟲姫が尖った触手を突き刺した。

「う・・・なぜ・・・姫・・・さん」

誠が痛みをこらえながら横を向くと、感情のこもっていない目で珠蟲姫が彼を睨んでいた。

「邪魔よ。ほんとはあなたまで殺すつもりはなかったけど、消えてもらうわ。」

珠蟲姫は落ち着いてそう言い、もう片方の触手を尖らせた。誠はかろうじて動く左腕で道具袋を探ると、四角い小箱が手にあたった。

「さようなら」

珠蟲姫がそう言い、触手を誠の腹につきさそうとした時、誠は左手につかんだ小箱を開け、星の石を珠蟲姫に見せた。星の石は銀色の光を放った。

「きゃっ!」

珠蟲姫が目をつぶった隙に、誠は右腕のカンディネの飾り部分で彼女の顔を殴った。珠蟲姫は地面に倒れ、誠の鳩尾から触手が抜けた。しばらくして、誠も大きな傷口をおさえながら足場の上に倒れた。

 「・・・おい、誠!起きろ!」

ミストの声で誠は目を開けた。すると視界には木で作られた屋根と、心配そうに彼を見るミストの顔があった。

「あ・・・ミスト、ここは?」

誠がそう聞くと、今度はミストとは反対方向に、茶色の毛と、その中の顔のように丸型になった肌色の毛の中に小さな黒色の目と口のある生物が現れた。

「ここはリプレです。傷口はまだ痛みますか?」

その生物は静かに言った。誠は右手で自分の鳩尾を触った。しかし痛みはなく、ねばねばとした液体が手についた。

「それは私達ハプリングがつくった治療の薬です。もう傷口は痛みませんね?」

その質問に誠は頷き、ゆっくりと体を起こした。傷口を見ると、とても深い傷で、なおかつえぐられたような痕もあったが、その傷口には緑色の粘性のある液体がぬられていた。

「誠、さっきは悪かったな・・・お前のおかげで助かったぜ。」

ミストが複雑な表情で言った。慌てて誠は、

「姫さんは?」

と聞いた。するとミストは、

「ああ、今は村長の家にいるらしい。姫さんが俺を殺そうとした時、お前が姫さんを斬らなくてよかった。」

と言って、誠を両手で支えて立たせた。

「とりあえず、姫さんに会いにいこうぜ。」

ミストの言葉に誠が頷くと、小屋を出る前に、

「それと、クモさんよ、世話になったな。」

ミストがハプリングの少女に礼を言った。少女は手を振って彼らを見送った。その直後、何かが壊れる音と同時に彼女の背中に闇の力のこもったタバールがつきささった。クモは大規模な闇の力を受け、その場に倒れた。彼女の後ろには、レビアンズが立っていた。レビアンズはタバールを両手でつかみ、力をクモに流し込んだ。タバールを抜くとクモが立ち上がり、その姿が変化していった。



 第12章終了です。ついにリプレ突入!
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by jwpwm424 | 2006-12-28 14:58 | メイプル小説・続編